VOL10「わいわいがやがや 西成区」

■わたしらの声

5月8日の第10回フォーラムにしなりは、資料はありません。西成区民と西成区を拠点に活動する政治家のみなさんに登壇いただき。わいわいがやがやみなさんの思うところを話していただきました。今号では、その声を少しだけ紹介します。

 

■西成区民Sさん

先日の新聞で、学識者100人が大阪都構想に反対する記事を読みました。都構想では、これまで大切にしてきた市民の「安心・安全・防災」の記載がないことを知りました。わたしはいまのままでは、正直不安です。同じように大阪市の歴史と財産が奪われるの?西成もなくなるの?生まれ育った『西成』を私たちの声で守っていきたいです。

■西成区民Aさん

くしくも、住民投票日の5月17日は私の誕生日です。だから話すわけではないですが、橋下市長は人のお金を使うのが得意だとつくづく思います。いまの都構想のCM費用は4億5千万円。先の市長選は6億円。あわせて10億。まさか、大阪府には6兆円のすごい借金があるので、それを薄めるために大阪市を吸収して「都構想」と言っているわけではないですよね。

そして、バブル時代の大阪市と大阪府のビル建設を二重行政の象徴と言いながら、カジノ建設や特別区の新庁舎建設などバブル時代を彷彿させることを提案する。なんかおかしないですか?

専門家もこれだけ反対して、維新の会以外も反対しているし、急がずにいろんな人の話を聞いて、大阪のことを考えようよ。

■西成区民Hさん

西成区で居酒屋やってるけど、橋下市長がやっていることは「西成区はそんな邪魔か?」「年寄りは、はよ死ななあかんか?」。そうとしか思われへん。僕は都構想に反対です。

■議員の声

区民のみなさんの声をうけ、小林みちひろ 前大阪市会議員、前田おさみ 大阪市会議員、川岡栄一 大阪府議会議員、柳本あきら大阪市会議員に登壇いただき、「都構想」について現実生活への影響やこれまでの経過など、それぞれに説明をいただきました。

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VOL8「都構想反対の集い」

■いま一度、都構想を勉強しよう。

フォーラムにしなりでは、第1回から第7回まで、「①人口減少問題」「②西成特区構想」「③民営化問題」「④防犯と町会」「⑤大阪市を解体していいのか」「⑥大阪市を廃止していいのか」「⑦これでどうなる大阪経済」と計7回にわたり、身近な問題や大阪市のこれからを語り合ってきました。『都構想』の住民投票にも影響がある統一地方選挙の前日(4月11日)に開催された第8回フォーラムにしなりでは、パシフィック・シアターでこれまで学んできたことをおさらいしました。

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【発題】荒木 幹雄 さん

■大阪市分割・解体『都構想』のスケジュール

①投票日は5月17日です。

②住民投票の告示は4月27日。そこから『都構想』の賛否を問う選挙運動がスタートします。

③投票用紙には、○×ではなく、『反対』か『賛成』を書きます。

④投票するのは『都構想の賛否』ではなく、『特別区設置=大阪市24区を5区に分割・解体することへの賛否』。つまり、堺市や八尾市、東大阪市、大阪府が変わるわけではなく、『大阪市』だけ変わるということの住民投票です。

⑤住民投票で賛成が過半数を超えると、『2017年4月に大阪市は解体され、5つの特別区に移行します。』

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■好き嫌いでなく、しっかり考えよう。

5月17日は『反対』と書きましょう。その理由は『都構想』が実現すると、未来はバラ色という意見が多いのですが、ほんまにそうでしたか?これまでのフォーラムにしなりで勉強したように、いまの大阪市は『政令指定都市』です。

政令市は予算・権限も都道府県並みに大きく、大阪市のことは大阪市民で決めることができます。これを政令市である大阪市と大阪府があると「二重行政」で無駄だから、「大阪市」をなくすというのが「都構想」の始まりでした。でも、お隣の堺市も政令市になりました。大阪市を5つの特別区に分割・解体して、予算・権限が小さくなる『中核市』なみにするというのは、堺市とはまったく逆の方向性です。これを『住民投票』で決めるということです。

予算・権限が大阪府に移っても、今と変わらないサービスを維持する予算をしっかりつけるとはいっても、大阪府議会のなかで大阪市選出議員は3割程度です。どの議員も自分の市町村の予算確保に必死なのに、5つの特別区に本当に配慮するのでしょうか。

そして、都構想が可決され場合の西成区は新中央区の一員になります。人口30万人以上の新中央区の議員はわずか13人。人口2万人都市と同水準です。西成区という名前も消える可能性があります。

その他いろいろありますが、これからの大阪市、これからの世代の方向性を決める大切なことなので、橋下市長が「好き⇒賛成」「嫌い⇒反対」ではなく、しっかり考えて投票してください。

■それでも「わからない」なら『反対』と書きましょう。

いくら考えても「わからない」ときは『反対』と書きましょう。実は、細かいことや自らの暮らしがどう変わるのか?わからなくて当然です。あやふやなことが多すぎて、「わからない」のです。

でも、大阪市が5つの特別区になったら、後戻りできません。だから、「わからない」なら『反対』を勝ち取って、大阪市をよくする方法をもう一度議論しましょう。

 

■次回のフォーラムにしなりは、

4月27日 18:00~ 「憲法改正と国民投票」

報告:谷元 昭信 氏

会場:市民交流センター にしなり

当日資料

VOL9「憲法改正と国民投票」

住民投票前に憲法を考えた

統一地方選挙も終わり、大阪市24区を廃止し、5区に再編することの是非を問う住民投票が、4月27日に告示されました。投票日は5月17日(日)です。賛成派・反対派の選挙カーもまちなかでよくみかけます。いよいよ大阪市の行く末を決める日が近づいてきました。

「住民投票は憲法改正の予行演習である」といった発言もありましたが、住民投票前の5月3日は憲法記念日です。そこで第9回のフォーラムにしなりでは、「憲法改正と国民投票」を取り上げました。「憲法」とは何か。そんなところもみんなで学びました。

谷元氏の講演に先立って、フォーラムにしなりでも何度か発言いただいた小林みちひろ氏が、選挙のお礼と、力及ばず落選という結果になったことを報告し、これからも人権確立システムの構築や教育問題など、みなさんとともに大阪市の将来を考えながら、頑張っていきたいと決意を述べました。

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【報告】谷元 昭信 さん

■2016年に国民投票?

都構想の住民投票は憲法改正の国民投票の模擬投票と橋下さんが言うように、都構想・憲法改正問題が一連の流れとして、国レベルで着々と進められているということです。

来年の参議院選挙が終わって、与党が国会議員の3分の2を確保したら、秋の臨時国会で憲法改正を提案し国会で決まれば、60日から180日の間に国民投票が行われるわけです。早ければ来年(2016年)末までには国民投票があるかもしれない、事態は窮迫していると言えます。

■投票権は18歳以上

いまの憲法は1946年に公布されて、1947年5月3日に施行されました。だから5月3日を憲法記念日と呼ぶわけです。今の憲法を変えようと思ったら、国会で3分の2の賛成を得て、そのあと国民投票にかけなければならないという規定が、憲法96条にあります。

しかし、国民投票のやり方については、決められないままになっていました。この国民投票の具体的な手続きを決めたい、と言い出したのは第1次安倍内閣の時で、国民投票法が決められました。2007年5月に交付され、3年間の猶予期間を経て、2010年5月に施行されました。

投票権は18歳以上とされましたが、20歳以上を成人とする既存の法律などとの調整が必要で2014年には国民投票法の一部が改正され、暫定的に投票権を18歳から20歳にしています。改正法は2018年6月までは有効で、その後はまた18歳に戻すことになっています。国民投票法を改正したり、なぜだか、安倍さんは焦って憲法改正をしようとしています。

■憲法は権力を縛るために

憲法改正国民投票とはどういうしくみになっているのか?5つの段階があります。まずは、「①国会で憲法改正の発議」をします。次に「②衆参それぞれで2/3以上の賛成を得て可決」します。そこから、「③憲法改正案を作成」します。そして「④国民に提案」し、最後は「⑤国民投票」で決めます。

憲法改正は政府提案ではなく議員提案です。これを理解するには、『憲法』とは何かを少し知ることが必要です。憲法の3大骨格「主権在民」「平和主義」「基本的人権」であったり、法律で最も大切なのが憲法だということなどは聞いたことがあるでしょうが、少しだけ詳しく説明します。

まず、日本という国は『立憲主義』です。立憲主義は一言でいえば、憲法に基づいて国を運営していくということです。

日本は『議会制民主主義』の国でもあり、その根幹には、国民・民衆が主権を持って国を動かす『主権在民』という考えがあります。この『主権在民』というところが非常に大事です。

主権を持つ国民みんなで議論して決めることができればいいですが、現実的に不可能です。だから、国会議員を選んで、議会を作って、自分たちの代表者に国を動かしてもらう。これが『議会制民主主義』です。

代表者に自分たちの想いを託すにあたっては、権力が自分勝手に動くと困る。そこで、守ってもらわなければならないルールを作る必要がでてきます。そのルールを決めているのが『憲法』です。つまり、権力者が勝手に動くことを縛るのが憲法なのです。ここをよく考えてください。「憲法に基づいたこと以外はしてはいけませんよ」と権力者を縛るのが日本国憲法の性格です。

そして、憲法99条には、この憲法を守るのはどういう人たちか、ということが書いてあります。天皇・国会議員・裁判所・国家公務員こういった権力を行使する人たちは、憲法を守る義務がある。したがって権力の中枢を握る政府が憲法を変えるという発議をすることはできません。だから、国民の代表者である国会議員が憲法改正を提案するということになります。

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■憲法改正へのみちのり

国会で憲法を変える発議がなされると、憲法審査会が開かれ、改正に向けた問題や方向性が議論されます。そして再び国会で2/3以上で可決されると、その中身を国民に提案するため、憲法改正広報協議会が作られ、なぜ憲法を改正するのか、どこをどう変えるのかを国民に周知します。そして公職選挙法に基づいた形で、国民投票運動が行われます。最後に国民投票が実施されます。過半数の賛成で決まります。決まれば内閣総理大臣が公布の手続きを取ります。改正憲法は、天皇が国民の名において公布します。

道のりだけを知っても、憲法改正手続きの問題点はあまりわかりません。そこで、5月17日に開かれる大阪市廃止・分割「都構想」の住民投票をイメージしながら、問題点を指摘します。

■憲法改正手続きの問題点

憲法改正手続きの問題点は、大きく3つあります。1つ目はどさくさに紛れて、他の大切な要件も一括して提案される危険性があり、賛成派の意見が中心になるということです。憲法という大きな話と一緒に出てきたら他のことは議論されません。

「都構想」の協定書もそうでしたが、憲法審査会のメンバーは、国会議員の数に応じて会派ごとに振り当てられます。つまり、与党が多数になり、反対派の意見が反映されにくい、賛成派が中心の内容・方向性が審査会で決められ、賛成派の意見を強調した広報が展開されます。

また国民投票における最低投票率が決まっていません。「都構想」の住民投票も最低投票率が決まっていません。イタリアや韓国では有権者の50%という数字が決まっていますが、日本にはありません。どれだけ低い投票率でも、賛成が上回れば、改正される危険性を持っています。

2つ目は、投票までの期間が短いと言うことです。2ヶ月から半年です。

「都構想」という言葉が登場し5年近く議論され、いざ投票となっても、わからないことばかりという大阪の状況をふまえると、憲法改正については、投票までには最低でも1年・2年をかけて議論するくらいの丁寧さが必要です。

3つ目は、国民投票運動の規制の問題、公選法を適用しますから、公務員や教師、大学の先生などは厳しい規制がかかることです。

「都構想」では大阪市の公務員にかん口令が敷かれていますが、憲法改正も同じで、同じ国民であるはずの公務員や教師は自由な国民投票運動を制限されてしまいます。

■民主主義の根本とは?

憲法を改正するときに、何を根本において考えていくか。民主主義とは何かという根本議論から、憲法改正を考えていかねばならなりません。

民主主義の根本は人民主権です。人民が権力を握る。そのときに大前提となることは、人民間平等と言うことです。一人ひとりの人間が平等の権利を持っています。これが崩されると民主主義が成り立ちません。つまり、差別があると民主主義が成り立たないと言うことです。

最近、ヘイトスピーチと言う問題が起こっていますが、司法は差別だと言う判断をしています。在特会という団体は、我々は憲法に保障された「表現の自由」を行使しているだけと言っています。表現の自由があるから差別も許される。これは納得できません。

「表現の自由」を保障した民主憲法、人権と言う根本には、大前提として平等原則がある、これを犯すような自由権は認められない。だから表現の自由は大事だけれども、差別する自由はない、と言うことです。これが根本問題です。

■自民党の改憲草案

自民党の改憲草案というのがありますが、その骨格は、「①天皇の元首化」「②自衛隊を国防軍に」「③国益を犯されるときには、基本的人権を制限する」「④国民の義務を憲法にもりこむ」です。

先ほど言いましたが憲法は権力を縛るものであって、国民を縛るものではないのに、この方向性はおかしいのではないでしょうか。

しかも、気をつけなければならないのは、憲法改正にむけての布石は改正前から着々と進んでいると言うことです。それは「集団的自衛権」「特定秘密保護法」などです。

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「集団的自衛権」だけでなく、その裏では自衛隊が武力を使えるようにできたり、どこにでも行けるようにしたり、国連の決議がなくとも判断し行動できるようにしたり、自衛隊の活動範囲の拡大に向けた法改正の動きがあります。

表向きには、「特定秘密保護法」は国益を損なうことが無いように定めたことになっていますが、悪巧みをするときには、その情報を国民に知らさないようにする法律です。国民の代表である国会議員ですら何が秘密にされているかわかりません。事実、2014年度末までで、20万近い文書がこの法案の対象とされ、国民の知る権利が制限されています。

その次には、権力批判を封じ込める動きが始まっています。国会での福島発言やテレビ朝日で政府批判をしたら、政府に呼び出されるなど、都合の悪いことは国民に伝えない、知らせない姿勢が目立っています。

だからこそ、「都構想」の住民投票やその後に続く憲法改正についても、権力に対してしっかりと物を言っていく、国民運動を創りあげていくことが大事だと思います。

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みんなのこえ

■小選挙区と中選挙区

○今の選挙制度は小選挙区制で、わずかな得票率の差でも議員の数でみれば、大きな差が出る。憲法ができた時は、中選挙区制で得票率が反映される議員の数になっていた。

○その時代と今の議員定数の3分の2は全然違うのに、誰も指摘しない。衆議院で自民党は3分の2近くの議席を占めているけど、先の選挙の投票率は、5割ちょっとで、小選挙区の得票率は5割以下、比例で3割ちょっと。これだけの民意で憲法改正というのは、憲法が定められた時の精神を引き継いでいるのだろうか。

○ただ、「都構想」と「憲法改正」を比べると、選挙で選ばれた市長と議院内閣制で選ばれた総理大臣という違いはある。つまり、「都構想」に反対であれば市長選で直接戦うという選択肢もあったが、「憲法改正」にはその道はない。

■アメリカから押し付けられた

○今の憲法は太平洋戦争の後に、アメリカから押し付けられたもの。日本の手でもう一度改正しなくてはいけないところもあると思う。ちゃんと向き合う必要がある。

○自分の国は自分たちで守ることにすれば、沖縄の悲惨な状況が少しでも変わるかもしれない。

□憲法改正は悪いことではありません。ただ、どこを変えるのか。その前提には民主主義の精神が最も大切だと思います。だからこそ、都構想もそうですが、賛成・反対と言いあうだけでなく、合意にむけた努力は必要です。

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フォーラム西成Vol.9本文

谷元氏 当日資料