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VOL16「市長公約を考える」

あっという間

11月22日夜8時。知事・市長ダブル選挙の投票が終わりました。それから1時間足らずで、知事選では松井氏の当確、少し遅れて市長選の吉村氏の当確が報道されました。

前回のフォーラムで、知事選は松井氏が優勢であり、市長選では柳本氏が苦戦するだろうとお伝えはしていましたが、想定以上の大差でした。西成の補欠選挙は接戦でしたが、1000票あまりの差で維新の岡田氏が当選しました。トリプル選挙は大阪維新の会の勝利に終わりました。

橋下氏は政界をいったん引退しますが、これからの4年間も引き続き大阪維新の会に府政・市政の改革の主導権が委ねられることになります。

今回のフォーラムでは小林道弘さんに選挙戦の振り返りと市長公約から吉村新市長による改革を読み解いていただきました。

そして、これからの4年間は、何ができるのか。参加者でワイワイ語り合いました。

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【報告】小林 道弘  さん

■まちの声

「こばみち教えたろか、柳本さんが負けたんは、共産党と手を組んだからや。」「岡田さんが勝ったんは、喫茶店で自ら握手してたからや。」などなど、選挙戦が終わってから、まちの人はそれぞれの選挙分析を僕に教えてくれます。特に年配の男性はあちこちで政治談議をしています。

ネットの世界でもフェイスブックやツイッターで敗因や勝因を分析する人もたくさんいますが、地元西成の補欠選挙を分析してみました。

 

■1万票はどこに?

当選した岡田さんは1万7千票で矢田さんは1万6千票。前回の市議会選では維新の辻氏・藤岡氏の得票数が合わせて1万5千票だったので、維新支持票はそのままスライドした感じです。自民党の柳本さんは8千票だったのでそれに共産・民主支持層票を合わせると1万5千票ぐらいになります。

残るは、西成で1万票を持つといわれる公明党の票ですが、この部分が不明です。真相は知りませんが、今後のことを考えて維新支持でも反維新でもない態度をとったとも考えることができます。

 

■不思議な負けなし

ヤクルトを日本一に導いた野村監督は「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし。」と言っているように、選挙戦を振り返ると、負けるには負けるだけの必然性がありました。

1つ目は「既得権益の改革に対する姿勢」。柳本氏も改革を訴えてはいましたが、既得権益の追求については、維新のこれまでの実績が市民の支持を集めました。

2つ目は「わかりやすさ」。維新が提案する「市場原理を重視した政治」「多数決による迅速な意思決定を重視する政治」「自己決定で地方が決める政治」といったイメージに対峙できるような「再分配」「熟議」「中央追随(政権与党)」といったことをイメージできる政策提案が不十分でした。印象に残る提案は、市バスの敬老パス1回50円の負担見直しといったところでした。

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■新市長の公約は?

吉村新市長の選挙公報を見ると、具体的な政策はほとんど書かれていません。これまでの維新の実績が中心に書かれ、このまま改革を続けていく姿勢はわかるのですが、市長としてしたい独自の政策は伝わってきません。やはり「都構想」への再チャレンジが一番のテーマになるのだと思います。

当選会見でも明言されていましたが、4年の間にもう一度「都構想」が議論され、住民投票が実施されると思います。ただ、府議会・市議会とも維新は単独過半数ではありません。公明党の「都構想は反対でも、住民投票はやってみよう」という姿勢がなければ、5月の住民投票は実現しませんでした。西成区補欠選で消えた1万票のように、次の衆議院・参議院選挙をにらんだ公明党の動きには注目が必要です。

また、維新がつくった都構想は住民投票で否決されましたが、次の案は、他の政党の意見に耳を傾けながらつくるとも言っています。こうした状況で自民・共産・民主も引き続き都構想に反対するならば、しっかりとした改革の対案を示すことが必要です。市民は「大阪市がなくなること」には反対でしたが、改革を求めています。

 

【みんなの声】

■敬老パスの復活

○正直、ここまで大差で負けるとは思っていなかった。反維新、反橋下だけではもうもたない。しっかりと維新の政策にも向き合って、評価すべきものは公正・適切に評価し、維新の政策であっても、時には応援することがあってもいいのではないか。

○まちづくりには行政の協力は不可欠。行政との新しいパートナーシップを模索するためにも、地域で政策提案力を高め、行政に提言できるしくみづくりが必要だと思う。

■都構想は周辺市町村も

○これから都構想がもう一度議論されるが、大阪市と大阪府だけの都構想であれば反対。豊中市や堺市など周辺の市町村を巻き込みながらでなければ、都構想の意味がない。

○都構想を府民の立場で考えると『なるほど』と思うことも多いが、大阪市民の立場で考えると『やっぱり損』なことが多すぎる。

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■府民も市民も冷静に

○ダブル選は負けたけど、大阪が東京のようになれるというのは幻想にすぎない。大阪が副首都になっても、企業がついてこなければ、税収は伸びない。財源がなければ、結局、国の言いなりになってしまう。

○上・下水道・交通局が民営化されたらムダが省かれ、よくなると考えている人も多いが、電気・ガスのように、赤字になった瞬間に値上げをするのが民営化の姿。結局、市民にツケが回ってくることをしっかりと知っておくべき。

 

■これから考えたいこと

○東京オリンピック後に、大阪万博開催の話も出ている。わかりやすいけど、半世紀前と同じ話をして意味があるのだろうか。それよりも、地域に密着して新しい産業や仕事を興せるような地域分権が必要では。

○交通局が民営化された場合、大手私鉄のように子会社をいっぱい作るのではないか。単に営利や効率化を追求するだけでなく、大阪市が公益性や政策性を持たせた取り組みは、民営化後も継続させるべき。

○政策の伝え方を考えたい。橋下さんのワンイシュー政治がいいとは思わないが、丁寧に説明したのに何も頭に残らない、というのは考えもの。

○維新の全否定ではなく、次の住民投票まで、約3年の時間をかけて大阪の改革案を共に考えたい。そのためには設計図づくりも必要だし、議員に伝える必要もある。フォーラムというこの場に、西成選出の議員を招いて議論を築いていきたい。

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次回のフォーラムにしなり

フォーラムにしなり(第17回)は新年1月の開催を予定しています。

決まり次第、お伝えいたします。みなさま よいお年をおむかえください

フォーラムにしなり‚ŠVol.16

小林氏 当日資料 市長公約を考える

VOL15「どうなる?大阪市」

西成はトリプル選挙

都構想が否決された5月17日の住民投票から、およそ半年が経ちました。その間、大阪戦略会議は3度開催されましたが、途中で頓挫。橋下市長は政界引退宣言後も日本維新の党と大阪維新の会のゴタゴタの主役を演じています。

そんな中、11月22日(日)にはトリプル選挙を迎えます。大阪府知事選・大阪市長選・西成区補欠選挙(大阪市議)の3つです。

市長選は大阪市議の柳本あきら氏が無所属で、元衆議院議員の吉村洋文氏が大阪維新の会で立候補。府知事選は、元大阪府議のくりはら貴子氏が無所属で、現職の松井一郎氏が大阪維新の会で立候補。いずれも「反維新か維新」という事実上の一騎打ちです。

しかし、都構想は一度否決されたはずだし、それぞれの候補が何を主張しているのか知らないし、わからない。そんな声にお応えして、前大阪市議の小林道弘氏に、今回の選挙の争点を教えてもらいました。

 

【報告】小林 道弘  さん

■さようなら。市民交流センター

■住民投票のあと

1万票あまりの僅差で都構想が否決された住民投票も終わり、二重行政解消や大阪発展の戦略を練る場として「大阪戦略会議(以下大阪会議)」が開かれたのはご存知ですか?

この会議は、自民党を中心とする都構想の反対派が提案し、大阪府・大阪市・堺市の首長と議員が集まって議論しようというものでした。

でも、最初からボタンのかけ違いがありました。橋下市長は「大阪会議は大阪都構想の対案でなければ意味はない」と言うし、自民党は「大阪会議は大阪都構想の対案ではない」と言い、会議は3回で紛糾して、4回目は開催されていません。

これは維新の会の戦略とする見方もあります。自民党をはじめとする都構想反対派の推進する大阪会議では改革が一向に進まない。大阪を改革・発展させることができるのは、維新の会であり都構想だというイメージを印象付けるために、議論をすすめないという戦略です。

簡単に言えば、住民投票から半年も経つのに、何も決まらない。何も変わらない。だから、大阪会議はダメ。改革を望むなら、知事選市長選は維新の候補に投票しようということです。

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■維新だけで改革ができた?

では、維新だけが改革をしてきたのかというとそうではありません。大阪交通局の民営化や西成特区構想、公募校長制度など、橋下市長が改革に着手したことは確かですが、民営化はまだ実現していません。

一方で大阪市の中学校給食の導入は、関市長・平松市長が進めてきた改革です。たまたま実現した時に橋下氏が市長をしていたにすぎません。他にも市有地の売却など、橋下市長の功績に見えているだけで、これまでの改革の積み重ねがあり実現したものもけっこうあります。

そして、維新の党とおおさか維新の会のゴタゴタは見るに堪えません。政党助成金6億円という大きなお金が絡む話ではありますが、橋下市長お得意の敵をつくって、罵倒するパターンです。

ツイッターで自分がつくった維新の党の議員を『バカども』呼ばわりしたり、維新の党は『百害あって一利なし』とつぶやいたり、故意に下品な言葉を使っているように見えます。

あえて、品格のない橋下市長を演じて、品格のある吉村候補を演出して、市長選で当選させる戦略だろうという噂もあるぐらいです。

■今回の選挙の争点

では、11月22日の市長選の争点を各候補の主張から少し整理します。

柳本候補は、都構想は終わったものと捉え、争点とはしていません。その上で「まずは経済を強く。都市を強く」と主張します。一方で吉村候補は「過去に戻すか。前に進めるか」と橋下市政の継承と都構想の継続を訴えています。

余談ですが、都構想は住民投票で否決されました。もし仮にこの選挙の後に、もう一度「大阪都」をつくることになれば、また住民投票を行うことになります。つまり、前回同様の費用として税金が使われるのです。また、今回の選挙で都構想の是非を争点にすると法律違反の可能性もあるという専門家もいます。だから、維新の会も表立って「都構想をもう一度」とは言っていません。

次に、各候補の政策をみてみましょう。①リニア新幹線の大阪までの開通、②カジノを含む総合型リゾート(IR)の建設、③交通局の民営化、④学校長の公募制、これらの政策について吉村候補は「賛成・積極的な推進」に対して、柳本候補は「慎重に検討」と真っ向からの反対を避けています。

はっきり言って、ここまでは大きな違いはありません。ただ、市営バスの「敬老パス」の対応は異なります。吉村候補は現状維持で、柳本候補は乗車ごとの50円負担を廃止し、高齢者の外出を促していきたいと言っています。

また、柳本候補は住民投票で大阪市24区の5区分割の対案として期待されている「総合区」については、西成区と中央区で先行導入することを表明していますが、詳しい内容はまだわかりません。

と、両候補とも大阪市の改革をすすめていく政策に大きな違いはありません。ただ、慎重で調和型の柳本候補と橋下市長のように独断専行型を継承する吉村候補と、政治に取り組む姿勢にはちがいがあるようです。

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■結果はどうなるか?

政策には大きな違いがない中で、結果を予想してみましょう。世論調査では、柳本候補が若干優勢でしたが、3割の有権者がまだ投票先を決めかねています。

3割の有権者の投票行動を予想する材料に橋下市政への評価を聞いたアンケートがあります。「大いに評価する」29%。「多少は評価する」43%。合わせて7割以上の市民が評価をしています。これは驚異的な数字です。手法には問題があったとしても、これだけの人が評価した市長はかつていません。

また、松井候補の知名度が高いために、市長選が知事選に引きずられる傾向が予想されます。「松井候補に入れたから、吉村候補にも」という心理が働くのではないか。

「反対派、優位」という前評判でしたが、大接戦だった住民投票の結果と同様に、このままだと柳本氏の大苦戦は必至だと思います。

当然、自民党市議団はそれぞれの地盤でがんばるとしても、維新も相当に気合の入った選挙戦を展開しています。トリプル選のある西成区には、連日チラシが入っていますし。

同じ西成選挙区で戦ってきた柳本候補の人柄や政策を、僕は評価しています。柳本候補にはぜひその個性を前面に出してほしい。西成から市長を輩出したい。できることは限られていますが、僕は柳本候補を応援します。部落差別の解消が「国民的な課題」であり、「国の責務である」とされた1965年の同和対策審議会答申から50年です。

西成では同和対策として1970年に隣保館である解放会館、74年に老人福祉センター延寿荘、81年に青少年会館が建設されましたが、2010年に3館が統合され、現在の市民交流センターになりました。そのセンターも来年3月に閉館し、公設置の施設はなくなります。

もともと特別法に基づく同和対策は2002年に終わっていますが、法が終わっても同和問題が解決したわけではなく、一般施策を活用した事業で解決を図ろうと大阪市と協議を続けてきましたが、2006年の飛鳥会事件で風向きはがらっと変わりました。

関市長・平松市長時代には同和施策35億円の見直しがなされ、3館統合の末に市民交流センターが誕生しました。そして2011年に橋下市長が誕生し、市民交流センターそのものも廃止されることになりました。

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【みんなの声】

■敬老パスの復活

○政策の違いとして、敬老パスの復活はわかりやすいけど、すでに変えたものを元に戻すのはなぜ?

□敬老パスはかつて80億円の税金が市民局から交通局に支払われていました。顔写真が入っていない時代は、敬老パスの売買が疑われるケースもありました。だから、パスの発行費用3000円、1度の乗車につき50円と改革したのは評価できます。言葉は悪いですが、高齢者へのリップサービスだと思います。ただ、50円の負担を解消することで、元気高齢者の外出が増えて、消費も増えるのであれば、一考すべき価値があると思います。

■リニア新幹線

○両候補とも「リニア新幹線を大阪に」と言っているけど、本当に実現するの?また、それだけ大事な政策ですか?

□リニア新幹線は国会での議論が必要な案件で、大阪だけで解決できる問題ではありません。また、リニア新幹線の電磁波問題もあるので、今回の選挙の大きな争点ではないと思います。ただ、維新の副首都構想では、リニア新幹線の開通は時間距離の観点で必須事項です。「そのためには府・市の統合が必要」と主張するための戦略だと思います。

■なんでダブル選挙?

○知事選・市長選はこれまで別日程で実施されてきて、大阪市のことは市長選、大阪府のことは知事選と別に考えることができた。いまでは当たり前のように、同日選挙になった。これはええこと?

□「知事と市長の言い分が違うことこそが二重行政の象徴。だから、知事と市長は同じ主張をしている候補を選びましょう」という、橋下市長の戦略かもしれません。実際、橋下知事・平松市長時代はそこを争点に選挙をしました。

□今回の知事選・市長選は無所属とは言え、自民党出身の柳本候補・くりはら候補であり、自民VS維新という構図になっています。「二重行政をなくすには、市長・知事も同じ主張している方が良い」となれば、松井候補の圧倒的な知名度が、市長選にも影響すると思います。

□また、忘れてはいけないのが自民党支持者の4割が都構想に賛成していたということです。反都構想・反維新で結集したつもりでも、政党の対立という構図ばかりが目立てば、相当厳しいと思います。やっぱり、争点となる政策がないとアカン。

■総合区はどこにいった?

○〝near is better〟(行政サービスは住民に近いところで)は総合区でもできると言っていたけど、実際に西成区が総合区になったら何ができる?

○また、総合区になったとしても、区役所独自に事業を考えることはできるの?

□思い出す意味も込めて整理すると、都構想は市を5区に分割し、東京都のように各区に権限を持たせるという内容でした。一方で総合区は、24区のまま各区の権限を増やして、24区が地域特性に応じた運営をしていくための仕組みです。

□橋下市長は各区長の権限を増やし、区で決裁できる予算をつけたと言っていましたが、実は財布の紐は大阪市本庁の各部局が握っていました。各区がこんなことをやりたいといっても、予算は70%になって帰ってくるような状況でした。

□でも、総合区になると各区に本当の予算権限がつきます。やりたいこと・やれないことを各区で決められます。たとえば、福祉を地域経済の活性化につなげるために、地域クーポン券の導入が考えられるかもしれません。

□区独自の事業ができるという点は、総合区の大きな魅力ですが、区役所職員のほとんどは、事務方です。事務能力は高いですが、政策立案は難しいでしょう。だからこそ、地元住民からの提案が大事だと思います。

□たとえば、西成北西部でも今宮小中一貫校のような取組も考えられます。統廃合が議論されている長橋小学校は172人、北津守小学校は92人、鶴見橋中学校は172人です。単に小学校を統廃合するだけでなく、そこに提案して、新しいものをつくれるのが総合区だと思います。

□また、地域で決められるようにするには、米国のコミュニティ会議のように、現在の区政会議に財源・決定権を与えたり、メンバーを選挙で選んだり、とその仕組みも考えないといけません。

□各区の政策立案力を高めるには、市議会議員のもつ政務調査費の活用も考えられます。最近では、政務調査費がレクサスの購入に使われていたことも判明しました。政務調査費は市民からするとわかりにくい。西成区の政策を考えるという目的のために、各議員が共同して政務調査費を拠出し、政策立案予算をたてるというのも、おもしろいかもしれません。そうすれば、調査費の透明性も各区の政策立案力も高まるでしょう。

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フォーラムにしなりVol.15

小林氏 当日資料 大阪府知事・市長選挙について

 

VOL14「隣保館について」

スマイルゆ~とあい

いよいよ12月、にしなり隣保館「スマイルゆ~とあい」がスタートです。コンセプトは『民設民営互助型の隣保館』です。

隣保館は同和対策として全国にひろがり、公設公営か公設民営(指定管理者等)の運営形態がほとんどです。民設民営の隣保館を名乗る施設はおそらく全国初です。

スタートまで残すところ2か月となった今回のフォーラムにしなりでは「スマイルゆ~とあい」で何をするの?なぜ必要?などなど地域のみなさんの声にお応えしようと、寺本さんと西田さんに登場いただきました。

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【報告】寺本 良弘 さん

■さようなら。市民交流センター

部落差別の解消が「国民的な課題」であり、「国の責務である」とされた1965年の同和対策審議会答申から50年です。

西成では同和対策として1970年に隣保館である解放会館、74年に老人福祉センター延寿荘、81年に青少年会館が建設されましたが、2010年に3館が統合され、現在の市民交流センターになりました。そのセンターも来年3月に閉館し、公設置の施設はなくなります。

もともと特別法に基づく同和対策は2002年に終わっていますが、法が終わっても同和問題が解決したわけではなく、一般施策を活用した事業で解決を図ろうと大阪市と協議を続けてきましたが、2006年の飛鳥会事件で風向きはがらっと変わりました。

関市長・平松市長時代には同和施策35億円の見直しがなされ、3館統合の末に市民交流センターが誕生しました。そして2011年に橋下市長が誕生し、市民交流センターそのものも廃止されることになりました。

■大阪市に隣保館はいらない?

そもそも隣保館は、第二種社会福祉事業に位置づく、特定地域に偏在する貧困や生活困窮、社会的課題を総合的に解決するためのコミュニティセンターです。

西成に集中する貧困や生活困窮の問題はまだまだ残っていますが、大阪市は「特定の人のための『隣保館』はいらない、阿波座の『大阪市人権啓発・相談センター』の啓発・相談事業の実施で充分。」としています。特定地域に偏在する問題に対して、当該住民の生活改善や向上を図るのが、隣保事業です。でも、大阪市が実施する隣保事業は地域や地元をもっていません。不思議な話で、あほな話ですが、結論的には大阪市は隣保事業をしない・していないということです。

高齢者や子どもの集いの場であり、識字教室などの学びの場であり、悩みごと相談の場である隣保館はこのまちに必要です。

■自ら実践する隣保館

隣保館はいらないという姿勢を変えない大阪市に対して、しっかりと物を言うことも大切ですが、そんなことを言っている間に市民交流センターはなくなり、地域の集いの場はなくなってしまいます。それなら、自分たちでやる・集まる場をつくろうと今回のにしなり隣保館「スマイルゆ~とあい」を実践することにしました。

でも、民設民営で隣保館を名乗るのは日本初で、その時に大阪はこの事業をどう捉えるのでしょう。勝手に民間がやっていることと位置付けて知らんぷりをされると困ります。民設民営でも公益性の高い事業や取り組みとして、行政的な認知をしてもらえるように、しっかりと交渉していきます。

すでに運営団体である(一社)ヒューマンライツ教育財団の公益事業として、大阪府は隣保館事業を認めました。民設民営は公益性が低くて、公設公営は公益性が高いというおかしな話とは闘っていきます。

■地域の互助でやっていく

「スマイルゆ~とあい」の入るパークコートの建設費は約11億円にもなります。安くありません。そして、そのほとんどが借金です。運動から生まれた3つの組織が力を寄せ合い、40年をかけて借金を返していきます。

建物のオーナーは株式会社ナイスです。3階はインターナショナルプレスクールを運営する事業者に賃貸します。1~2階は隣保館で、運営するのは教育財団。4~6階はサービス付き高齢者住宅で、運営するのはヒューマンライツ福祉協会です。当然、それぞれの事業所が家賃を支払って運営していきます。

でも、松田喜一さんが目に余る衛生環境の悪さを改善しようと呼びかけ誕生した文化温泉をもう一度思い出してください。文化温泉は地域のみんなの力で建設されました。地域のみんなの力で運営費も出し合いました。

現代版の文化温泉として、隣保館を使ってください。利用料はかかりますが、お風呂の入浴料と一緒です。目に見える問題だけではなく、目に見えない孤立や孤独という大きな課題を克服するために、隣保館でまちをよくする基盤をつくりましょう。

「スマイルゆ~とあい」という愛称も公募でいただいた意見を合わせて決めました。「みんなのためにみんなでやる」互助型の隣保館を一緒につくっていきましょう。

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【報告】西田 吉志 さん

■支部の立ち位置

「スマイルゆ~とあい」を運営するのは教育財団ですが、実質的には西成支部が応援をすることになります。西成には「福祉・医療=社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会」「起業・雇用=株式会社ナイス」とまちづくりを進める2つの法人があります。そのなかで、支部の役割はなんなのかと考えてみました。

一番に思い浮かぶのは選挙です。運動体として、地域住民の声を行政に届け、地域を改善していく。これは大切なことですが、法に裏付けられた同和対策のあった時代と今では全然違います。極論を言えば、「運動をして声を上げても、行政は動かない。」「声を上げてもしょうがない。」「本当に支部は必要なのか?」となってしまいがちです。

でも、支部がなくなったら何に困るか?と考えるとまだまだ捨てたものではありません。

①差別など人権問題が起こった時に相談できる支部。

②市営住宅のトラブルを相談できる支部。

③奨学金など他ではできない相談を引き受ける支部。

④地域の子育てや教育を考える支部。

など、実は支部がなくなるといろんなことに困りはじめます。でも、支部の役割がわかりにくい時代になったことは事実です。だからこそ、隣保館で何をしたいか考えました。

■隣保館のコンセプト

コンセプトを言葉で表すと、

『居場所(拠点)をつくるとともに、つながり(交流)をつくる。その中で人を育てる(支援)。育った人たちが新たに事業をつくる(出番)。隣保館は、そのすべての「核」になります。』です。

隣保館で実現したいことは3つです。①居場所づくり。②つながりづくり。③出番づくり。これら3つの拠点となり、活動を通じて、これからの支部を担う「人」を育てていきたい。次を担う若者を育てないと組織は続きません。

■実際に何をする?

隣保館のメイン事業の1つは出会い・集いの場としてのコミュニティカフェの運営です。1階のガラス張りスペースでたモーニングもランチもやって、誰もがふらっと立ち寄ってコーヒーを飲めるおしゃれなカフェを目指していきます。

ただのカフェをするのでなく、相談と支援にも力を入れていきます。解放会館には総合生活相談がありましたが、市民交流センターでは相談機能を十分に果たせていません。相談機能が弱いとしんどい事情を抱えた住民さんはなかなか利用してくれないし、つながることができません。相談や支援があって、つながってこその居場所ということを大切にして、アウトリーチもしっかりとやっていきます。

そして、子どもや若者への支援もしっかりとやっていきます。いま市民交流センターでは様々な事業にエントリーし、「マナビバ!」という不登校や中退した若者の居場所事業をやっていますし、「子ども食堂」や「子ども楽塾」という事業もやっています。子どもを通じていろんな事業でいろんな人とつながっていこうと考えています。

また、2階では貸館や講座をやっていきます。カラオケやバンドの練習ができるスタジオもあります。いろんな趣味でいろんなサークルをつくって活動をする拠点として利用してもらえます。

講座では地域の皆さんの特技を見つけて講師をしてもらったり、ボランティアマイレージ制度を活用してカフェを手伝ってもらったり、サービスを提供する側と受ける側を行ったり来たりできるようにし、出番づくりをしていきます。

■最後の難題「お金」

ここまでは素敵な話ばかりですが、ここからは持続可能にするために避けて通れない「お金」の話です。

先ほども言ったように、隣保館の場所代がかかります。会費制度で月会員2000円、1日会員200円程度と考えていますが、仮に500人の月会員と見込んでも月100万円の会費収入だけでは、運営費や場所代はまかないきれません。貸館や講座、他のメニューで充分な収入を得ることができるのか、オープンぎりぎりまで検討していきます。みんなのためにみんなで持続可能な料金体系を設計したいので、またご意見ください。

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【みんなの声】

■まちづくりの再定義が必要?

○隣保館といえば昔は地域の集合・結集を目指すまちづくりの拠点というイメージだったが、「スマイルゆ~とあい」は新しい隣保館像を目指しているように聞こえた。

○新しい像を作るときに大切なのは、地域や住民が何を求めているのかということだと思う。もう一度、声に耳を傾け、まちづくりそのものを再定義するぐらいの時期が来たかもしれないが、どう考えますか?

□これまでやってきたこと。これからやろうとしていること。これをしっかり発信しないと何も始まらない。知ってもらって始めていろんな人の声や希望が集まってくる。だから、情報発信は大切にしていきたい。

□かつては地域の要求や声をまとめて運動を作ってきた。そして、地域の課題や問題がわかりやすかったと思う。たとえば、住まいの問題には、公営住宅の建設運動につなげていけたし、教育では教科書を買ってやれない世帯があれば、教科書無償化運動へと地域の声を集めることができた。でも、いまはみんなが何を求めているのか多様になっている。択一化できるほどの大きな欲求はほぼ満たされ、小さな欲求や声にこたえる時代がやってきたのだと思う。

□小さな声を集めるためには、みんなに話してもらえる場、つまりは隣保館的な場が、過去にもまして必要になっている。

■支部は住宅住民にこだわる

○隣保館ではいろんな事をするのはわかったけど、隣保館の一丁目一番地はどこですか?

□市営住宅の住民さんにこだわりたい。かつては、支部が住民さんとしっかりつながっていた。地域で何かをやる時は住民総出で参加してくれた。でも今は食事会をやっても、無償学習塾をやっても出てこない。もう一度、つながれる取り組みを隣保館でやっていきたい。

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フォーラム西成Vol.14本文

スマイルゆーとあいパンプレット

当日資料

 

 

 

VOL13「安保関連法案をどう捉える?」

声を上げた若者。地域で暮らす若者。

2015年7月16日、いわゆる『安保関連改正法案』が衆議院で可決されました。次は参議院での議決を経て・・・というところですが、参議院が7月16日の60日を経過しても議決しない場合は、衆議院で再可決できる『60日ルール』があります。つまり、9月14日以降、衆議院で再び可決されれば法律として成立します。

集団的自衛権の行使が戦争を認めることにつながり、「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」から構成される憲法9条の「平和主義」違反であると、再可決を食い止めようという動きが各地で起こっています。

そのなかでも、ある国会議員から「利己的な若者」と揶揄されたSEALDsなどの若者が堂々と反対の声を上げ、注目されています。

この動きを西成の若者はどう考えているのか。今回のフォーラムは高校生から30代の若者10人の声に耳を傾けました。

【視聴】教えて!ヒゲの隊長

 

まずは賛成派の意見から

10人の若者たちに2つの動画を見てもらいました。

1つ目は、自民党が安保関連改正法案の理解を深めようとつくった動画『教えて!ヒゲの隊長』。

自衛隊員としてイラク派遣を経験し、後に参議員となった佐藤まさひさ氏が電車の中で、女子校生のあかりちゃんに法案の内容をわかりやすく説明するというものです。

この動画では、改正法案は戦争法案ではなく平和安全法制であることを伝えています。法整備の必要性として、

①日本を取り巻くさまざまな脅威から、日本を守るために必要

②ミサイルを日本に向けているような相手国が軽々しく仕掛けてこないような抑止力を持つことが必要

③アメリカとの同盟関係の強化や世界の友好国との信頼獲得につながる積極的な平和主義が求められている

と3つのポイントを訴え、最後に法案が成立しても、「他国の戦争に巻き込まれることも徴兵制になることもない」と断言して動画は終わります。

【視聴】ヒゲの隊長に教えてあげてみた

 

続いて反対派の意見から

2つ目の動画は、『ヒゲの隊長に教えてあげてみた』。自民党の動画で説明を受けていた女子高生のあかりちゃんが佐藤議員の説明に反論します。

①法案が憲法違反であり、主権在民という民主主義の原則を軽視していること

②集団的自衛権などの必要性を訴える前提は脅威を煽っているだけで、現行のままでも対応できること

③積極的平和主義は、テロの危険性を高め、現地NGOなどでの日本人の平和活動を阻害し、命を危険にさらすこと

など、問題点を指摘します。

そして、最後には、望む仕事に就けず貧困に苦しむ学生や若者が自発的に金銭的好条件の自衛隊を選んでしまう「経済的徴兵制度」の危険性を指摘します。

10人の若者の感想

  • 動画を見て、率直な感想は?

○両方とも、上手につくっている。でも、反対派の方が、法案だけでなく、憲法の話などしっかりと勉強している。

○賛成派はふわっとしていて中身がない。でも、反対派は難しい。

○反対派の方がちょっと詳しい。

○反対か賛成どっち?と言われたら、答えはだせない。難しい問題であることはわかった。

○そもそも安保法案の改正の内容を知らなかった。賛成・反対というよりも、勉強になった。

○反対派の動画に出ていた女子高生みたいに、この法案を知っている高校生はいないと思う。

○賛成派はええトコばかり。反対派は悪いとこばかりで、何がほんとかわからない。

○どっちもよくわかった。どちらがええかわからん。

○反対だろといわれれば反対になる。でも、もうちょっと説明してほしい。

○反対派の僕から見ると、賛成派は説明不足。きれいなことしか言っていない。

  • わからなかったところは?

○テレビでは、反対派の意見ばかりが流れている。改正安保法案が悪という論調で、少し偏っている気もする。でも、賛成派の意見が正しいのかわからない。

○戦争法案と呼ばれるようになっているけど、自衛隊員の声が聴きたい。

○賛成派は法律の内容を伝えていない。反対派が指摘する問題点を詳しく説明してほしい。

○結局、安保改正法案自体がなんなのかわからなかった。

○普段、ニュースを見ないし、新聞も読まないので。難しい言葉が多かった。ツイッターは反対派ばかりなので、何が正しいのかわからない。

○賛成派の意見がわかりやすいという人もいたが、僕にとっては難しい。結局、自分の生活がどうなるのかが、わからない。

○反対派は難しかった。普段見慣れない漢字や言葉が多い。

○結局、法律ができると何ができるようになるのかが、わからない。

○賛成派が想定したケースはありえないと反対派が言う。具体的にどうなるのか、ケースを示して欲しい。

○集団的自衛権とは何かを教えてほしい。

反対派のおじさんの一言

○賛成や反対もあるけど、みんなに伝えたいことで1つ大事なことがある。今回の法案は、『憲法違反』だということ。憲法は日本国民が守る大前提のルール。特に憲法は権力の暴走を防ぐために大切なもので、権力を持つ国会議員は憲法を守らないといけない。今回の法案だけでなく、憲法とはなにか学ぶ必要があるね。

【視聴】SEALDsという動き

 

若者が声をあげた

続いて、SEALDsの動画を見ました。軽快なリズムに合わせ、「戦争法案、絶対反対」「憲法守れ」「勝手に決めるな」と連呼する姿。60年・70年安保闘争以来、静まっていた学生や若者が再び動き始めました。

低い投票率に象徴されるように、政治に無関心だとされてきた若者が声を上げたことを、好意的にとらえるマスコミや嫌悪する議員など、それぞれ反応は違います。では、同世代がどうとらえているのか。動画を見て、感想を聞きました。参加した若者でSEALDsを知っていたのは4人でした。

同世代として

  • 動画を見て、率直な感想は?

○若い人が主張するのがええ。

○あの場に自分は立てない。立つほどの当事者感がない。

○熱い。元気がある。

○同年代の人がちゃんと理解してやっているのなら、自分もなんかしようかな。

○自分のまわりのほとんどは、今回の法案改正を知らない。でも、戦争は怖い。デモのメンバーも同じちゃうかな。

○バカ騒ぎしたいだけ?と思ってしまう。賛成、反対どっちでもいいけど、騒ぎたいだけという奴もいるのでは?

○デモの主張を聞いて、自民党は急ぎすぎていると感じた。

○ほんまにみんなが反対なんやろか?勢いだけでは。

○主張を理解してないのに、声を出している感じがする。

○ノリで反対が多そう。

おじさん・おばさんの声

○自分自身で理解しないと行動できないという声があったけど、法案の中身を完全に理解している人なんてほとんどいない。

○全部、理解した人だけが動いているわけではなく、『動かなあかん』という感情で動いている部分が大きいと思う。でもこれが大事。バカ騒ぎでもOK。言論の自由を体現している。

○60・70年代に学生運動していた人も、実はあまりわかっていなかった。わからないから動かないではなく、いまの知識で語り合うことも大切。

3つの安保を知るおじさん

○僕は60年・70年の安保を体験し、いま2015年の安保関連法案の改正を経験中です。3つを振り返ると、デモに参加している全員がわかっているわけではない。けど、大騒ぎをしている。これが真相です。でも、わからなくて良い。『大きな力が小さな力を圧することには抗する。』これが僕の考え方です。

○時の権力が結果ありきで動くことへの嫌悪感や違和感が大事。それをきっかけに、憲法を考える。民主主義を考える。1つ1つ検証していくことが、次につながる。

「戦争反対!」が民主主義

○疑わしきは被告人の利益に。という裁判の大原則があります。これと同じで、「戦争といえば反対。デモをする」というのが、民主主義のルールです。デモをしないと、本当に戦争になります。反対意見が出てきて、動くことで、戦争を少しでも遅らせることができます。

○1941年12月8日の真珠湾攻撃は、勝ち目がないと思って仕掛けたわけでない。でも、たった3年後の44年には命がけの特攻隊で戦わないといけないようになっていた。「生きて帰ってくるな」という特攻隊は完全な戦争犯罪だけど、あっという間にそこまで行ってしまう。戦争だけは早く手を打たなくては、人権をないがしろにされる状況ができてしまう。

唯一のアメリカ人として

○日本のテレビは見ない。アメリカでの議論もわからない。そんな状況ですが、みなさんの意見を聞いていて、鋭い指摘だと率直に思います。法案の理屈もあいまいで、最終的な目的が不透明な状況で、不安になるのは当たり前。

○僕はアメリカの軍国主義・帝国主義が嫌いだけど、アメリカが右を向いているのに、日本が右を向かないことに対しては、不満を抱くアメリカ人はいるだろう。でも、日本の思惑は、経済的な利益ではないだろうか。アメリカに喜んでもらって、有利な貿易条件を追求しているだけでは?

○おそらくアメリカ人の大半は日本の今の動きを知らない。報道もされていないと思う。安倍さんがアメリカに来て、オバマさんとした約束を守ろうとしているといった程度。日本が思うほど、アメリカは日本のことを考えているわけではない。

おじさんからの質問

  • 唐突にこの安保法案の改正が出てきたと思いますか?事実は真綿で首を絞めるように、ここまで到達したことを理解してください。秘密情報保護法、武器の三原則など、徐々に変わっています。軍事産業が力を持ち、言論統制が進む。これは満州事変から太平洋戦争につながった過去に似ています。この点はどう思いますか?

○昔の方が怖いと思う。いまは情報を調べることができます。

○第二次世界大戦中は国や軍隊にとって都合の良い意見しか教えられなかったはずなので、国の動きに反対できる今がそこまで危険だとは思わない。

  • おじさんは戦争に行かないけど、君たちはもしかしたら戦争行く可能性はあるよ?

○戦争にはならないでしょう。憲法に戦争をするとは書いていないし。

○戦争に行くのは怖いし、徴兵制も怖い。でも、それを決める議員が選挙で決まっていることをじっくり考えたい。

  • 最後に一言どうぞ

○自分の勉強不足を痛感した。

○みんなの意見を聞いても、動画を見てもやっぱり当事者感は出てこない。お国のためにという気にもならないし、戦争があったことは学んでいるけど、戦争が起こるとは思えない。

○なんも知らんけど、もうちょっと知りたいと思った。

○戦争反対とか賛成とか言っているけど、結局は金。戦争も金や欲で始まって、大人もみんな金でずぶずぶ。

○無知は怖い。言いくるめられる。勉強をせなあかん。

○ちょっとは勉強できてよかった。

○もっともっとわかりやすく、教えてほしい。

○今の動きが自分事にはならない。勉強したい。

○戦争に行くかもしれない。僕らが当事者であるという意識を持ちたい。

フォーラムにしなり14回チケット

フォーラム西成Vol.13本文

 

 

VOL12「18歳選挙権について」

2016年の参議院選挙から!

選挙権の拡大は、戦後すぐ1945年の女性参政権の導入と25歳から20歳への年齢引き下げ以来70年ぶりです。2015年6月、選挙権の18歳引き下げが全党一致で可決され、来夏の参議員選挙から10代の若者も選挙デビューです。

「どうせ、投票に行かへんやろ」「高校生に政治のことがわかるか?」という懐疑的な声から「若者が政治参加するチャンス」「世界的に18歳選挙権がスタンダード」という肯定的な声まで様々です。

今回のフォーラムでは当事者である「若者の声」を皆さんに届けようと、西成青年部のメンバーが高校生200人以上にアンケートをとりました。そのまとめや18歳選挙権導入のメリット・デメリットなど青年部長の山村氏が報告しました。

また、元中学教師の小林氏は今回の改正が及ぼす教育現場への影響について、自身の経験と重ね合わせながら報告しました。

 

【報告】山村 祐太 さん

■若者の投票率

6月17日の参議院本員会で、選挙権が18歳に引き下げられることが決まりました。来夏の参議員選挙から10歳代が初めて投票できます。

改正安保関連法案はいま大きな話題となっていますが、選挙権が拡大されたのは70年ぶりのことで、大きなニュースだと思います。

年代別の投票率をみると、2013年参議員選挙は20歳代33.4%、30歳代43.8%。2014年衆議院選挙は32.6%、42.1%と若い世代の投票率は低くなっています。

また、2016年から新たに投票権を得る10歳代は、大阪市内で約4万人、西成区内で約1400人。仮に投票率を3割とすれば、大阪市内では1万2千票、西成区内で420票です。選挙結果に及ぼす影響は少ないかもしれません。ただ、先の大阪都構想の住民投票ではその差が1万票でしたので、接戦になれば若者の投票が与える影響も無視できません。

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■成人=18歳?

酒・たばこ・競馬・選挙といえば20歳以上が当たり前でした。10歳代の実名報道制限や契約における保護者の同意など、少年法や民法は未成年を守っている部分も少なくありません。この取扱いも18歳に引き下げられるのでしょうか。

もしそうなれば、高校3年生でも自分の意志でサラ金を借りられるようになります。ギャンブルや詐欺などで借金漬けにならないような対策は必要だと思います。

世界のスタンダードは18歳選挙権です。兵役や徴兵と連動している国も少なくないとは思いますが、各法律における成人の取り扱いがどのように改正されていくかはこれからも注目です。

■なぜ18歳に引き下げた?

改正国民投票法で18歳以上に投票権を与えることになったので、連動していることはわかりますが、公職選挙法の改正が全会一致で決議されたというのは不思議です。

各紙面では「若者の意見が政治の場に反映される」という賛成派と「若者の判断能力はまだまだ政治を担うに未熟」という反対派が拮抗しているはずなのですが、国会は世論とは別のところで決まっている気がします。

各政党は来年の参議員選挙を見据え、若者の意見を取り入れ、支持者獲得のために、SNSを強化したり、大学に支部を設置したり、学生との対談の場を設けたり、着々と準備を進めています。

■高校生の声

今回の改正に合わせ模擬投票を実施する高校もちらほら出ていますが、これからの教育現場では政治的教育を促進することが求められ、一方で「政治活動の罰則化」という方針のもとで教員は授業づくりで困ることは目に見えています。では、当の高校生はどう考えているのか、高校2年生と3年生の200人近くにアンケートを実施しました。

大きなテーマは3つです。「①今回の選挙権改正を知っている?」「②政治の情報収集はどこから?」「③興味のある政治的テーマは何?」

①については、2年生(50.4%)よりも3年生(83.7%)のほうが「知っている」が多くなっていましたが、改正についての良し悪しについては「どちらともいえない(77.6%)」が圧倒的でした。

②については、「テレビ(86.7%)」が圧倒的で、各政党が力を入れようとするSNSなどインターネットは(11.0%)でした。ネットは興味のあることを調べるためのものであり、政治的なテーマを自分で調べたいと思うほど動機があるわけではないということの表れだと思います。

③については、半数を超える高校生が興味を持っていたたのは身近な「子育て・教育」で、3割を超えたのは「社会保障・年金」「景気対策」「労働・雇用」でした。

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あなたが興味や関心があることで、政治が取り組むべき課題は?

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【報告】小林 道弘 さん

■大阪戦略調整会議

18歳選挙権の話をする予定でしたが、その前にちょこっとだけ言わせてください。

本日、7月24日に大阪戦略調整会議(以下大阪会議)がありましたので、その説明をします。

橋下市長の大阪都構想は『二重行政解消の手段』として提案されたものでした。一方で自民・公明などは『二重行政はそもそもない。これからのことは話し合いで調整できる』と言い続けていました。その話し合いの場が今日の「大阪会議」です。大阪都構想で一緒になるとされた大阪府と大阪市だけでなく、堺市も含む2市1府の市長と知事が参加しています。

「二重行政」についての大きな見解の相違がある中で、11月には大阪市長・大阪府知事の選挙が予定されているので、維新の党や橋下市長は「二重行政の解消に向けた取り組みが、大阪会議では進まない」といったことを見せつけようとしているのか、今日は建設的な議論ではありませんでした。

ただ、都構想反対のための「大阪会議」なんてものはいりません。大阪市をよりよくしていくための「大阪会議」にしてほしい。いまは市議会で所属議員は0になった民主党でもプロジェクト・提案づくりをすすめていきたいと考えています。

■1%の参政権

投票率がこれだけ低くなると、参政権のありがたさを忘れそうになります。明治22(1889)年の選挙では、全人口のたった1%しか投票できませんでした。今でいえば、1200万円以上の年収があり、男性のみに限定されていました。ごくごく一部の人の意見が民意とされ、政治が決まっていたのです。

これが大正デモクラシーや太平洋戦争終結などの時代の変遷を経て、男性による普通選挙や婦人参政権が獲得されてきたのです。だから、「たった1票で何も変わらない」ではなく「この1票で意志を伝える」ということを大切にしてもらいたいと思います。

■政治的中立とは?

では、それを教える・伝える側の教師はどうかというと、実に難しい。先生や教師は政治的に中立な立場で生徒と接することが求められますが、日教組・全教・全日教連といった労働組合もあるように、個人の立場でも政治的に中立であれというのは限界があります。

自民党は政治的中立性の確保に向け、違反した教師への罰則導入を検討していますが、中立性を警察が判断するのはいかがなものか?そもそも中立とは、多数意見なのか、真ん中ぐらいの意見なのか、政府の見解なのか。判断は難しい。

■元教師として

社会科の教師だったので、時事問題に興味を持ってもらおうと、新聞をよく教材に使っていました。これを中立性担保のために、朝日・毎日・読売・産経のすべてを紹介しなさいと言われると時間がかかるし、賛否両論を取り上げても自分の意見で授業の濃度は変わってしまう。たとえば、改正安保法案は憲法9条違反?合憲?とか、旬な政治的なテーマを取り上げるには時間がかかる。でも、政治は時代の流れや熱というものがある生ものなので、旬に教えないと、生徒たちから貴重な学ぶ機会奪うことにもなる。

真面目に考えれば、どんどん難しくなるので、ほとんどの先生が教えなくなったり、現実的な政策課題を伝えることを避けたりするのではと危惧しています。

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みんなのこえ

■教えるではなく「伝える」

○授業で政治のことを教えるということは、テストとか評価の対象になるの?

○若い子がちゃんと判断して投票できるの?

□投票率の問題より何よりも投票に「行く」「行かない」を本人が決めることが大切。

□学校だからといって「教える」ではない。ちゃんと情報を「伝える」という姿勢が大切。授業の内容だけでなく、各クラスや図書室ですべての新聞が読めるようすることの方が大切。

□若気の至りは当たりまえ。チャレンジをして成功・失敗を重ねて、未熟なものが成熟するということをもう一度受け入れられるような社会の方が良い。

■先生よりも「親」

○なんで若者は選挙に行かないの?

□「若い割に選挙行くやん」「年とってるけど選挙行かへんの」というのは、つまるところ個人。

□若者だけが選挙に行かないのではなく、50歳代でも選挙に行かない人はいっぱいいる。

□60歳代を超えると選挙に行く率は高くなるけど、年齢を重ねて成熟するし、何よりも時間もある。

□経験則だけど、親が選挙に行く家庭で育つと、選挙に行く子供たちも多い。

■18歳投票権は「憲法違反」?

○そもそも酒とたばこ、選挙は20歳。なんで勝手に変えることができるの?

○18歳は未成年なのに、選挙できるのは憲法にあっている?

□憲法第15条には「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」とあります。

□憲法には成年者の具体的な年齢は書かれていませんが、これまで20歳だったので、厳密に言えば憲法違反でしょう。でも、「憲法違反」と大きな声もあがらなかったから、そのまますんなりと変わったのでは?

□憲法改正の国民投票法案と重ねているから、憲法9条と改正安保法案だけでなく、憲法15条と18歳選挙権など現況と憲法の整合性のなさを取り上げる作戦だったりして。

■今回の改正で変わるもの

□報告にもあったように、参政権だけでなく、他の法律も随時18歳以上が成年者のスタンダードになるだろう。

□成年者が18歳になるということは、サラ金も高校3年生をターゲットに動くだろうし、犯罪は実名報道になるだろう。

□責任が与えられる一方で、これまで見過ごされてきた「若者福祉」という概念が出てくることにも期待したい。たとえば、高校進学率が97%を超え、半ば義務教育と化した時代に、高校中退者を支えるセーフティネットはない。

□各政党が若者票の獲得に動いているように、選挙権のあるなしで対応は変わってくる。

□高校生や若者に意見を聞くだけでなく、次は政治家のみなさんに若者に向けてのメッセージを聞くのもおもしろいかも。

□でも、結局は少子高齢化が背景にあって、若者にも現実を知ってもらいたいという押し付けにならなければいいけど。

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フォーラム西成Vol.11本文

山村氏 当日資料 18歳選挙権について

山村氏 当日資料 高校生アンケート

小林氏 当日資料 18歳選挙権

VOL11「総合区について」

『現状維持』が民意?

5月17日(日)の住民投票の結果、反対:70万票vs賛成:69万票となり1万票の僅差で、大阪市24区を廃止し、5つの特別区に再編することは否決されました。

「シルバーデモクラシー」や「南北問題」など要因を分析するいろんな声はありますが、民意は「大阪市を残そう」でした。ただし、この僅差は「大阪市はこのままではいけない。」という民意の存在を改めて示すものでもありました。

『都構想』に反対する陣営は「大阪都にしなくても、『総合区』を導入すればできる。」と市民に訴えてきました。市長の言葉ではありませんが、改革のバトンが『都構想』から『総合区』に移りました。

約1か月ぶりのフォーラムにしなりでは、『総合区』にスポットをあて、「議会ではどんな話になっているのか」「総合区でやってみたいこと。できること。」をみんなで確認しました。

都構想選挙結果のコピー

【報告】寺本 良弘 さん

■都構想を振り返る

僅差の土俵際で大阪市は残りました。『都構想』は否決されましたが、大阪市が抱える課題は残っています。課題を一言でいえば、「これからの大阪市の自治、地方行政のあり方」です。

この背景には大きく3つの問題があります。1つ目は「大阪市3兆円、大阪府6兆円。あわせて9兆円の借金」、2つ目は「少子高齢化が進む大阪」、3つ目は「夜間人口266万人昼間人口370万人の母都市大阪市のありかた」です。

『都構想』はこれらの解決策の一つとして、府と市の財源を一元化し、大阪府全体で行政を執行し、借金を減らそうとした提案ともいえます。

■対案としての『総合区』?

『都構想』の対案として、『総合区』があると考えていたのですが、なかなかその姿は見えません。

24区で一気に実施するのではなく、「平野・東淀川区、中央・北区などでモデル的に実施して、最終的には11区で実施する。」とも言われていますが、合区することとなれば、都構想と何が違うのか、はっきりとはわかりません。

柳本議員は改革の必要性は認識しながらも、「『総合区』を『特別区』に対しての対案と捉えているわけではない。・・・(中略)・・・我々も現状維持を重んじるわけではないことから現状を転換する方向性として『総合区の活用』を提案しているのだ。」と述べ、『総合区』は『特別区』の対案ではないとも言っています。

このままでは、現状がよくないことはわかっているけど、ふたを開ければ、現状のままということになりかねません。

問題を先送りにしないためにも、『総合区』頼りになるのではなく、今の枠組みでもやれることをしっかりと考えていきたいと思います。

■西成からはじめよう

西成区では2016年に見直される「地域福祉計画」を活用して、地域課題にアプローチしようと話し合いが始まっています。また、西成特区構想で取り組まれてきた「学力向上支援」や「プレイパーク」などいろいろな取り組みが芽生えています。でも、「誰がやるのか」「お金が続くのか」という問題は残っています。行政の財源が潤沢であれば問題ないでしょうが、それはない。

やっぱり、新しい公共や市民協働という発想で官民が手を取り合い、お金をかけずにできる方法を考えることが大切です。

横浜の福祉クラブ生協では、子育て支援ワーカーズコレクティブで子どもの預かり事業を始めていますが、保育所に準ずる要件を満たそうとすると面積や保育士などコストがかかりすぎます。だから、コストを抑えながら提供できる体制とサービスを理解してくれた組合員が利用しています。

西成のプレイパークでも、木から落ちてけがをすることもあるというリスクは残しながら子ども達が元気に遊んでいます。けがをしたらすぐに閉鎖されるブランコよりも、こっちの方が楽しいと思いませんか?

行政任せになると、リスクを全部取り除くためのコストや使い勝手の悪さを利用者が受け入れざるを得ません。だからこそ「リスクとコストを利用者と合意」しながら、いろいろチャレンジしていくことが必要ではないでしょうか。

民は民で頑張って、足らずの部分を行政が応援する。そうした志でがんばれば、少しは大阪市の自治のありかたが見えてくると思います。

福祉クラブ生協

 

【報告】冨田 一幸 さん

■総合区でやってみたいこと

『総合区』の話は議会では、なかなか進みませんが、総合区でやってみたいことを10の理由にまとめてみました。

①公募区長と区政会議で、大阪市はもう「半分総合区」。

②「総合区」は一つの方法で、重要なのは「都市内分権」。

③「西成特区構想」で、西成区は都市内分権の「先行区」。

④「予算提案権」が公募区長で、「予算編成権」が総合区。

⑤「総合区条例」ではなく、「総合区共同提案条例」になる。

⑥リコールもあれば、擁立区民運動もあるのが「総合区長」。

⑦税外収入や互助(非貨幣)で、「ない袖を振る」のが総合区。

⑧福祉は市域では「線」に止まり、区域では「面」になる。

⑨総合区に無料職業紹介所を設置すれば、雇用の「地産地消」。

⑩「エリアマネジメント」で「地域立・地域運営」隣保館ができる。

■大阪市を身近にする

少し、ポイントを整理すると、24区か11区かということでいえば、24区のまま総合区を導入しないと意味がありません。それは「都市内分権」が大切だからです。

いまの大阪市は大きすぎて、教育と福祉が苦手です。周辺の市町村と比べると、差がついています。大きすぎると地域の問題に焦点が当たりにくくなります。たとえば、西成では高齢者がすごい勢いで増えています。でも、特別養護老人ホームの新設は非現実的です。それよりも、市営住宅を準特養的に活用できるように、いまの住まいにサービスをつけるほうが現実的です。そのために大阪市全部の合意を取るのは大変です。西成区の合意であれば、問題意識も共有できるので、実現は可能です。

「西成特区構想」では、バックパッカー向けのゲストハウスをつくろうと『観光のまち』構想が動き始めています。これは、地域を指定して新たな取り組みをすすめる都市内分権の先駆的な取り組みです。

これらを実現するには、自分たちで『ルール=条例』をつくって、『予算を配分』することが必要ですが、議論されている総合区の枠組みでは、実現できるとは明確に書かれていません。これでは、公募区長制度や区政会議が導入されたいまとあまり変わりません。

だからこそ、実質的に総合区が提案した「条例」や区長による「予算編成権」が実現し、住民が推薦した人が「区長」になれるような工夫と知恵が必要です。

また、限られた予算の中で地域を経営するという発想が求められます。それは「地産地消型の労働市場」であったり、地域の互助を育む「民営隣保館」であったり、身近な地域でできることをみんなで出し合いながら、実現させていく仕組みが『総合区』だと思います。

そのためには、「西成区をなくせ・残せ」で仲たがいした区民の仲直りから始めましょう。

 

【報告】小林 道弘 さん

■住民が提案するチャンス

市議会での『総合区』の検討状況はまだまだこれからです。具体的な内容を集めようとしても、各会派とも内容を検討中で、提案できる段階ではないと、資料がありません。急ぐ橋下市長や維新の会とじっくり検討したい自民党・公明党という構図です。

住民投票の結果を考えると、市議会での議論を待つのではなく、住民が提案していくチャンスではないでしょうか。

■総合区の区長

総合区の区長について書かれていることを整理します。総合区の区長は選挙で選ばれるわけではありません。大阪市が特別職の公務員として任命します。任命された区長には、人事権と予算提案権はあるけど、執行する権利は市長や担当局が握っています。簡単に言えば、いまの副市長とよく似た役職です。

この予算提案権が実質的な各区の予算として機能できるような仕組みが大切です。都構想にしたら税収が増えるわけでなかったように、総合区にしても税収が増えるわけではありません。限られた財源のなかで、総合区で提案した予算が、市役所や関係部局に調整された結果、今と変わらないということがおこらないようにしないといけません。

総合区の設置

■地域の提案に権限と予算を

西成特区構想で西成区長は独自の予算をもち、重点事業を実施してきました。2つの大きな柱に「①子育て環境の充実」「②安心・安全に暮らすことができるまちづくり」をあげ、あいりん地域の環境整備や子どもたちの遊び場や学力向上、簡易宿所の改善事業など独自に組んでいます。

この流れを継承し、新しい提案を実現させるためにも、ニューヨークのコミュニティ委員会のような仕組みができないか考えています。ニューヨークは800万人の人口がいますが、59のコミュニティ委員会があります。この委員会が予算を提案したり、住民サービスの評価をしたりしています。

総合区の実現が難航するのであれば、24区のままで現在の区政会議やあいりんまちづくり会議を発展改組し、『西成区コミュニティ委員会(仮称)』をつくれないでしょうか。

『コミュニティ委員会』で、西成の文化活動に寄付を募るプランをつくったり、芦原橋・今宮・新今宮の駅前に広がる未利用地活用計画を作りあげたり、そうした活動を行いながら、大阪市や西成区に提案していくことが、いまできることだと思います。

上からの統治を待つのではなく、下からの自治をつくるためにできることを始めていきましょう。

写真

 

みんなの声

■いまの公募区長制度

○公募区長制度はすでに導入されていて、各区独自の取り組みを進めているけど、なぜだか、批判をしにくい。臣永西成区長は就任した時に、「①生活保護を半分に減らしたい」「②公務の民営化で若者のしごとづくり」「③西成をきれいなまちにしたい」と約束をしたけど、この3つは思うように成果が上がっていない。一方で西成特区構想ではがんばってもいる。でも、まちの人と話をしても、区長の批判や評価はあまり出てこない。

○総合区の区長は区民がリコーできるので評価はできる。でも、自分たちで選ぶことができない。

○総合区長が市役所からのあて職だと、臨場感にかける。やっぱり地域の声で選んで、地域で評価し、区民も選んだ結果を受け入れていかないと、役所任せになってしまう。

○そもそも市役所が区長を選ぶことができるの?地域の声を聴けるのか疑問。結局、声の大きい人の意見を聞いて選ばれた区長になるのでは。

■18歳から選挙

○2016年の参議院議員選挙から18歳も選挙権を持つことになる。これで若者政策に焦点が当たる選挙になればいいけど、若い子はどうやって候補を選ぶんだろう。

○先日、京都で2000人を超える学生が安保関連法案改正への反対デモをした。少しずつ、政治に興味をもつ若者が増えているんだろうが、「政治」「宗教」「プロ野球」の話題は初対面では避けるべきといった風潮もあるなかで、若い子は政治に触れる機会はあるんだろうか。

フォーラムにしなりチケット

フォーラム西成_Vol.11本文

小林道弘氏_資料

VOL10「わいわいがやがや 西成区」

■わたしらの声

5月8日の第10回フォーラムにしなりは、資料はありません。西成区民と西成区を拠点に活動する政治家のみなさんに登壇いただき。わいわいがやがやみなさんの思うところを話していただきました。今号では、その声を少しだけ紹介します。

 

■西成区民Sさん

先日の新聞で、学識者100人が大阪都構想に反対する記事を読みました。都構想では、これまで大切にしてきた市民の「安心・安全・防災」の記載がないことを知りました。わたしはいまのままでは、正直不安です。同じように大阪市の歴史と財産が奪われるの?西成もなくなるの?生まれ育った『西成』を私たちの声で守っていきたいです。

■西成区民Aさん

くしくも、住民投票日の5月17日は私の誕生日です。だから話すわけではないですが、橋下市長は人のお金を使うのが得意だとつくづく思います。いまの都構想のCM費用は4億5千万円。先の市長選は6億円。あわせて10億。まさか、大阪府には6兆円のすごい借金があるので、それを薄めるために大阪市を吸収して「都構想」と言っているわけではないですよね。

そして、バブル時代の大阪市と大阪府のビル建設を二重行政の象徴と言いながら、カジノ建設や特別区の新庁舎建設などバブル時代を彷彿させることを提案する。なんかおかしないですか?

専門家もこれだけ反対して、維新の会以外も反対しているし、急がずにいろんな人の話を聞いて、大阪のことを考えようよ。

■西成区民Hさん

西成区で居酒屋やってるけど、橋下市長がやっていることは「西成区はそんな邪魔か?」「年寄りは、はよ死ななあかんか?」。そうとしか思われへん。僕は都構想に反対です。

■議員の声

区民のみなさんの声をうけ、小林みちひろ 前大阪市会議員、前田おさみ 大阪市会議員、川岡栄一 大阪府議会議員、柳本あきら大阪市会議員に登壇いただき、「都構想」について現実生活への影響やこれまでの経過など、それぞれに説明をいただきました。

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VOL8「都構想反対の集い」

■いま一度、都構想を勉強しよう。

フォーラムにしなりでは、第1回から第7回まで、「①人口減少問題」「②西成特区構想」「③民営化問題」「④防犯と町会」「⑤大阪市を解体していいのか」「⑥大阪市を廃止していいのか」「⑦これでどうなる大阪経済」と計7回にわたり、身近な問題や大阪市のこれからを語り合ってきました。『都構想』の住民投票にも影響がある統一地方選挙の前日(4月11日)に開催された第8回フォーラムにしなりでは、パシフィック・シアターでこれまで学んできたことをおさらいしました。

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【発題】荒木 幹雄 さん

■大阪市分割・解体『都構想』のスケジュール

①投票日は5月17日です。

②住民投票の告示は4月27日。そこから『都構想』の賛否を問う選挙運動がスタートします。

③投票用紙には、○×ではなく、『反対』か『賛成』を書きます。

④投票するのは『都構想の賛否』ではなく、『特別区設置=大阪市24区を5区に分割・解体することへの賛否』。つまり、堺市や八尾市、東大阪市、大阪府が変わるわけではなく、『大阪市』だけ変わるということの住民投票です。

⑤住民投票で賛成が過半数を超えると、『2017年4月に大阪市は解体され、5つの特別区に移行します。』

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■好き嫌いでなく、しっかり考えよう。

5月17日は『反対』と書きましょう。その理由は『都構想』が実現すると、未来はバラ色という意見が多いのですが、ほんまにそうでしたか?これまでのフォーラムにしなりで勉強したように、いまの大阪市は『政令指定都市』です。

政令市は予算・権限も都道府県並みに大きく、大阪市のことは大阪市民で決めることができます。これを政令市である大阪市と大阪府があると「二重行政」で無駄だから、「大阪市」をなくすというのが「都構想」の始まりでした。でも、お隣の堺市も政令市になりました。大阪市を5つの特別区に分割・解体して、予算・権限が小さくなる『中核市』なみにするというのは、堺市とはまったく逆の方向性です。これを『住民投票』で決めるということです。

予算・権限が大阪府に移っても、今と変わらないサービスを維持する予算をしっかりつけるとはいっても、大阪府議会のなかで大阪市選出議員は3割程度です。どの議員も自分の市町村の予算確保に必死なのに、5つの特別区に本当に配慮するのでしょうか。

そして、都構想が可決され場合の西成区は新中央区の一員になります。人口30万人以上の新中央区の議員はわずか13人。人口2万人都市と同水準です。西成区という名前も消える可能性があります。

その他いろいろありますが、これからの大阪市、これからの世代の方向性を決める大切なことなので、橋下市長が「好き⇒賛成」「嫌い⇒反対」ではなく、しっかり考えて投票してください。

■それでも「わからない」なら『反対』と書きましょう。

いくら考えても「わからない」ときは『反対』と書きましょう。実は、細かいことや自らの暮らしがどう変わるのか?わからなくて当然です。あやふやなことが多すぎて、「わからない」のです。

でも、大阪市が5つの特別区になったら、後戻りできません。だから、「わからない」なら『反対』を勝ち取って、大阪市をよくする方法をもう一度議論しましょう。

 

■次回のフォーラムにしなりは、

4月27日 18:00~ 「憲法改正と国民投票」

報告:谷元 昭信 氏

会場:市民交流センター にしなり

当日資料

VOL9「憲法改正と国民投票」

住民投票前に憲法を考えた

統一地方選挙も終わり、大阪市24区を廃止し、5区に再編することの是非を問う住民投票が、4月27日に告示されました。投票日は5月17日(日)です。賛成派・反対派の選挙カーもまちなかでよくみかけます。いよいよ大阪市の行く末を決める日が近づいてきました。

「住民投票は憲法改正の予行演習である」といった発言もありましたが、住民投票前の5月3日は憲法記念日です。そこで第9回のフォーラムにしなりでは、「憲法改正と国民投票」を取り上げました。「憲法」とは何か。そんなところもみんなで学びました。

谷元氏の講演に先立って、フォーラムにしなりでも何度か発言いただいた小林みちひろ氏が、選挙のお礼と、力及ばず落選という結果になったことを報告し、これからも人権確立システムの構築や教育問題など、みなさんとともに大阪市の将来を考えながら、頑張っていきたいと決意を述べました。

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【報告】谷元 昭信 さん

■2016年に国民投票?

都構想の住民投票は憲法改正の国民投票の模擬投票と橋下さんが言うように、都構想・憲法改正問題が一連の流れとして、国レベルで着々と進められているということです。

来年の参議院選挙が終わって、与党が国会議員の3分の2を確保したら、秋の臨時国会で憲法改正を提案し国会で決まれば、60日から180日の間に国民投票が行われるわけです。早ければ来年(2016年)末までには国民投票があるかもしれない、事態は窮迫していると言えます。

■投票権は18歳以上

いまの憲法は1946年に公布されて、1947年5月3日に施行されました。だから5月3日を憲法記念日と呼ぶわけです。今の憲法を変えようと思ったら、国会で3分の2の賛成を得て、そのあと国民投票にかけなければならないという規定が、憲法96条にあります。

しかし、国民投票のやり方については、決められないままになっていました。この国民投票の具体的な手続きを決めたい、と言い出したのは第1次安倍内閣の時で、国民投票法が決められました。2007年5月に交付され、3年間の猶予期間を経て、2010年5月に施行されました。

投票権は18歳以上とされましたが、20歳以上を成人とする既存の法律などとの調整が必要で2014年には国民投票法の一部が改正され、暫定的に投票権を18歳から20歳にしています。改正法は2018年6月までは有効で、その後はまた18歳に戻すことになっています。国民投票法を改正したり、なぜだか、安倍さんは焦って憲法改正をしようとしています。

■憲法は権力を縛るために

憲法改正国民投票とはどういうしくみになっているのか?5つの段階があります。まずは、「①国会で憲法改正の発議」をします。次に「②衆参それぞれで2/3以上の賛成を得て可決」します。そこから、「③憲法改正案を作成」します。そして「④国民に提案」し、最後は「⑤国民投票」で決めます。

憲法改正は政府提案ではなく議員提案です。これを理解するには、『憲法』とは何かを少し知ることが必要です。憲法の3大骨格「主権在民」「平和主義」「基本的人権」であったり、法律で最も大切なのが憲法だということなどは聞いたことがあるでしょうが、少しだけ詳しく説明します。

まず、日本という国は『立憲主義』です。立憲主義は一言でいえば、憲法に基づいて国を運営していくということです。

日本は『議会制民主主義』の国でもあり、その根幹には、国民・民衆が主権を持って国を動かす『主権在民』という考えがあります。この『主権在民』というところが非常に大事です。

主権を持つ国民みんなで議論して決めることができればいいですが、現実的に不可能です。だから、国会議員を選んで、議会を作って、自分たちの代表者に国を動かしてもらう。これが『議会制民主主義』です。

代表者に自分たちの想いを託すにあたっては、権力が自分勝手に動くと困る。そこで、守ってもらわなければならないルールを作る必要がでてきます。そのルールを決めているのが『憲法』です。つまり、権力者が勝手に動くことを縛るのが憲法なのです。ここをよく考えてください。「憲法に基づいたこと以外はしてはいけませんよ」と権力者を縛るのが日本国憲法の性格です。

そして、憲法99条には、この憲法を守るのはどういう人たちか、ということが書いてあります。天皇・国会議員・裁判所・国家公務員こういった権力を行使する人たちは、憲法を守る義務がある。したがって権力の中枢を握る政府が憲法を変えるという発議をすることはできません。だから、国民の代表者である国会議員が憲法改正を提案するということになります。

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■憲法改正へのみちのり

国会で憲法を変える発議がなされると、憲法審査会が開かれ、改正に向けた問題や方向性が議論されます。そして再び国会で2/3以上で可決されると、その中身を国民に提案するため、憲法改正広報協議会が作られ、なぜ憲法を改正するのか、どこをどう変えるのかを国民に周知します。そして公職選挙法に基づいた形で、国民投票運動が行われます。最後に国民投票が実施されます。過半数の賛成で決まります。決まれば内閣総理大臣が公布の手続きを取ります。改正憲法は、天皇が国民の名において公布します。

道のりだけを知っても、憲法改正手続きの問題点はあまりわかりません。そこで、5月17日に開かれる大阪市廃止・分割「都構想」の住民投票をイメージしながら、問題点を指摘します。

■憲法改正手続きの問題点

憲法改正手続きの問題点は、大きく3つあります。1つ目はどさくさに紛れて、他の大切な要件も一括して提案される危険性があり、賛成派の意見が中心になるということです。憲法という大きな話と一緒に出てきたら他のことは議論されません。

「都構想」の協定書もそうでしたが、憲法審査会のメンバーは、国会議員の数に応じて会派ごとに振り当てられます。つまり、与党が多数になり、反対派の意見が反映されにくい、賛成派が中心の内容・方向性が審査会で決められ、賛成派の意見を強調した広報が展開されます。

また国民投票における最低投票率が決まっていません。「都構想」の住民投票も最低投票率が決まっていません。イタリアや韓国では有権者の50%という数字が決まっていますが、日本にはありません。どれだけ低い投票率でも、賛成が上回れば、改正される危険性を持っています。

2つ目は、投票までの期間が短いと言うことです。2ヶ月から半年です。

「都構想」という言葉が登場し5年近く議論され、いざ投票となっても、わからないことばかりという大阪の状況をふまえると、憲法改正については、投票までには最低でも1年・2年をかけて議論するくらいの丁寧さが必要です。

3つ目は、国民投票運動の規制の問題、公選法を適用しますから、公務員や教師、大学の先生などは厳しい規制がかかることです。

「都構想」では大阪市の公務員にかん口令が敷かれていますが、憲法改正も同じで、同じ国民であるはずの公務員や教師は自由な国民投票運動を制限されてしまいます。

■民主主義の根本とは?

憲法を改正するときに、何を根本において考えていくか。民主主義とは何かという根本議論から、憲法改正を考えていかねばならなりません。

民主主義の根本は人民主権です。人民が権力を握る。そのときに大前提となることは、人民間平等と言うことです。一人ひとりの人間が平等の権利を持っています。これが崩されると民主主義が成り立ちません。つまり、差別があると民主主義が成り立たないと言うことです。

最近、ヘイトスピーチと言う問題が起こっていますが、司法は差別だと言う判断をしています。在特会という団体は、我々は憲法に保障された「表現の自由」を行使しているだけと言っています。表現の自由があるから差別も許される。これは納得できません。

「表現の自由」を保障した民主憲法、人権と言う根本には、大前提として平等原則がある、これを犯すような自由権は認められない。だから表現の自由は大事だけれども、差別する自由はない、と言うことです。これが根本問題です。

■自民党の改憲草案

自民党の改憲草案というのがありますが、その骨格は、「①天皇の元首化」「②自衛隊を国防軍に」「③国益を犯されるときには、基本的人権を制限する」「④国民の義務を憲法にもりこむ」です。

先ほど言いましたが憲法は権力を縛るものであって、国民を縛るものではないのに、この方向性はおかしいのではないでしょうか。

しかも、気をつけなければならないのは、憲法改正にむけての布石は改正前から着々と進んでいると言うことです。それは「集団的自衛権」「特定秘密保護法」などです。

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「集団的自衛権」だけでなく、その裏では自衛隊が武力を使えるようにできたり、どこにでも行けるようにしたり、国連の決議がなくとも判断し行動できるようにしたり、自衛隊の活動範囲の拡大に向けた法改正の動きがあります。

表向きには、「特定秘密保護法」は国益を損なうことが無いように定めたことになっていますが、悪巧みをするときには、その情報を国民に知らさないようにする法律です。国民の代表である国会議員ですら何が秘密にされているかわかりません。事実、2014年度末までで、20万近い文書がこの法案の対象とされ、国民の知る権利が制限されています。

その次には、権力批判を封じ込める動きが始まっています。国会での福島発言やテレビ朝日で政府批判をしたら、政府に呼び出されるなど、都合の悪いことは国民に伝えない、知らせない姿勢が目立っています。

だからこそ、「都構想」の住民投票やその後に続く憲法改正についても、権力に対してしっかりと物を言っていく、国民運動を創りあげていくことが大事だと思います。

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みんなのこえ

■小選挙区と中選挙区

○今の選挙制度は小選挙区制で、わずかな得票率の差でも議員の数でみれば、大きな差が出る。憲法ができた時は、中選挙区制で得票率が反映される議員の数になっていた。

○その時代と今の議員定数の3分の2は全然違うのに、誰も指摘しない。衆議院で自民党は3分の2近くの議席を占めているけど、先の選挙の投票率は、5割ちょっとで、小選挙区の得票率は5割以下、比例で3割ちょっと。これだけの民意で憲法改正というのは、憲法が定められた時の精神を引き継いでいるのだろうか。

○ただ、「都構想」と「憲法改正」を比べると、選挙で選ばれた市長と議院内閣制で選ばれた総理大臣という違いはある。つまり、「都構想」に反対であれば市長選で直接戦うという選択肢もあったが、「憲法改正」にはその道はない。

■アメリカから押し付けられた

○今の憲法は太平洋戦争の後に、アメリカから押し付けられたもの。日本の手でもう一度改正しなくてはいけないところもあると思う。ちゃんと向き合う必要がある。

○自分の国は自分たちで守ることにすれば、沖縄の悲惨な状況が少しでも変わるかもしれない。

□憲法改正は悪いことではありません。ただ、どこを変えるのか。その前提には民主主義の精神が最も大切だと思います。だからこそ、都構想もそうですが、賛成・反対と言いあうだけでなく、合意にむけた努力は必要です。

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フォーラム西成Vol.9本文

谷元氏 当日資料

 

VOL7「これでどうなる大阪経済」

ハルカスが泣いている?

先日の新聞記事で「あべのハルカス」にある近鉄百貨店が3年ぶりに赤字転落することが発表されました。

日本一の超高層ビルはちょうど1年前の3月に全面オープンしたところです。国内外からも大勢の観光客が訪れ、大阪の新名所として、展望台やハルカスに入る高級ホテルは好調といわれていますが、明暗がはっきりでています。

百貨店の不振が近鉄グループ全体にも波及する恐れがあるなか、好調なホテルや展望台と連携した『オールハルカス』体制での再建を目指すという報道もあります。

カジノや万博の誘致に成功すれば、大阪経済は良くなるという方もいますが、「ハルカス」のいまをみると、大規模な開発だけで景気が良くなるとは、にわかには信じられません。

第7回のフォーラムにしなりでは「大阪経済」について、じっくり考えてみました。

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【報告】高見 一夫 さん

■市民の目線で考えた

今回いただいたお題は「これでどうなる大阪経済」あまりにも大きなテーマです。大学の先生でもないし、研究者でもない。ただの一中小診断士がお話しできることは、中小企業をみてきた経験から、自分の思うこと・感じることを伝えるだけです。そこでいろいろ調べて、勉強をしました。

まず、5月17日に実施される住民投票「特別区設置協定書」を何回も読み、経済政策の部分を探しましたが、何も見つけることができませんでした。

はっきりと書かれていたことは、大阪市を「①5つの特別区に解体」し、「②予算を区・府・事務組合の3つに分ける」ことです。そして、論点は「市民サービスと行政コストはどうなるの?」に集約されているように感じます。

個人的にはお金を握るものは強いので、4700億円が府の財源になると市民サービスは低下し、区役所整備に600~800億円がかかり、調整に手間のかかる巨大な事務組合ができたら余計にコストは上がると考えています。

■いつか来た道?

協定書では何も見つけることができないのに、都構想には3つの柱があります。「①『集権化』による経済成長戦略」「②『分権化』による二重行政の解消」「③『効率化』による住民に近い基礎自治体の実現」。この具体像を知るために、維新の会のマニュフェストを調べてみました。

都構想が実現した際に、大阪都が実施する「大阪広域マニュフェスト」と5つの特別区が実施する「特別区マニュフェスト」を維新の会は掲げています。

大阪広域マニュフェストのなかに「大阪都の経済成長戦略」がありました。大阪都を「国際エンターテイメント都市」として年2%以上の経済成長を達成させるそうです。その具体的な中身は、「大阪万博をやろう」「カジノを誘致しよう」「いろんなイベントをたくさんやろう」「リニア新幹線など交通インフラを整備しよう」といった内容です。

これらの大規模プロジェクトや集客イベントを実現するには、知事への権限集中が必要で、そのためには都構想が欠かせないといったところでしょうか。

つまり、都構想での経済成長戦略の考え方は「中央集権型大阪を作り、内外の都市間競争に打ち勝ち、アジア等の購買力を取り込み、成長を高めること」でしょう。

でも、よくよく考えてください。東京オリンピックが1964年、大阪万博が1970年、その時に新幹線も開通しました。2度目の東京オリンピックが2020年、2度目の大阪万博が2025年、その時にリニア新幹線が開通する。提案している内容は、高度経済成長期とまったく一緒ではないですか。

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■いまどんな選択をすべきか?

高度経済成長ができるのであれば、それに越したことはありません。でも、当時と今では状況が違います。

まず、日本の人口は減少しています。日本のGDPは個人消費が6割を占めています。ここがまず小さくなっていきます。

カジノは過去に大負けした苦い思い出があるので、個人的には嫌いですが、感情を除いても、国内で大阪だけにできるわけではない。ましてや、アジアを見渡すとマカオや韓国、シンガポールにすでにある。その点のマーケティングはできているのか心配です。また、カジノは単なる博打で胴元はもうかるけど、利用者全体でみると必ず負けています。その結果、大阪経済の個人消費は落ちるでしょう。

日銀が円安を誘導し、海外からの観光客も増えて、「爆買」と呼ばれる現象がおきたり、海外の成長力を取り込む観光振興戦略自体は賛成です。新今宮も海外旅行客で賑わっています。でも、中国の経済成長に陰りがみえ、ウクライナ問題やEU、中東など不安定な海外情勢を考えると、そこだけに頼るのは不安です。

集客イベントも一時的効果には期待できますが、『ニーズの先食い』にならないよう、後をしっかり考えないと『祭りのあと』になってしまいます。オリンピックの後は、急速に経済が冷え込むことが多く、2021年は修羅場になるかもしれません。

結局のところ、一時はにぎやかになるかもしれませんが、潤うのは外資系企業や大企業だけで、WTCやATC、フェスティバルゲートの二の舞となるのではと危惧してしまいます。

一方で、お年寄りはすごい勢いで増えて、空家も増えるといったインナーシティ問題や生活困窮者のしごとをどうするかといった視点が、維新の会のマニュフェストには、ほとんどありません。大阪の経済戦略はこれでいいのでしょうか。

■ヒントは身近にある

いま、梅田と阿倍野では百貨店戦争が起こっています。駅前の再開発で新しいビルが建ち、にぎわいができています。これは喜ばしいことですが、ハルカスはお客さんが1.9倍になったのに、売上が1.4倍に伸び悩んで、1450億円の予測が1115億円に下方修正され、20億円の赤字になりました。一言でいえば、店をつくりすぎた結果です。

でも、「店をつくりすぎですよー」という『オーバーストア状態』は、2006年には経産省が指摘していました。また、「大きな店をつくり、人を集める時代は終わり、これからは、お店が地域に近づいていく時代」とも言っています。お年寄りが増えると、郊外型のショッピングモールのように車での移動を強いる集客型ではなく、コンビニでも宅配をはじめたように、御用聞きのような接客型が小売りの中心になるということです。

集客という意味でも多くの人を集めようと開発されたフェスティバルゲートはなくなったけど、昔ながらの新世界はにぎわっています。大規模開発や新しい施設をつくるだけでなく、地域に根付くお店や歴史、文化を大切にする方法もあるのではないでしょうか。

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■懺悔する 元行政マン

元行政マンがこんなことを言っていました。

「これまでは、大阪を元気にしようとしたら、大企業や大きな工場を誘致する方法だった。それらを軸に、地元の産業構造を構築しようと思った。でも、一番大切な地域の企業が元気にならなかった。本当に地域の未来を託せる企業なのか。地域に根差した企業なのか。そうしたことをもっと考える必要があった。」確かに、身近なところでは堺市や尼崎市の大規模工場の誘致が思い当たります。

また、こうも言っています。

「地域に根差している中小企業施策が弱かったが、これからは地域資本を意識的に形成する必要がある。産業振興は3年間だけのものが多く、それが終わると元気がなくなってしまう事例も多い。まちづくりはずーっと続くのだから、そこから産業振興を考えるべき。企業と住民と行政が力を合わせて、まちや産業を育てていきたい。そのためには、住工混在の問題はあるものの、大阪のように産業が集積すること。働く人を育てていくことが大切だ」。

少し専門的な言葉になりますが、大阪府ではこれらの反省から『エコノミック・ガーデニング』の研究を進めています。要は、企業誘致ではなく、地元企業が成長する環境づくりで産業振興をしてみようということです。

■西成をみてみよう

1996年と2012年の統計データの比較をすると、事業所は大阪府が76.8%になり、西成区は59.4%。従業者数は大阪府が84.6%、西成区は72.2%と大阪府より西成区の方が減少傾向は、はっきりと出ています。

確かに、5人未満の事業所は大きく数を減らしました。でも、5人以上の事業所は踏ん張っていますし、20人以上の事業所は、横ばいもしくは増加傾向にあります。

また、医療・福祉は西成区の成長産業です。1999年と2012年で比べると147.8%になっています。全体でみると元気がなくなってばかりにみえますが、細かくみると頑張っているところが見えてきます。これが地域の成長を考えるうえで大切なことです。

■あちこちではじまる新たな動き

小さい動きかもしれませんが、大阪のあちこちでおもしろい取り組みが始まっています。

1つが芦原橋の「アップマーケット」。この5年で難波から芦原橋にかけて、たくさんのマンションが建設され2000人近くの方が流入しています。この住民さんたちにも、もう少し足を延ばして、芦原橋に来てほしいというイメージではじまったイベントです。

そんじょそこらにあるものではなく、こだわりの食べ物や商品を扱うお店が集まるマーケットで、2013年6月からスタートし、毎月第3日曜日の開催で、今では1500~2000人が参加しています。

イベントとしてのアップマーケットは続けながらも、一過性に終わらせないでおこうと、次は芦原橋駅の高架下にあるシャッター通りの再生に取り組み始めています。靴やかばんづくりの店も3軒ありますし、アップマーケットでも店舗を出そうと話し合っています。

こうした動きが何かを呼び寄せるのか、駅近くの古い建物を塗り替えて事務所をつくり、空いたスペースをフリーに使えるスペースにするメンバーも現れてきました。

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もう1つが大東市の「住まいみまもりたい」。ここは地域の困りごとや生きづらさを種に、新しい生活サービスをどんどん生み出しています。

もとは粗大ゴミの搬出サービスから始まったのですが、家の中に入ると、いろいろニーズがみえてくる。このニーズをサービスに変え、自分たちのできないことは、地域のいろんな事業所とネットワークをつくって、解決しています。

困りごとや生きづらさ持った人が多く住む西成でも、こんなサービスがスタートしないかと期待しています。

■最後にひとこと

小規模企業振興基本法が2014年からスタートしていますが、名ばかりの法律です。日銀はお金をどんどん刷って、世間ではお金がじゃぶじゃぶあふれているはずが、小規模企業にはお金が回っていません。中小企業が融資を受けるときに応援する信用保証協会は審査を厳格化しました。国など地域を離れたところで応援策を決めても、なかなか機能していません。

これからは、大きなお金ではなく、地元企業の力を引出しながら、ヒト・モノ・カネが回る仕組みを地域で作る時代です。地域の強みは、「消費者が近くにいる」「困っていること=ニーズがわかる」「ニーズをサービスにできる」「顔と顔の見える信頼関係が築ける」ことです。

だから、『地域』と『市民』に権限を渡してほしい。そして市民が主役の百花繚乱の『オール大阪』をつくってほしい。

大阪都構想で描かれた経済戦略は現実とは乖離し、時代に逆行しているのではないでしょうか

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フォーラム西成Vol.7本文

高見氏 当日資料