Vol5「大阪市を解体していいのか?」

「大阪都構想?」「大阪市解体構想?」

2月17日のフォーラムにしなりでは、5月に予定されている「大阪都構想」「大阪市解体構想」とも呼ばれる住民投票を先取りしてみました。その結果は、

「賛成  19票」

「反対 103票」

「無効  10票」

ここでは『否決』されましたが、参加されたみなさんが住民投票の結果、『どうなるのか』をどれだけ知っているのか探るためにも、簡単な大阪都構想クイズも用意しました。

「①住所はどうなる?」

「②新中央区に入らない区は?」

「③地下鉄は誰のものになる?」

「④ごみ収集はどこがやる?」

「⑤議員定数はどうなる?」。

みなさんわかりますか?

具体的には『わからない』のに大阪都を実現するための住民投票だろうと思い込んでいませんか?

そんな参加者の本音が見え隠れした様子をお伝えします。

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【報告】小林 道弘 さん

■住民投票はいつ?

実はまだ住民投票が実施される日時は厳密に言えば決まっていません。公明党が賛成に心変わりしたので、維新の会とあわせると大阪市議会で過半数をこえます。このままいけば、可決されて、おそらく『5月17日』に実施されるだろうということです。

ただ、政治の世界はわかりません。大どんでん返しがあるかもしれません。

■何を決める住民投票?

今回の住民投票は大阪都構想の賛成・反対を決めるものと誤解されています。今回の投票は「大阪市をなくして5つの特別区に解体するか」を決めるためのものです。聞きなれない言葉になりますが、大阪府・大阪市特別区設置協議会がまとめた「特別区設置協定書」の賛否が問われているのです。

協定書の中には、「大阪都」という言葉は一言もありません。そこに書かれているのは「24区をなくして、5つのブロック割の新しい区にするよ」ということです。だから僕は「大阪市解体構想」と呼んでいます。西成区は中央区、西区、天王寺区、浪速区と一緒になって新しい中央区をつくることになっています。賛成が多ければ、住所は『大阪府』中央区西成長橋・・・となるのでしょう。

ただ、一部にはイメージが悪いからこれを契機に「西成」を削ろうと主張している方もいます。名前をとったら、このまちの問題が解決するとでも思ってるんでしょうか?

1300年の歴史ある「西成」をなくすというバカな話で断固反対ですが、どうなるかはわかりません。

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■誰が投票できるの?

今回は市議会や府議会議員の選挙と同じで、子どもたちは投票できません。永住外国人も投票できません。西成北西部には多くの在日コリアンが住んでいますが、投票できません。税金を納め、生活するまちの未来を決める大事な投票にも関わらず。

でも、2月22日に実施される沖縄県・与那国島の基地問題を問う住民投票では、永住外国人も、中学生も投票できます。条例さえつくれば、住民投票は選挙と違うしくみでやることもできます。

しかし、今回の住民投票は3年前、急ごしらえで作られた「大都市地域における特別区の設置法」で公職選挙法を規定するとあり、大阪市議会では議論の余地もない住民投票となります。

■そもそもの大阪都って?

大阪都構想は、「大阪が東京に負けているのは、大阪府と大阪市の二重行政など無駄が多いからだ。堺市や周辺市と一緒になって『大阪都』をつくって、効率化を図り、東京に負けんとこう」ということでした。

でも、堺市は大阪都にはならないと言っています。大阪市民だけの投票では大阪都にはなれないんです。今回の投票が可決されても、国で地方自治法を変えて、大阪府民で住民投票をして可決されてはじめて「大阪都」になるんです。そもそも2つあるとすべてが二重行政ですか?府立と市立の2つの体育館があったとしても、しっかりと利用されていたら、二重行政ではないはずです。

しかも効率化が図れるといっても、本当のところはわかりません。当初、松井知事は効果額が年4000億円はあると言われていましたが、大都市局の試算では年間1億円程度しか効果額は見込まれません。問題なのはそれ以上に、新しい区役所の建設やシステムの導入費用などに680億円もかかることです。

市民や企業も住所の表記変更などで相当な手間とお金がかかります。民営化が議論されていた地下鉄や家庭ごみ、水道もどうやって効率化を図るのかは明確ではありません。

都構想だけでなく、連携をしっかりとれる体制づくりで効率化が図れるはずです。

■大阪市には戻れない。

大阪市の予算は約8500億円です。このうち6418億円が大阪市独自の財源です。政令市というのは、普通の市町村よりも権限が強く、市民が納めた税金を市民のためにより多く独自に使うことができます。でも、「大阪市解体構想」が可決されると、自分たちで決めて使えるお金は4分の1になります。残りの4分の3は大阪府に権限が渡り、極端な言い方をすれば、いままでは使えた大阪市民の税金が、他の市町村民のために使われることになるのです。

最後に1つだけ大切なことを。今回の住民投票が可決されれば、5つの特別区にうまれかわりますが、やっぱり大阪市時代がよかったから、もう一回戻そうと思っても、『もう戻れません』。そんな法律はありません。大阪市解体の片道きっぷということを知っといてください。

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【報告】冨田 一幸 さん

■この街をずっと・・・

「フォーラムにしなり」はわけのわからない組織で、いろいろみんなで話をしてきましたが、今回で5回目です。これからは「この街(大阪市)をずっと・・・」という視点でしっかりと議論し、住民投票にむけた取り組みを進めていきます。

今日の模擬投票は圧倒的多数が「反対」で、多くの参加者はバカな住民投票と感じているかもしれませんが、このままいけば「賛成」が勝つと予想しています。これをひっくり返さないといけません。

せめて大阪市がつぶれることになっても、「わからないでつぶす」のではなく、「わかってつぶそう」。そのためにみんなで「都構想」を勉強しましょう。

■知ってますか?都構想

8つのフレーズで今回の住民投票を言い表してみました。

①「都」にはなれません!

②5つに分割されるだけです!

大阪市は都になれず、特別区に分かれるだけの「大阪市解体構想」の住民投票です。でも、多くの市民は2年後に「大阪都」ができると思い込んでいませんか?

③1人6万円が返ってきません!

納めた税金のうち1600億円が市の外に行きます。高齢化や貧困といった問題は大都市に集中的にあらわれてコストがかかるのに、このままではサービスが低下します。

④これじゃ改革の先送りです!

いろんな改革の議論をしてきたのに、協定書にはごみは「特別区」で、地下鉄は「大阪府」で判断すると書かれています。これは改革の先送りじゃないですか。

⑤「西成総合区」が一番いい!

⑥府市連携で「ワン大阪」です!

都構想だけでなく、自治法が改正されて「総合区」という制度も「連携協定」を結ぶこともできるようになりました。

これらを使えば、区長の権限がアップして、区長を評価できて、各区でサービスを検討でき、大阪市「西成総合区」という選択肢もあります。大阪市を解体して大阪府と1つにしてしまうと、元には戻せないというリスクがあるのだから、協定を結んで二重行政をなくす「ワン大阪」という選択肢もあります。

⑦「わからない」は「反対」と書きます!

極端な話、5月の住民投票にいったのが2人だけでも、結果は有効です。投票率が何%以上必要という取り決めがありません。

もし丁寧に説明を受けても、元から間違っていることは何度聞いても「わからない」。つまり「わからない」は「反対」ですが、投票率の取り決めがないから「わからない」「行かない」は賛成を応援することになってしまいます。

⑧橋下市長は「しゃべりすぎ」!

「住民投票は憲法改正の予行演習だ。」と言ったそうですが、予行演習なんかいりません。橋下さんは大阪市長です。憲法という国の問題を出すのはおしゃべりがすぎます。

■やっぱり「わからない」

みなさんわかりましたか?

今日のクイズも多くの人が間違っています。やっぱりまだ「わからない」。都構想の投票に行ったつもりが、特別区への解体構想の投票に・・・。なんてことにならないよう、みんなで勉強しましょう。

次回は3月11日。大阪府6兆円と大阪市3兆円の借金がどうなるのかを、前府会議員で大学の先生もしている西脇氏にしっかり聞きましょう。参加希望の方には、チケットをお渡ししますので、いつでもお問い合わせください。

アンケート結果

 

みんなのこえ

■東京都みたいになれる?

○『都構想』と聞くと、東京都みたいに、国の言うことを聞かなくても、自由に決められるイメージがあるけど、本当にそうなるの?

□地方交付税もいらない金持ち自治体の東京都だから、国からも自由であって、「都構想」が実現して「特別区」になったからと言って、自由になるわけでも、豊かになるわけでもありません。ましてや、大阪都になってカジノができても、豊かになるわけがありません。

■福祉のまち西成?

○福祉のまちということは、それだけ税金を使うということ。新しい中央区に入る他の4区が本当に西成を受け入れてくれるのか?

○独自の財源を持たないと、福祉が削られる。いっそのこと、西成区は単独区にできないのか?

□4年前に市長に同じ質問をしましたが、答えは「ノー」でした。西成区は他の区と一緒に中央区の一員となります。新区役所は、いまの西成区役所を使うそうです。

■協定書はどこで読める?

○協定書の話が出ていましたが、一般にも公開されていて読めるのでしょうか?

□大阪市はペーパーレス化を推進していて、HP上では公開されています。もし紙がよければ、いつでもお渡しします。

□住民投票の内容については、市長と知事が説明することになっていますので、これから協定書のダイジェスト版も出るはずです。お見逃しなく。

■堺市はなぜ政令市のまま?

○今回の住民投票が大阪市民だけで、堺市は政令市のままで残るのはなぜですか?

□竹山市長が都構想に反対ということ。政令市になったばかりで、二重行政といわれても実感がわかない点もあるでしょう。

■何がわからないかも「わからない」

□在日外国人が投票できないこととかはわかりましたが、可決されたときに自分たちのくらしにどんな影響があるかは、まったくわからなかった。

○聞けば聞くほど、難しくてわからない。もう少し具体的な影響を教えてもらえると、賛成か反対かは決められるのに。

○可決されると、元に戻れないのが少し気になる。

○詳しいことはわかりませんが、西成の名前が消えるかもしれないのなら、「反対」です。

□わかっていることは、大阪市民にとって、自分たちで納めて、自分たちで決めて使えるお金が4分の1になるということと、5つのブロックに分割されるということです。

□あいりん対策でも大阪市に24区の総合力があったから対応できたが、新しい中央区に入る5区だけで対応しろと言われたら、土台無理な話。予算がないから福祉がカットされるといった事態だけは避けないといけない。

□確かに「生活がどうなるか」ということが、一番気になると思います。市長は大阪府からしっかりと予算を確保するとは言っていますが、本当にいまのサービスが維持できるのか、福祉がカットされないのかなど、次のフォーラムでは、具体の生活がどうなるのか、いろんなところに協力をお願いしてシュミレーションしてみます。

 

フォーラム西成Vol.5本文

フォーラム議題

小林氏 当日資料

冨田氏 当日資料

都構想クイズ

投票用紙

第6回フォーラムにしなりチケット