Vol4 「防犯と町会」を考える

つながりは防犯力?

「町会」のいま。

新年あけまして、おめでとうございます。第4回の「フォーラムにしなり」は『防犯と町会』がテーマです。このテーマは第1回目の参加者からいただいた「防犯をいつか話したい。」と言う声をうけたものです。
この間、地域のみなさんに協力いただき、聞き取り調査を実施しました。近隣関係や町会加入状況、日々の不安などみなさんがどう感じているか、少しだけ探ることができました。その報告をベースに西成警察の犯罪統計や市政モニター調査などのデータも紹介しながら、「治安が悪い」「怖い」というイメージが付きまとう「西成」のいまについて語り合いました。
また、地域のつながりを探る上でも、地縁団体の代表的な組織「町会」をとりあげ、その歴史や役割をおさらいし、参加されていた町会長さんからは、日ごろの苦労や活動についての生の声をいただきました。

【発題】飯島 照喜 さん
■つながりと不安は関係する?
北西部地域住民の地域に対する「不安」と「地域のつながり」状況を、「住まいと生活アンケート調査」(120名回答)からみてみます。

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■不安に感じることは?
街に不安を感じたことがありますかという項目では、3割強の方が不安を感じています。6割近くの人は不安がないという回答です。地域別に見ますと、中開や北津守で不安があると答えた人が50%を超えています。
不安の内容は、「近隣の空家」や「ごみが増えた」、「独り暮らしになった」、「怖い経験をした(空き巣・不審者など)こと」、「夜道が暗い」などです。背景には、居住者の減少と高齢化がうかがえます。
地域別に見ますと、旭は近隣の空き家が増えた。出城は怖い経験をした。長橋は一人住まいが増えた。中開は近隣のごみが増えた。北津守は、夜道が暗いと顔見知りが減った。鶴見橋は均等にあります。
次は、つながりの強弱を、町会加入率で見ますと、大阪市の町会加入率は71%となっています。北西部全体では50%ぐらいです。隣人とのつながり関係では、50%の人が顔を知っているとなっています。

■西成区の犯罪状況と不安
二つ目は、西成区の犯罪状況から「不安」の内容についてみてみました。
西成区の犯罪の傾向を見ますと、刑法犯罪245件、街頭犯罪は111件で前年より増加しています。街頭犯罪7手口の中では、自転車盗難が圧倒的です。52%です。その次は車上荒らしです。大阪市内の中では、刑法犯罪は6番目、街頭犯罪は9番目です。いずれもトップは中央区です。
最後に、防犯カメラについて市民意識調査を見ますと、9割に市民が安全・安心を確保するため、防犯カメラを設置するほうがよいという回答をしています。あいりん地域では、通学路にカメラの設置に力を入れています。

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【発題】荒木 幹雄 さん
■町会の歴史
町会、いわゆる地域共同体は、中世ぐらいからあったといわれますが、1940(昭和15)年、戦争への国民の総動員を前提に、内務省訓令により、市町村を補助するための下部組織として、町内会・部落会の全国的な整備がなされます。
戦後、GHQにより廃止されますが、実態としては続いていきます。大阪市では日赤奉仕団という形でつづき、同じ組織で振興町会を兼ねます。2008年のデータで、大阪24区に区振興町会があり、331の連合町会、4056の単位町会があります。連合町会も年々高齢化が進んでいます。

■町会の役割
人間は同じ土地に定住して、一緒に生活していると共同で解決すべき問題が生まれてきます。ごみの処理や公園の活用など、そういった問題に対処するのが町会です。地縁組織で全世帯加入が原則です。
また、町会の仕事には、行政からの事務委託、つまり印刷物の配布や連絡事務、募金の協力依頼などがあります。
核家族化や個人中心の生活が進むと、子育て支援や独居老人の見守り、また災害や犯罪に対する不安から、防災防犯などに町会の役割が期待されます。

■防犯と町会
犯罪多発地区の特徴として、地域の暗さがあります。一つは物理的に街灯や防犯灯が少なくて暗い、もう一つは地域に元気がない暗さがある、といわれます。街灯をつけたり物理的な問題は解決できても、街を元気にする取り組みはなかなか大変です。
防犯の具体的な取り組みは、青色パトロールが法的に認められ,NPO法人まちづくり今宮防犯パトロール隊、玉手青色防犯隊、西成区役所がパトロールに取り組んでいます。
ただ、パトロールだけではなく、子供や青少年の犯罪を防ぐためには、居場所づくりを家庭・地域・学校の総意を尽くして進め、地域に魅力を感じられる状態にすることが大切です。
また、防犯カメラの設置を求める声は大きいですが、地域の力で防犯に努めるといったことに町会への期待がかっています。
みんなのこえ

■町会の加入状況
○新しく西成に入ってきた生活保護世帯の多くは町会には入っていない。「勧誘されていない。」と言う声もあるが、こちらからすれば、声のかけようがない。
□新しい住民が町会に加入するかは、生活保護の有無に限らず新しいマンションが建つ際にはよく起こる問題。建設時にオーナーや管理組合に働きかけて、町会加入を勧めることが大切かな。
○天王寺や阿倍野の高級マンションは、町会加入率が高い。なぜ?
□恐らく、共益費に町会費が含まれている。町会費というより、防犯や安全・安心のためにも共益費を払っているという感覚が強いのだと思う。
○町会に入らなかったら、何か影響はあるの?
□回覧板は受け取れません。ただ昔は回覧板が行政や地域の情報を得る大切な手段でしたが、今はインターネットやゴミの収集日等の情報は管理会社が掲示したりしています。
□地域側からすると、地域活動の活性化やひとり住まいの孤立予防など、地域コミュニティに参加してもらうきっかけとしては大切かな。
○なんで、加入しないのだろう?
□なにより、問題は「町会に入っても入らんでも、どっちでも良い」という、中途半端なところにあるのでは。

■町会費の相場と徴収方法
□うちの町会費はわずか200円。コーヒー一杯が300円。地域や自分の暮らしを考えたらどっちがええ?と問い続けて、加入してもらっている。
○200円と言うのは一般的?
□300円・500円の町会もある。ただ、それぞれ意味合いが違う。500円の場合はその他費用(日赤募金等)も含まれているのではないか。
○町会費は銀行振込できるの?
□毎月、班長さんが個別訪問で徴収している。これを嫌がる人は多い。
□確かにめんどくさいけど、地域役員がボランティアで頑張っている姿を知って欲しいから続けている。ただ、歳をとると階段の上り下りはきつい。
□マンションの共益費として強制的に入会してもらう方法もあるだろうし、その時は徴収代行として、管理組合とかと交渉して町会費を値引きするのも可能では。
○マンションやアパートは、住民というより、オーナーの理解により態度が変わるのでは?
□町会加入の意義づけは難しいだろうけど、区役所が開発の段階で業者に町会加入を推奨したりできないものかな。

■行政と町会
○地域活動協議会が新しくできましたが、会計は複式簿記になりました。経理経験の無い人には正直難しい。家計簿みたいな単式簿記でええと思う。確かに一部の団体で不正会計があったかもしれないが、多くの町会は不正に関係ない。地域で頑張っている人を、さらに苦しめているように感じます。
○役所はなぜ、生活保護受給者に、行政の一部の仕事を担う町会加入をすすめないのか。
□町会は公的だけど、町会だけがコミュニティ団体ではないので、特定の団体への加入を勧めたりすることを嫌がっているのでしょう。
□町会は区役所の本来業務をボランティアでしている、という合意ができれば、区役所が加入促進をできる可能性はある。

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■おまわりさんはどこに?
○昔は怖いことがあれば交番に駆け込めたのですが、今は交番におまわりさんがいないことが多くて不安です。
□府警も空き交番の解消には取組んでいるみたいですが、常駐は難しいのでしょう。
□今は、準おまわりさんみたいな警察OBが嘱託で交番にいます。ただ、以前相談に行ったら、根掘り葉掘りいろんなことを聞かれて、「その内容なら、警察署に行ってください。」って。何の役にも立ってないやん。
○住民が意識的に出来る防犯対策は、見知らぬ人には、笑顔で声を掛けることぐらいですかね。やはり、住民だけに任せず、警察にも役割は果たしてもらいたい。
○準おまわりさんみたいな、ボランティアは出来ないのかな。
○警察官そのものではなく、自警団は無理だろうか。
□重大事件に巻き込まれる可能性もあるので、それはするべきではないと思います。
□自警団は無理でも、青色パトロールは可能かな。行政からの予算措置もあるし。

■防犯カメラをつけるには?
○防犯カメラはどうやったら設置できるの?
□単に「この辺が暗いから。」と言う理由では、行政も設置しません。通学路など教育的安全のために、町会が協力して、区役所と協議する必要があります。
○でも、設置の助成金も設置費用の一部だし、維持費用は町会まかせ。助成金といえば、聞こえはいいけど…
○防犯カメラもいいけど、カメラがなくても安心なまちをつくるのが大事では。
○まちがどんどん都市化していく中で、危険度が増えていくのはわかる。でもどうしてカメラが増えなければならないかを話す必要はあります。
□カメラが嫌なのは分かるが、24時間の管理は人間には出来ないから、必要だと思う。特に、子を持つ親はカメラを必要という意見が多いし、人権の視点を持つ人は反対派が多い。

■西成区のイメージ
○今日の報告で、西成の犯罪件数は市内6位でしたが地域を商売型と生活型に分けると、生活型では西成が1位になりませんか。
□その通りで、中央区、浪速区、天王寺区と繁華街が上位を占めています。これは必然ですね。
□それに加えると、外国人の犯罪率が無視できない数字になっています。一位の中央区は65~70カ国、西成でも37・8カ国の方が在籍しています。
○しかしなぜ西成のイメージはこれだけ悪いのか。
□3回の暴動は大きかったみたいです。あと「西成」の名前で少し偏りのあるセンセーショナルな報道をしています。一度報道に「他の地域で同じ事件が起こったら、同じ様に名前をだすのか。」と抗議にいきました。

■新しい人に来てもらうには?
○土地・建物の値段は犯罪件数からも影響を受けるはず。犯罪が減ったら、値段は上がるだろう。ただ、何かに取り組むことで犯罪が減ったという理由があれば、なおさら値段も上がりそう。
□町会や地域が努力しているところに住みたいという人は結構いるはず。そこに市場原理が働いて、治安で地域が潤う。そして若い人が住み、町会が潤う。こんな好循環になれば。
□安心の象徴として「町会加入率」受け入れられるようになればおもしろい。

■企業と町会
○企業の町会加入状況は?
□うちは一律200円。ある地区では企業は1000円。地域との関係をつくらないと仕事しにくいこともあるので、積極的に町会に協力してくれる企業もあります。

■新しい町会像
□北九州では、「町会に入って、暴力団を追放しよう。」と区長が先頭に立って、結束力で解散まで追い込んでいます。町会も伝え方で変わるかもしれない。
□今回、アンケートをとっていると、最初は嫌がるのに、話しだすと、止まらない。自覚してないけど、話をできるような場所を求めている人は多いのかもしれない。町会がそんな場を提供できないかな。

 

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