VOL23「第24回参議院選挙結果について」

第24 回参議院選挙結果について

小林道弘 前大阪市会議員

はじめに

先日、神奈川県相模原市で起こった障害者施設での殺人事件は本当に心が痛い事件です。新聞などのマスコミ報道では、精神障害による措置入院や大麻使用に原因を求めているようですが、入所者に対する容疑者の日常的な言動や犯行計画予告を衆議院議長にもっていくなどの行動から考えると、明らかに事件の本質はヘイトクライムにあると思います。これは「差別意識にもとづく大量殺人」事件です。
ヘイトクライムとは、障害者やLGBTなどの社会的少数者、マイノリティに対する偏見や憎しみによって行う犯罪行為のことです。今回の事件では警察にも重大な責任があると思います。最初の捜査で精神障害の事件だと決めつけ、容疑者を措置入院させ責任を回避しています。深刻なのは、社会にある障害者への差別意識と「障害者は施設へ」という隔離を是とする考えがあることです。なぜ普通に自宅で生活を送れないのか。人里離れた施設で何人も集団で生活しなければならないのか。このように追い込んでいる障害者への偏見・差別意識が社会意識の中にないでしょうか。
複雑な問題だと思いますが、地域の中からあのような事件を無くしていけないのかと感じています。教育や福祉やコミュニティの中で私たち一人一人の問題として考えていきたいと思います。

参議院選挙の総括

第24回参議院議員選挙が7月10日に投開票されました。選挙争点は、①消費税10%先送り、②安全保障関連法、③憲法改正の3つと思われましたが、大きな議論にならず、アベノミクスの評価や日本の将来が争点になりました。具体的に言うと、待機児童問題と教育無償化、給付型奨学金、同一労働同一賃金など、与野党の政策のちがいがあまりみえない争点だったと思います。しかし、今回の選挙で最も特徴的なのは18歳選挙権の行使です。18歳から投票ができるということで、学校ではこの選挙に向けて模擬投票を行ったり学習を積み重ねたりと変化がありました。今後も引き続き若い人たちが積極的に選挙に関わるような取り組みが必要だと思います。
【自民党・公明党、与党の圧勝】
結果は自民党・公明党の与党が70議席を獲得、改選定数の過半数(61議席)を確保し大勝しました。自民党・公明党が躍進、共産党はまあまあ、民進党は3年前と比較すればましですが、6年前の議席からは減っています。大阪をはじめとする近畿では民進党はほぼ全滅、かろうじて京都の福山哲郎さんだけが当選です。地域性の反映とも言えそうですが、むしろ民主党政権の失敗の後遺症が残っているという総括が必要です。民進・共産など野党4党による統一候補の擁立で注目された「一人区」(32選挙区)でも自民党が21勝11敗で勝ち越しました。
また、ヨーロッパでのテロ事件や不安定な国際情勢のなか、国民は大きな変化を望まない選択をしたのだと思います。このことも与党の勝因につながりました。
【民進党、大阪で議席獲得ならず】
大阪選挙区では、9人が4議席を争う激戦となりましたが、自民党・公明党とおおさか維新は新人二人が当選しました。尾立さんは公認会計士の視点からアベノミクスを批判し、最低賃金引き上げや待機児童の解消を訴えましたが、及びませんでした。得票数に注目すると、おおさか維新の二人の票数には民進党や共産党の得票数を合わせても届きません。それだけ維新は大阪の民意を得ているということです。これにより大阪の民進党は参議院における議席を失いました。
【野党共闘の課題】
今回の野党共闘は、野党間の政策のすり合わせも乏しく、ただ自民党一強崩し、安倍政権打倒だけが目的の安易な戦略と映り、有権者に受け入れてもらえなかったように思います。共闘の基軸に据えたはずの現行憲法についてのスタンスも野党間でさまざまであったため、政策論争も巧みに争点をすり替えられ、憲法改正が議論の俎上に載せられませんでした。マスコミも今回の争点はアベノミクスの評価だと報じていました。このように与党からは選挙目当ての野合と批判され、国民に認められた受け皿となることができませんでした。
今後も野党共闘が考えられますが、今回のことを教訓にしっかり議論して野党統一政策を出さなければ、国民の信頼は得られません。衆参ともに改憲勢力が3分の2を占めたことで、改憲の動きがますます加速し、秋の臨時国会以降、憲法調査会での議論に大きく影響することは必至です。その影響は衆議院選挙にも及ぶことでしょう。
【地方議会活性化にむけた地方政党の立ち上げ】
大阪では昨年の知事・市長のダブル選挙と同様、民進党に対する期待感はなく、おおさか維新が無党派層の受け皿になっています。また、最近の門真市長選挙も維新の候補が当選しました。おおさか維新
には「改革の党」というイメージが定着し、「ふわぁっとした民意」から確かな維新支持層が形成されつつあります。「大阪都構想」が再浮上することも予想されています。
小林は次の統一地方選挙に向け、民主主義を守り地域主権・市民参加で地方から人権・教育・福祉施策などを創っていく勢力として、新たな地域政党の旗揚げが必要だと思います。地方議会が自立するには、中央集権ではなく地方議員の発言権を強化し、分権に耐えうる成熟した地方議会を作り、地方独自で政策を立案・実施できなければいけません。住民自身も参加し共に地方分権を確立していく、地方自立型政
党としての地域政党の立ち上げをめざしたいと思います。

フォーラムの声

c%c2%84e%c2%8c

○60 代男性

大阪は維新が非常に強い。大阪府議会、大阪市会、堺市議会合わせて維新議員が180 人いる。今回の参院選では14 万票獲った。なぜこうなったのか。野党にも責任があるでしょう。維新は本来的には保守だと思いますが、橋下さんが政治に新しい風を吹き込み、大阪では「改革派」ということになっています。今後はこれに対抗しうる新しい政治勢力、つまり政策立案する政策集団が必要でしょう。例えば尾立さんも言っていた大学奨学金の問題は、いま現在苦しんでいる人たちへの政策も視野に入れる必要があるのでは?

○50 代男性

c%c2%84e%c2%8c2

大阪維新はもともと大阪自民の右派寄りの人たちが参加した組織だから保守だと思います。しかし革新的に見えているのは不思議な光景です。維新が不満の受け皿になっている観があるが、問題も多い。大阪の景気はどうなっているのか、伸びているのか? わたしたちの生活はよくなっているのか、どうか? これらは維新の政治が問われるべき問題です。

○50 代男性

c%c2%84e%c2%8c3

維新政治になって色々やっていると言っているが何もやっていないと思う。観光客で賑わって潤っているように見えるが、働く人の賃金も上がっていないし、若者の要求に耳を傾けて「何をしてほしいのか」ということを把握しきれておらず(民進党がやってくれたらいいが)、小林さんに分かりやすい政策を出してほしい。

c%c2%84e%c2%8c4

○70 代女性

維新の議員は、当選すれば橋下さんの言うとおりに動く人ばかりのように思う。維新に任すわけにはいかない。女性ももっと多く学習会などに参加して小林さんを応援していくことが必要だと思う。

○80 代男性

民進党の課題、自民党に勝つために何が必要なのかという基本方針を示してほしい。二重行政の解消とは何かということを明らかにしてほしい。憲法にしても自民党は「対案を出せ」と言うが、憲法を変えないのなら現憲法を「対案」とすればいい。

秋からはじまります 総合区・特別区の住民説明会

大阪都構想の再燃

昨年5月、「大阪都構想」の是非を問う住民投票は僅差で反対が賛成を上回り、橋下前市長が提唱していた都構想は退けられました。しかし、昨年11月の知事・市長選挙で再度大阪都構想の実現を公約に掲げた松井知事・吉村市長が誕生しました。松井知事は「総合区」か「特別区(大阪都構想)」かの二者択一で大阪市のあり方を問う住民投票を2018年秋までに実施する考えを表明しました。今後、これらの内容について市民対象の説明会が実施される予定で、西成区では12月に開催されます。

総合区でも特別区でも「合区」が前提

西成区の人口は現在、11万8000人です。一番多いのは平野区で19万6000人、一番少ないのは此花区で6万6000人です。人口にはバラツキがあるのに、大阪市は横並びの行政サービスを実施しています。たとえば「老人センターは一区に一館なのに、西成区には老人センターが二つある」と言って延寿荘を廃止しました。
そこで総合区は24行政区を同規模の人口にするためにいくつかの区をまとめて合区し、エリアマネージャーのような総合区長を新設します。総合区長は議会承認後、市長が選任します。権限についても市長に意見具申して地域のニーズを伝えることができるようになります。
住民説明会ではおおさか維新の大阪都構想を前提とする「特別区」の説明もされます。大阪市を残す独自財源の「総合区」か、大阪府と財政調整を行う区議会を設置する中核市並みの「特別区(都構想)」なのかを選ぶことになります。

大切なのは、地域に応じた政策

重要なことは、市行政を24区横並びに実施するのではなく、合区されたブロックごとに抱える課題に応じた政策を実施することです。例えば、西成区的課題として低学力・子どもの貧困・子どもの居場所づくりに応じた教育政策や福祉政策・地場産業育成・観光政策などを総合区における権限移譲や財源を活用して住民サービスの向上をはかることです。

■ 区数(案)

総合区の設置とその事務の拡充にあたっては、効率性を考え、合区を前提に次の規模を想定

a%c2%82%c2%ada%c2%83a%c2%83%c2%97a%c2%83%c2%81a%c2%83
※具体的な区割りは今後検討                                     人口は平成47 年の将来推計人口(約228 万人)

大阪市案は、合区を前提にしています。合区は3つの案が提出される予定です。

■ 事務レベルに相当する職員数(案)

a%c2%82%c2%ada%c2%83a%c2%83%c2%97a%c2%83%c2%81a%c2%83
事務レベルについては、権限と事務内容に応じて三つの案が提出されます。事務の容量と権限はA<B<Cとなっていきます。
次に、事務レベルと区数を掛け合わせて、職員数を算出します。表の数値は、現在の職員総数からの増減を示しています。職員の増減数の妥当案として、○で囲んだ5つが提示されます。
住民説明会では以上のことと同時に「特別区(都構想)」の説明もされます。大阪市を残す独自財源の「総合区」か、大阪府と財政調整を行う区議会を設置する中核市並みの「特別区(都構想)」なのかを選ぶことになります。
重要なことは、市行政を24区横並びに実施するのではなく、合区されたブロックごとに抱える課題に応じた政策を実施することです。例えば、西成区的課題として低学力・子どもの貧困・子どもの居場所づくりに応じた教育政策や福祉政策・地場産業育成・観光政策などを総合区における権限移譲や財源を活用して住民サービスの向上をはかることです。

次回のご案内

第2 4 回フォーラムにしなり

テーマ: 憲法について考えよう
講師: 大橋さゆり弁護士9月1日(木)午後6時30分~