VOL13「安保関連法案をどう捉える?」

声を上げた若者。地域で暮らす若者。

2015年7月16日、いわゆる『安保関連改正法案』が衆議院で可決されました。次は参議院での議決を経て・・・というところですが、参議院が7月16日の60日を経過しても議決しない場合は、衆議院で再可決できる『60日ルール』があります。つまり、9月14日以降、衆議院で再び可決されれば法律として成立します。

集団的自衛権の行使が戦争を認めることにつながり、「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」から構成される憲法9条の「平和主義」違反であると、再可決を食い止めようという動きが各地で起こっています。

そのなかでも、ある国会議員から「利己的な若者」と揶揄されたSEALDsなどの若者が堂々と反対の声を上げ、注目されています。

この動きを西成の若者はどう考えているのか。今回のフォーラムは高校生から30代の若者10人の声に耳を傾けました。

【視聴】教えて!ヒゲの隊長

 

まずは賛成派の意見から

10人の若者たちに2つの動画を見てもらいました。

1つ目は、自民党が安保関連改正法案の理解を深めようとつくった動画『教えて!ヒゲの隊長』。

自衛隊員としてイラク派遣を経験し、後に参議員となった佐藤まさひさ氏が電車の中で、女子校生のあかりちゃんに法案の内容をわかりやすく説明するというものです。

この動画では、改正法案は戦争法案ではなく平和安全法制であることを伝えています。法整備の必要性として、

①日本を取り巻くさまざまな脅威から、日本を守るために必要

②ミサイルを日本に向けているような相手国が軽々しく仕掛けてこないような抑止力を持つことが必要

③アメリカとの同盟関係の強化や世界の友好国との信頼獲得につながる積極的な平和主義が求められている

と3つのポイントを訴え、最後に法案が成立しても、「他国の戦争に巻き込まれることも徴兵制になることもない」と断言して動画は終わります。

【視聴】ヒゲの隊長に教えてあげてみた

 

続いて反対派の意見から

2つ目の動画は、『ヒゲの隊長に教えてあげてみた』。自民党の動画で説明を受けていた女子高生のあかりちゃんが佐藤議員の説明に反論します。

①法案が憲法違反であり、主権在民という民主主義の原則を軽視していること

②集団的自衛権などの必要性を訴える前提は脅威を煽っているだけで、現行のままでも対応できること

③積極的平和主義は、テロの危険性を高め、現地NGOなどでの日本人の平和活動を阻害し、命を危険にさらすこと

など、問題点を指摘します。

そして、最後には、望む仕事に就けず貧困に苦しむ学生や若者が自発的に金銭的好条件の自衛隊を選んでしまう「経済的徴兵制度」の危険性を指摘します。

10人の若者の感想

  • 動画を見て、率直な感想は?

○両方とも、上手につくっている。でも、反対派の方が、法案だけでなく、憲法の話などしっかりと勉強している。

○賛成派はふわっとしていて中身がない。でも、反対派は難しい。

○反対派の方がちょっと詳しい。

○反対か賛成どっち?と言われたら、答えはだせない。難しい問題であることはわかった。

○そもそも安保法案の改正の内容を知らなかった。賛成・反対というよりも、勉強になった。

○反対派の動画に出ていた女子高生みたいに、この法案を知っている高校生はいないと思う。

○賛成派はええトコばかり。反対派は悪いとこばかりで、何がほんとかわからない。

○どっちもよくわかった。どちらがええかわからん。

○反対だろといわれれば反対になる。でも、もうちょっと説明してほしい。

○反対派の僕から見ると、賛成派は説明不足。きれいなことしか言っていない。

  • わからなかったところは?

○テレビでは、反対派の意見ばかりが流れている。改正安保法案が悪という論調で、少し偏っている気もする。でも、賛成派の意見が正しいのかわからない。

○戦争法案と呼ばれるようになっているけど、自衛隊員の声が聴きたい。

○賛成派は法律の内容を伝えていない。反対派が指摘する問題点を詳しく説明してほしい。

○結局、安保改正法案自体がなんなのかわからなかった。

○普段、ニュースを見ないし、新聞も読まないので。難しい言葉が多かった。ツイッターは反対派ばかりなので、何が正しいのかわからない。

○賛成派の意見がわかりやすいという人もいたが、僕にとっては難しい。結局、自分の生活がどうなるのかが、わからない。

○反対派は難しかった。普段見慣れない漢字や言葉が多い。

○結局、法律ができると何ができるようになるのかが、わからない。

○賛成派が想定したケースはありえないと反対派が言う。具体的にどうなるのか、ケースを示して欲しい。

○集団的自衛権とは何かを教えてほしい。

反対派のおじさんの一言

○賛成や反対もあるけど、みんなに伝えたいことで1つ大事なことがある。今回の法案は、『憲法違反』だということ。憲法は日本国民が守る大前提のルール。特に憲法は権力の暴走を防ぐために大切なもので、権力を持つ国会議員は憲法を守らないといけない。今回の法案だけでなく、憲法とはなにか学ぶ必要があるね。

【視聴】SEALDsという動き

 

若者が声をあげた

続いて、SEALDsの動画を見ました。軽快なリズムに合わせ、「戦争法案、絶対反対」「憲法守れ」「勝手に決めるな」と連呼する姿。60年・70年安保闘争以来、静まっていた学生や若者が再び動き始めました。

低い投票率に象徴されるように、政治に無関心だとされてきた若者が声を上げたことを、好意的にとらえるマスコミや嫌悪する議員など、それぞれ反応は違います。では、同世代がどうとらえているのか。動画を見て、感想を聞きました。参加した若者でSEALDsを知っていたのは4人でした。

同世代として

  • 動画を見て、率直な感想は?

○若い人が主張するのがええ。

○あの場に自分は立てない。立つほどの当事者感がない。

○熱い。元気がある。

○同年代の人がちゃんと理解してやっているのなら、自分もなんかしようかな。

○自分のまわりのほとんどは、今回の法案改正を知らない。でも、戦争は怖い。デモのメンバーも同じちゃうかな。

○バカ騒ぎしたいだけ?と思ってしまう。賛成、反対どっちでもいいけど、騒ぎたいだけという奴もいるのでは?

○デモの主張を聞いて、自民党は急ぎすぎていると感じた。

○ほんまにみんなが反対なんやろか?勢いだけでは。

○主張を理解してないのに、声を出している感じがする。

○ノリで反対が多そう。

おじさん・おばさんの声

○自分自身で理解しないと行動できないという声があったけど、法案の中身を完全に理解している人なんてほとんどいない。

○全部、理解した人だけが動いているわけではなく、『動かなあかん』という感情で動いている部分が大きいと思う。でもこれが大事。バカ騒ぎでもOK。言論の自由を体現している。

○60・70年代に学生運動していた人も、実はあまりわかっていなかった。わからないから動かないではなく、いまの知識で語り合うことも大切。

3つの安保を知るおじさん

○僕は60年・70年の安保を体験し、いま2015年の安保関連法案の改正を経験中です。3つを振り返ると、デモに参加している全員がわかっているわけではない。けど、大騒ぎをしている。これが真相です。でも、わからなくて良い。『大きな力が小さな力を圧することには抗する。』これが僕の考え方です。

○時の権力が結果ありきで動くことへの嫌悪感や違和感が大事。それをきっかけに、憲法を考える。民主主義を考える。1つ1つ検証していくことが、次につながる。

「戦争反対!」が民主主義

○疑わしきは被告人の利益に。という裁判の大原則があります。これと同じで、「戦争といえば反対。デモをする」というのが、民主主義のルールです。デモをしないと、本当に戦争になります。反対意見が出てきて、動くことで、戦争を少しでも遅らせることができます。

○1941年12月8日の真珠湾攻撃は、勝ち目がないと思って仕掛けたわけでない。でも、たった3年後の44年には命がけの特攻隊で戦わないといけないようになっていた。「生きて帰ってくるな」という特攻隊は完全な戦争犯罪だけど、あっという間にそこまで行ってしまう。戦争だけは早く手を打たなくては、人権をないがしろにされる状況ができてしまう。

唯一のアメリカ人として

○日本のテレビは見ない。アメリカでの議論もわからない。そんな状況ですが、みなさんの意見を聞いていて、鋭い指摘だと率直に思います。法案の理屈もあいまいで、最終的な目的が不透明な状況で、不安になるのは当たり前。

○僕はアメリカの軍国主義・帝国主義が嫌いだけど、アメリカが右を向いているのに、日本が右を向かないことに対しては、不満を抱くアメリカ人はいるだろう。でも、日本の思惑は、経済的な利益ではないだろうか。アメリカに喜んでもらって、有利な貿易条件を追求しているだけでは?

○おそらくアメリカ人の大半は日本の今の動きを知らない。報道もされていないと思う。安倍さんがアメリカに来て、オバマさんとした約束を守ろうとしているといった程度。日本が思うほど、アメリカは日本のことを考えているわけではない。

おじさんからの質問

  • 唐突にこの安保法案の改正が出てきたと思いますか?事実は真綿で首を絞めるように、ここまで到達したことを理解してください。秘密情報保護法、武器の三原則など、徐々に変わっています。軍事産業が力を持ち、言論統制が進む。これは満州事変から太平洋戦争につながった過去に似ています。この点はどう思いますか?

○昔の方が怖いと思う。いまは情報を調べることができます。

○第二次世界大戦中は国や軍隊にとって都合の良い意見しか教えられなかったはずなので、国の動きに反対できる今がそこまで危険だとは思わない。

  • おじさんは戦争に行かないけど、君たちはもしかしたら戦争行く可能性はあるよ?

○戦争にはならないでしょう。憲法に戦争をするとは書いていないし。

○戦争に行くのは怖いし、徴兵制も怖い。でも、それを決める議員が選挙で決まっていることをじっくり考えたい。

  • 最後に一言どうぞ

○自分の勉強不足を痛感した。

○みんなの意見を聞いても、動画を見てもやっぱり当事者感は出てこない。お国のためにという気にもならないし、戦争があったことは学んでいるけど、戦争が起こるとは思えない。

○なんも知らんけど、もうちょっと知りたいと思った。

○戦争反対とか賛成とか言っているけど、結局は金。戦争も金や欲で始まって、大人もみんな金でずぶずぶ。

○無知は怖い。言いくるめられる。勉強をせなあかん。

○ちょっとは勉強できてよかった。

○もっともっとわかりやすく、教えてほしい。

○今の動きが自分事にはならない。勉強したい。

○戦争に行くかもしれない。僕らが当事者であるという意識を持ちたい。

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