vol20「教育の無償化を考える」

4月20日(水)午後6時30分より第20回「フォーラムにしなり」を開催しました。今回のテーマは「教育の無償化を考える」です。わたくし小林みちひろ(前大阪市会議員)より話題提供し、ご参加いただいた皆さんと意見交換しました。

教育の無償化を考える

前大阪市会議員 小林みちひろ

1.「世界人権宣言」すべての人に教育を受ける権利がある

 世界人権宣言は、すべての人は教育を受ける権利をもっており、初等教育は無償である、と宣言しています。しかし、世界では7500万人の子どもが学校に通えず、7億7600万人の成人が読み書きできないと言われています。その多くは、アフリカ・アジアの一部の地域の人びとや女性です。
一読み書きができないと、必要な情報を手に入れることができず、社会的な不利益を被り権利が大幅に制限されます。貧しい国では教育予算がなく、子どもに労働を強いたり戦争に行かせたりすることもあります。識字率の向上により子どもの死亡率も貧困率も低くなっていきます。ノーベル平和賞マララさんも言うように、「戦争も教育でなくすことができる」のです。

2.教育費の負担が少子化の要因の一つに

 日本の子どもの出生率は年々低下し、現在、一人の女性が一生のうちに出産する子どもの平均数は1.43人であり、二人を産むことはありません。いよいよ少子高齢化の時代になってきました。その要因は複合的ですが、その大きな要因のひとつに、家庭における教育費の負担が大きいことがあります。現状では子育てや教育にお金がかかりすぎるのです。

3.格差解消に向けて教育の無償化を

 よって、家計に対する子育て・教育の経済的負担の軽減が重要です。そのために必要になってくるのが、①幼児教育の無償化、②高等教育費の負担軽減、③奨学金の充実、④経済的に困窮する家庭の子どもに対する教育支援などの施策が必要です。
これらの施策によって拡大する経済格差の中で教育の機会均等を図り、さらに、保護者の経済的・教育的環境に関わらず、子どもらの等しく教育を受ける権利を守るには、教育の無償化が大事です。

4.教育に係る費用は1 人1,000 万円以上

 一般的に「子どもにかかる教育費は、1人1,000万円以上」といわれていますが、下記の調査結果でも多額の費用がかかることを示しています。

5.教育の無償化を実現するために

①「義務教育と関連して、教育内容のどこまでを無償化にするのか」
憲法第26条により「すべて国民はひとしく教育をうける権利があり教育を受けさせる義務を負う」ことから、「義務教育は無償」となっています。しかしその範囲は規定されていないので、教育基本法により無償の範囲は授業料に限られています。給食費や修学旅行費、遠足や郊外活動費、補助教材費などは保護者負担のままです。
②「どの学校までを無償化・義務教育にするのか」
現在、高校・大学は義務教育ではありません。しかし、高校進学率は全国で97%を超え(文部科学省発表)、大学・短大進学率は現役で3.9%(文部科学省平成26年度学校基本調査)となっています。無償化と義務教育はセットです。ただし、大学教育の無償化には5兆円以上かかるという試算も出ています。その原資は税金で賄われるため、実行するために増税の可能性も出てきます。
③「大学奨学金制度をどう考えるか」
不況や就職難で奨学金が返済できずに厳しい取り立てを受けたり、自己破産したりする若者が急増するなど、奨学金の返済に関する問題は年々深刻化しています。結婚や就職にも大きな影響を及ぼし、大学卒業後の生活も厳しくなっています。そこで、奨学金制度も給付型や無利子型、卒業後の所得に応じた返済額の軽減措置などが検討されています。
④「フリースクールやインターナショナルスクールなどにも教育の無償化を」
現在フリースクールが注目されています。その背景には日本全国の小中学校で不登校の数が12万3000人という実態があります。多様な学びを実現するフリースクールが全国に存在しますが、子どもたちは学校に籍を置いたままフリースクールに通い、小・中学校の卒業資格を得ています。しかし、保護者の経済的負担も大きいのでフリースクールの教育無償化を考える必要があるのではないでしょうか。と同時に、インターナショナルスクールなども教育無償化の対象に加えるべきだと思います。

6.参加者のご意見

○60代男性

地域住民の意識が昔と変わってきた。何ごとにも関わりたくないという意識が多い。例えば町会に入るメリットがないのなら入らないとか。

○60代男性

『就職時の対応を考えると高校も義務教育化が必要。子どもの貧困をなくすのは福祉だけではダメ、教育からの対応も必要。今の学校選択制が教育の格差につながっている。隣保館に集まる子どもの意識を見ると親の意識も変えていく必要がある』

○20代男性

『大人の学び直しが必要、働きながら学ぶ機会がほしい。学ぶことにより人間を大切にする心が出るのではないか。社会はもっと教育に寛容になってもいいと思う』

○70代女性

『解放同盟西成支部の仕事について教育に関わってきたが、今、ひ孫をみていて昔の教育実態と変わらない気がする。昔は、保育所などが保護者や保母に対応したり、話し合いをしてきたが、今はできないのか。しかし、これまでの同和教育は間違ってなかったと思う』

7.まとめ 教育無償化の意義

①教育を受ける事は知識や情報を手に入れる力がつき、人権尊重や貧困、戦争をなくしていくことにもつながり、人が人として幸せに生きていくために重要な事。
②これまでの貧困対策の無償化から多様化する社会や価値観の実態をふまえ未来への投資という考えに転換し、教育の機会均等を求める事。
③幼児教育はすべてにおいて無償化を求め、小・中学校は給食費や修学旅行費も無償化を求める。
④高校教育は義務教育化の検討を求め大学教育は奨学金の無利子化や卒業後の所得と連動した奨学金制度を求める。
⑤学校での教育に限らない多様な学びの実態をふまえ、フリースクールやインターナショナルスクールなどにも教育無償化を求める。