VOL16「市長公約を考える」

あっという間

11月22日夜8時。知事・市長ダブル選挙の投票が終わりました。それから1時間足らずで、知事選では松井氏の当確、少し遅れて市長選の吉村氏の当確が報道されました。

前回のフォーラムで、知事選は松井氏が優勢であり、市長選では柳本氏が苦戦するだろうとお伝えはしていましたが、想定以上の大差でした。西成の補欠選挙は接戦でしたが、1000票あまりの差で維新の岡田氏が当選しました。トリプル選挙は大阪維新の会の勝利に終わりました。

橋下氏は政界をいったん引退しますが、これからの4年間も引き続き大阪維新の会に府政・市政の改革の主導権が委ねられることになります。

今回のフォーラムでは小林道弘さんに選挙戦の振り返りと市長公約から吉村新市長による改革を読み解いていただきました。

そして、これからの4年間は、何ができるのか。参加者でワイワイ語り合いました。

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【報告】小林 道弘  さん

■まちの声

「こばみち教えたろか、柳本さんが負けたんは、共産党と手を組んだからや。」「岡田さんが勝ったんは、喫茶店で自ら握手してたからや。」などなど、選挙戦が終わってから、まちの人はそれぞれの選挙分析を僕に教えてくれます。特に年配の男性はあちこちで政治談議をしています。

ネットの世界でもフェイスブックやツイッターで敗因や勝因を分析する人もたくさんいますが、地元西成の補欠選挙を分析してみました。

 

■1万票はどこに?

当選した岡田さんは1万7千票で矢田さんは1万6千票。前回の市議会選では維新の辻氏・藤岡氏の得票数が合わせて1万5千票だったので、維新支持票はそのままスライドした感じです。自民党の柳本さんは8千票だったのでそれに共産・民主支持層票を合わせると1万5千票ぐらいになります。

残るは、西成で1万票を持つといわれる公明党の票ですが、この部分が不明です。真相は知りませんが、今後のことを考えて維新支持でも反維新でもない態度をとったとも考えることができます。

 

■不思議な負けなし

ヤクルトを日本一に導いた野村監督は「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし。」と言っているように、選挙戦を振り返ると、負けるには負けるだけの必然性がありました。

1つ目は「既得権益の改革に対する姿勢」。柳本氏も改革を訴えてはいましたが、既得権益の追求については、維新のこれまでの実績が市民の支持を集めました。

2つ目は「わかりやすさ」。維新が提案する「市場原理を重視した政治」「多数決による迅速な意思決定を重視する政治」「自己決定で地方が決める政治」といったイメージに対峙できるような「再分配」「熟議」「中央追随(政権与党)」といったことをイメージできる政策提案が不十分でした。印象に残る提案は、市バスの敬老パス1回50円の負担見直しといったところでした。

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■新市長の公約は?

吉村新市長の選挙公報を見ると、具体的な政策はほとんど書かれていません。これまでの維新の実績が中心に書かれ、このまま改革を続けていく姿勢はわかるのですが、市長としてしたい独自の政策は伝わってきません。やはり「都構想」への再チャレンジが一番のテーマになるのだと思います。

当選会見でも明言されていましたが、4年の間にもう一度「都構想」が議論され、住民投票が実施されると思います。ただ、府議会・市議会とも維新は単独過半数ではありません。公明党の「都構想は反対でも、住民投票はやってみよう」という姿勢がなければ、5月の住民投票は実現しませんでした。西成区補欠選で消えた1万票のように、次の衆議院・参議院選挙をにらんだ公明党の動きには注目が必要です。

また、維新がつくった都構想は住民投票で否決されましたが、次の案は、他の政党の意見に耳を傾けながらつくるとも言っています。こうした状況で自民・共産・民主も引き続き都構想に反対するならば、しっかりとした改革の対案を示すことが必要です。市民は「大阪市がなくなること」には反対でしたが、改革を求めています。

 

【みんなの声】

■敬老パスの復活

○正直、ここまで大差で負けるとは思っていなかった。反維新、反橋下だけではもうもたない。しっかりと維新の政策にも向き合って、評価すべきものは公正・適切に評価し、維新の政策であっても、時には応援することがあってもいいのではないか。

○まちづくりには行政の協力は不可欠。行政との新しいパートナーシップを模索するためにも、地域で政策提案力を高め、行政に提言できるしくみづくりが必要だと思う。

■都構想は周辺市町村も

○これから都構想がもう一度議論されるが、大阪市と大阪府だけの都構想であれば反対。豊中市や堺市など周辺の市町村を巻き込みながらでなければ、都構想の意味がない。

○都構想を府民の立場で考えると『なるほど』と思うことも多いが、大阪市民の立場で考えると『やっぱり損』なことが多すぎる。

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■府民も市民も冷静に

○ダブル選は負けたけど、大阪が東京のようになれるというのは幻想にすぎない。大阪が副首都になっても、企業がついてこなければ、税収は伸びない。財源がなければ、結局、国の言いなりになってしまう。

○上・下水道・交通局が民営化されたらムダが省かれ、よくなると考えている人も多いが、電気・ガスのように、赤字になった瞬間に値上げをするのが民営化の姿。結局、市民にツケが回ってくることをしっかりと知っておくべき。

 

■これから考えたいこと

○東京オリンピック後に、大阪万博開催の話も出ている。わかりやすいけど、半世紀前と同じ話をして意味があるのだろうか。それよりも、地域に密着して新しい産業や仕事を興せるような地域分権が必要では。

○交通局が民営化された場合、大手私鉄のように子会社をいっぱい作るのではないか。単に営利や効率化を追求するだけでなく、大阪市が公益性や政策性を持たせた取り組みは、民営化後も継続させるべき。

○政策の伝え方を考えたい。橋下さんのワンイシュー政治がいいとは思わないが、丁寧に説明したのに何も頭に残らない、というのは考えもの。

○維新の全否定ではなく、次の住民投票まで、約3年の時間をかけて大阪の改革案を共に考えたい。そのためには設計図づくりも必要だし、議員に伝える必要もある。フォーラムというこの場に、西成選出の議員を招いて議論を築いていきたい。

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次回のフォーラムにしなり

フォーラムにしなり(第17回)は新年1月の開催を予定しています。

決まり次第、お伝えいたします。みなさま よいお年をおむかえください

フォーラムにしなり‚ŠVol.16

小林氏 当日資料 市長公約を考える