vol19「大阪市の平成28年度予算案について」

第19回フォーラムにしなりは、大阪市会議員・武なおき議員を講師に迎え大阪市の平成28年度予算案につ いての説明をいただきました。当日は地域住民や教育関係者、企業、団体、行政など40数名の参加があり有意 義な意見交換会となりました。
また今回のフォーラムは新年度予算案がテーマということもあり、案内チラシに事前アンケートをつけて配布 し、当日の意見交換に活用させていただきました。

税金の使い道をチェックしよう

前大阪市会議員 小林みちひろ

 年度末は来年度の予算を検討する時期です。先日、吉村市長が大阪市予算案を提案されました。私たちの生活に直接ひびいてくる大阪市の予算をしっかり学び、どのように生活が変わるのかをいっしょに考えたいと思います。
一方、予算執行の是非を決める大阪市会議員の役割も重要です。市会議員の仕事には主に、①市民の生活相談(福祉や教育、まちづくりなど)をうけ、その声を大阪市に届け、改善していくこと、②税金の使い道について無駄を省き、市民生活がより良くなるよう提案することがあります。自分が鶴見橋中学校の社会科の教師のとき生徒に国民の3大義務を教えました。①教育を受けさせる義務、②働く義務、③税金を納める義務。予算の原案提案は大阪市長ですが、その案を審議しOKを出すのは大阪市会です。市会議員は市長提案を追及したり、違う形のものを提案したりするなど市会で審議し決めていきます。ちなみに、自分が市会議員に初当選した13年前、大阪市の年間予算は一般会計
・特別会計合わせて約4兆3000億円ありました。大阪市の予算は直接私たちの暮らしに大きく関わることなので、その使い道についてしっかり学習したいと思います。
議会がどれだけ私たちの為にしっかり議論しているかをチェックするのも市民の大事な役目です。こういう視点で皆さんからの意見をお願いします。

市民の声を議会に届ける議員に

おおさかみらい大阪市会議員団 武なおき大阪市会議員

はじめに

 生野区選出の武なおきです。今回2期目の市会議員をさせていただいています。市民の方から議員や議会は何をやっているのかわからないという声をお聴きします。そこで、今期の自分のテーマは「議会の見える化」と「対話による政策づくり」です。今日のように、市民の皆さんとの対話を基本にまちづくりを進めていきます。

なぜ議員になろうと思ったのか

 自分は岡山県の出身で、大学では社会福祉を学びました。その後、生野区の社会福祉協議会に就職し、地域活動やNPO活動、食事サービスとか地域活動を応援する仕事に就きました。地域密着型で活動しているため、障害者や高齢者の方の生活相談や市民の地域活動の悩みなどの相談を受けました。そのたびに関係者と一緒に区役所に行って話をしますが、担当職員は理解してくれても上の役職の人や本庁までは声が届かない現状がありました。
一社会福祉協議会職員ではなかなか声が届かないことが現場では多々ありました。これを変えるにはどうしたらいいのだろうと仲間たちと話していたら、「それは議員になるしかないで」ということになり、そしたら自分が議員になろうと決意しました。
選挙のことは何もわからなくて、最初は無所属で立候補しましたが落選しました。応援団もいなかったし、ビラも一人でポスティングし、演説会もどうするかも分からないような状況で、選挙の難しさを感じました。また民主党公認で補欠選挙にも出ましたが維新の会に負けました。しかし次の選挙で当選できました。
議員になって変わったことは、大阪市に直接、意見を言ったり要望したりできるようになったことです。市民の意見や地域の課題を大阪市に届けられるようになりました。

大阪市議会の現況

 現在大阪市会は「おおさか維新」が37人、「自民党」19人、「公明党」19人、「おおさかみらい」2人、「共産党」9人の構成になっています。自分たち「おおさかみらい」は2人しかいません。しかし、その二議席によって議案の賛否が左右されるような議案も、この間の大阪市会ではありました。
多数決で過半数の議員が賛成したら条例や施策が成立します。過半数ではなく3分の2の議決が必要な事項もあります。例えば地下鉄やバスなどの交通機関の民営化や水道の民営化・株式会社化という案件はその重要性のために、3分の2の賛成が必要になります。
議員には議決のために調査する権限があります。例えば、西成の高齢者の人口や虐待件数などの数字を出してもらったり、事業の経過や資料、効果測定などを調査し、議案の検討材料にします。

大阪市会のあり方(大阪市会だより参考)

 市役所の8階には本会議場があります。ここで市長が市会議員86人に予算案などを説明します。本会議場で各委員会に議案が付託され、各々の議員が案件を議論します。
大阪市会には6つの常任委員会(①民生保健、②都市経済、③教育こども、④建設消防、⑤財政総務、⑥交通水道)があり、各議員はいずれかの常任委員会に所属します。自分は建設消防委員会です。また常任委員会とは別に特別委員会というのがあって、市政改革特別委員会、大都市税財政特別委員会、環境対策特別委員会があります。
本会議場での代表質問は5 人以上の会派に限られています。代表質問では市長にまず会派の考えを述べ、質問します。次に各委員会で詳細を議論し、各委員会で採決を行います。例えば、最近ではヘイトスピーチ条例の議案がありました。これは財政総務委員会での議論となり、被害者の裁判費用をどうするかなどが議論されました。この議案は各会派の賛否が拮抗しており、最初は全会派一致だったものの、最終的に自民党が反対に回りました。結局、財総委員会で賛成が過半数になり、本会議場でも自民党以外の賛成で可決しました。ところが、本会議場にカラーボールが投げ込まれるという事件もあり、それだけこの事案は世の中でも賛否が分かれていたと思います。

平成28 年度予算案の主な項目の説明

 吉村市長は平成28 年度の予算について基本方針を大きく3 つ出してきました。①豊かな大阪をめざした政策推進、②新たな価値を生み出す市政改革、③新たな自治の仕組みの構築。この三つを柱に今年度の予算の概要は次のようになります。(大阪市の平成28 年度予算案から資料は抜粋)
まず、来年度の予算の概要ですが、予算総額として3 兆6,973 億円あります。そのうち、一般会計は1 兆6,509 億円で目的別に見ますと、福祉費が5,449 億3,800 百万円で約33%を占めています。子ども青少年の費用は1,872 億7,500 百万円です。
次に子どもの教育・医療、無償都市大阪を目指した予算として、5 歳児にかかる幼児教育の無償化で25 億2,000 万円。子どもの医療費助成に75 億9,600 万円。15 歳(中学生)で終了していたのを18 歳到達後の最初の3 月まで延長などです。
待機児童の解消をはじめとした保育を必要とするすべての入所枠の確保に向けて、43 億3,900 万円。また、中学校給食事業も温かい給食の提供など学校調理方式への移行にともない、26 億2,200 万円を計上、平成31 年度2 学期までに全校で実施を目指します。平成28 年度2 学期より中学校(18 校)を学校調理方式へ移行します。
子どもの貧困に対する取り組みとして、実態調査費など600 万円。児童相談所の複数設置に2 億7,600 万円計上しています。
真に支援を必要とする人々のための施策として、特別養護老人ホーム建設助成として37 億6,500 万円。認知症初期集中支援推進事業に3 億2,600 万円。生活困窮者自立支援事業に5 億1,100 万円。就労
自立支援に5 億4,100 万円を計上。西成区特区構想で、あいりん地域環境対策整備事業や、子どもの居場所づくりのためのプレーパーク事業。簡易宿泊所設備改善助成事業や薬物依存者等サポート事業な
どで総額9 億3,400 万円計上。このほかにも都市魅力の向上、大阪の成長戦略、うめきた2 期区域まちづくり、鉄道ネットワーク、防災・震災対策、密集市街地整備、観光集客ビジネスチャンスなど多岐にわたって予算が組まれています。また、官民連携で地下鉄、バス、上下水道、幼稚園、保育所、博物館、一般廃棄物収集輸送について積極的に民間開放を推進していくとなっています。最後に都構想関連で、「副首都・大阪」の将来ビジョンも、副首都推進本部を設置して進めていく、とされています。

フォーラムの声

 今回の案内チラシの事前アンケートにご回答いただいた皆さまのご意見です。

【70 歳代・男性・旭区在住】

(1)中学校給食をよいものにするのは賛成ですが、業者が見つからな      いということは難しいところです。旧同和推進校の給食設備を使用したりセンター校方式にするのはどうでしょうか。
(2)市民交流センターが廃止になった後、利用している高齢者の居場所づくりが必要では?

【60 歳代・男性・都島区在住】

(3)私はこれまで、釜ヶ崎・今宮中学ケースワーカー・鶴見橋中学校・長橋小学校など長橋地域に関わってきました。この地域の素晴らしい実践を、全国的に広がりつつある子どもの貧困について西成から発信していく必要があると思います。

【60 歳代・男性・西成区在住】

(4)中学校給食は賛成でできるところから早く始めてほしい。
(5)子どもの貧困調査は賛成だが、現場の学校教師が子どもの貧困についてどれだけ理解しているのか疑問に思う。
(6)幼児教育について、早い時期からのカリキュラムと、保小連携や発達障害の子どもたちへの対応が必要だと思う。
(7)都構想は情報提供が大事、公平な学習の機会が必要。

【40 歳代・男性・西成区在住】

(8)子どもの貧困が大きな問題となっています。市民交流センターで実    施している「子ども食堂」への支援、ボランティア派遣、食材の提供など周知してほしい。
(9)公営住宅の入居者の高齢化が進んでいます。孤立死や自治活動     の担い手がいない、引きこもりなどの問題解決のために、自治活動を担うことを業務にした若者・中高年の入居募集や子育て世代の大幅入居などの政策入居を進めてほしい。
(10)西成区北西部は老朽密集市街地で大規模な震災が起こると甚大な被害を受けると言われています。国の事業を活用しても問題の解決には至っていません。震災が起こってからでは取り返しのつかないことになるため、早急に整備できる仕組みづくりを行ってほしい。

次回のご案内

第2 0 回フォーラムにしなり
4 月2 0 日( 水)午後6 時3 0 分~                     於: にしなり隣保館「スマイルゆ~ とあい」