Vol6「大阪市を廃止していいのか?」

大阪市が泣いている?

3月11日のフォーラムにしなりで、新しいロゴマークがお披露目されました。
大阪市の市章でもあり、舟の座礁を防ぐマークとして設置され、航路を示した『みおつくし』が涙を浮かべ泣いています。
「離れ離れ?」「今のまま?」さて、どちらのかじ取りを望んでいるのでしょうか。

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第6回のフォーラムにしなりは、少し通な中身でした。5月17日の住民投票の結果が与える、くらしへの影響をお伝えする予定でしたが、調べてもこちらの力不足でなかなか『わからない』。
そこで、フォーラムとしてはじめて大学の先生である西脇さんを講師としてお招きし、しっかりと勉強しました。

 

【報告】小林 道弘 さん

■3・11忘れてはならない日
4年前の同じ日に東日本大震災がおきました。その時、大阪市本庁で予算の勉強会をしていたことを、今でもはっきりと覚えています。お亡くなりになられた方、被災された方にお悔やみもうし上げます。
その後、数回にかけて岩手県・宮城県に足を運んでいますが、まだまだ爪痕は残っています。
仮設住宅に住まわれる方もまだまだ多く、復興もオリンピックを控えた東京の建設ラッシュと重なり、思うように進んでいないようです。大阪市には被災された方々が3,000人以上暮らしています。
そして、『フクシマ』はまだまだ終わりません。故郷を奪われた人々の問題や汚染水問題は解決の糸口すら見えていません。こんな状況でも原発再稼働が国の方針ですが、核廃棄物処理や『フクシマ』をどう考えているのか。この方針は信じられません。
瀬戸内寂聴さんは、「悲しいことやつらいことを忘れられるのは、神様が人に贈った宝物」と言っていますが、忘れてはいけない大切なこともあります。これからも3・11を忘れずに活動していきます。

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■前回のおさらいから

前回のフォーラムはテレビで放映されました。「やっぱり、顔が大きいね!!」といううれしい応援の声もたくさんいただきましたが、前回の内容は覚えていますか?
もう一度おさらいします。
①住民投票は大阪都構想に○×ではなく、大阪市を5つに分ける○×投票です。
②投票は、大阪『府』民ではなく、大阪『市』民だけです。
③府と市があったらすべてが二重行政ではありません。
④大阪都になっても東京のようになれるわけではありません。
⑤可決されたら、いまよりも小さな独自予算で市民サービスが行われます。
⑥大阪市がなくなると、二度と戻れません。
みなさん大丈夫ですか。

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■もう一つの道「総合区」

西成特区構想や地下鉄やゴミ収集の民営化など、橋下市長は大阪市に緊張感をもたらし、新しい視点で政策が動きだしたことは事実です。そして、自治法改正にもつながり、大阪市の選択肢が増えました。その1つが『総合区』制度です。
いまの大阪市や西成区を残したまま、府や市と協力しながら、区独自のサービスを考えていけます。大阪都だけが選択肢ではありません。
大阪都になっても東京都のようになれるわけでもないし、大阪都にならないと発展がないわけでもありません。東京都と張り合うのは歓迎ですが、土俵を変える必要があります。
これから、賛成派や反対派の人が本格的に動き始めます。3月16日には、西成区民センターで維新の会のタウンミーティングもあります。
もう一度、いろんな意見を聞いて、じっくり考えましょう。そのうえで、賛成か反対かを決めてください。

■『幻』の第4号

ただ、発行される予定だった「大阪府・大阪市特別区設置協議会だより 第4号」は、『幻』になりました。
憶測ですが、それぞれの政党が1ページずつ意見表明をする機会を与えられたので、反対意見が誌面を多く占めることを、嫌ったのかもしれません。
最後に何度も言いますが、『大阪市がなくなると二度と戻れません』。西脇さんのお話や、いろんな意見を聞いて、投票に備えてください。

 

【講師】西脇 邦雄さん
大阪経済法科大学客員教授
前大阪府議会議員

■堺市民に聞いてみよう

大都市には3つの種類があります。50万人以上の「政令指定都市」、30万人以上の「中核市」、20万人以上の「特例市」です。
政令市が100万人以上で7大都市と呼ばれていた時代を覚えている方もあるかと思います。それが、いま50万人以上になり、20都市に増えています。なぜ、増えたのでしょう。
政令市になると「『区』が持てます。」「『道路財源』が持てます。」「国からの『交付税が多く』もらえます。」「『宝くじ』ができます。」他にもいろいろありますが、自分たちでできること、つまり市独自の権限が強くなり、財源も大きくなります。また、国も市町村合併を推進しているので、人口が多い市は認定基準をクリアして「政令市」になろうとするのが、一般的です。
身近なところでは、堺市が2006年に美原町と合併し、念願の政令市になりました。堺市では、「小中高等学校の教員採用」「子ども相談所の設置」「中小企業の振興」「国道・府道の一元管理」「宝くじで独自財源(30億円)」ができました。
簡単に言えば、しごとは増えましたが、大阪府にいかなくても堺市でできることが増えたのです。だから、都構想には賛成できないのでしょう。当たり前と言えば、当たり前です。

■大阪府への権力集中?

あまり知られていませんが、もう1つの大きな財源を持った地方公共団体が誕生します。その名も「一部事務組合」と呼ばれる地方公共団体です。
中核市であれば、市民の国民保険や介護保険、水道などの事務業務、障がい者や児童施設などの管理業務を行うのですが、中核市なみとされる新特別区では、これらの業務は行いません。中之島に一部事務組合をつくり、そこで集中的に管理を行います。
効率的でいいと思われるかもしれませんが、一部事務組合が取り扱うお金は『7000億円以上』です。5つの特別区からこれだけのお金が持って行かれるのです。また、大阪市で独自に使えた4700億円の税金も大阪府にいったん献上することになります。
独自予算がなくなっても、ちゃんと特別区に使ってくれれば問題ないのですが、「配分の方法は直前に決める」と書かれているだけで、行政のもつ大きな力の1つ「課税・徴税権」が大阪府に集中することになってしまいます。

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■効果的な行政運営?

住民自治と効果的な行政運営は、もともと相反する関係(トレードオフ)です。きめ細やかな住民自治をしようと思うと、予算も人員も必要になり、効率的な行政運営には知恵がいります。強い広域行政を作ろうとすると、東京都のように特別区から税収を1兆6千億円吸い上げて、55%は特別区に再配分、しかも都市計画の権限までも取り上げ、水道や消防、救急も都庁がすることになります。

また、大阪市には3兆円、大阪府には6兆円の借金があります。市の3兆円の借金は大阪府がいったん引き取りますが、結局は各特別区が約6000億円の借金を引き継ぐことになるようです。つまり、課税・徴税権を大阪府に献上して、借金は市民が引き取るということになるのです。

■「府から市」ではないの?

横浜・川崎・相模原という3つの政令市をもつ神奈川県の元知事松沢さんは、「県の役割は高度医療や大学・産業政策などに限定し、市町村への地方分権をすすめ、県は首都圏連合に発展的解消をするのが望ましい」とさえ言っています。
国も地方分権をすすめようとしているなかで、大阪だけが「府」への権力集中をすすめようと逆行しています。二重行政があるなら「市」への権限を委譲するのが一般的です。
だからもう一つの道として、「府市調整会議」や「総合区制度」を使った地方自治のあり方を追求できるはずです。身近な区長が区の財産管理をやったり、都市計画の権限を市町村に渡したり、じっくりと議論を尽くして進めるべきです。

■母都市と大都市共同体

特に大阪市はこれまで懐の深い「母都市」として、近隣市町村を支えてきた面もあります。昼間は90万人が他市町村から通われていますし、地下鉄利用者の6割、救急搬送の1割が他市町村の住民です。大阪市だけではなく周辺の市町村を包み込むこうした「母都市」機能が5つの特別区に分かれると弱体化し、大阪全体にとってデメリットがでるのではないかと危惧しています。
実際に大阪市と八尾市、松原市ではゴミ焼却施設を共同で使えるようにしました。これは大阪市のもつゴミ焼却機能を周辺の市町村とシェアした実績です。大阪湾全体で港を一体的に管理できるようにした実績もあります。
母都市機能をつぶすのではなく活かす。こうした視点で、広域連携を推進する大都市共同体を提案したいと思います。
みんなのこえ

■誰が喜ぶ?得するの?

○話を聞いていたら、大阪市民にとっては損ばかり。実際は誰が得するの?
○大阪市がなくなると西成の市民プールもなくなるの?
□府の幹部は喜んでいるかもしれません。御堂筋や港湾の管理権限、福島区の中央卸売市場や大阪城、天王寺動物園などが大阪府に移る可能性もありますし、何度も言ったように、新しく4700億円の税金の使い道を決める権限が知事に集まります。
□特別区になっても市民プールは突然なくなることはありませんが、将来的には知事や区長の意向一つでなくなる可能性もあります。

■三重行政ではないの?

○一部事務組合が公共団体なら、そのトップはどうやって決めるの?
○新特別区長が5人で、事務組合長が1人で、知事が1人となれば、誰がまとめるの?
□一部事務組合は公共団体なので議会があります。その議員は新特別区の議員が務めます。その議員のみなさんが互選をして、トップが決まります。
□大阪都になれば司令塔は1つになると言いますが、市長と知事の2人の協議で決めていたことが、7人で決めることになり、二重だったのが三重行政になる可能性もあります。実は、東京都でも同じようなことが言われています。

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■本当に発展するの?

○大阪都になったら、発展するという人もいます。しないという人もいます。本当のところはどうなんですか?
□発展するかしないかのとらえ方は人それぞれです。発展するという人の意見も聞いて、率直に質問するのが、一番いいのではないでしょうか。
□地下鉄やバスの民営化には退職金の支払い1100億円が必要で、住民投票に7億4000万円が使われます。長期的な視点で発展するかは不透明ですが、短期的にみると非常にお金がかかることは事実です。
□橋下市長は「車を買う時に設計図を見て買う人はいない」と言って、大阪都構想の詳細な設計図はこれからつくると説明していますが、車を買うときは試運転ができます。
今回の住民投票は可決されると、やっぱり前の方が良かったと大阪市に戻すことができません。つまり、試運転ができないのが、今回の住民投票ということは覚えておいてください。

■フォーラムからのお知らせ

新しいロゴマークを流行らせようとたくらんでいます。それほど立派なものをつくれませんが、希望される方にはポスターをお渡しします。小林事務所でも、フォーラム事務所(ナイス)でも用意していますので、なんかしたいとお考えの方はご連絡ください。

フォーラム西成Vol.6本文

フォーラム議題

小林氏 当日資料

西脇氏 当日資料

第7回フォーラムにしなりチケット