VOL26「総合区ってなぁに?」

総合区ってなぁに?

前大阪市会議員 小林みちひろ

無題

横ならびの行政サービス

今日は久しぶりに総合区についてお話したいと思います。ある程度のイメージはあると思いますが、去年の住民投票で都構想が否決されたのを機に、総合区が具体的に議論されるようになりました。
ポイントは合区の問題です。区長がどのように総合区を運営するのか。住民がどのように関わっていくのか。私たちの住んでいる地域を議会・議員まかせでなく、自分たちで運営していくのか。また、西成区で開催される住民説明会についても考えたいと思います。
大阪市には24の行政区があります。西成の人口は11万8千人。一番多い行政区は平野区で19万6千人。少ないのは大正区や此花区で6万6千人程度です。現状では西成区と他区の行政サービスは同じです。問題になるのは、たとえば老人センターの場合です。現在、老人センターが花園町にありますね。かつては北津守にもあり、西成区には2つありました。それが「同区になぜ2つあるのか」と問題になり、結局1つになりました。これが横並びの行政です。ところが、西成区は65歳以上の方が35%を占めています。このように高齢者が多い街ではそれなりの行政や施策をするべきです。
その最たる問題が中学校給食、すべての子供が同じものを食べるというのが大阪の行政でした。私が市議のときは「食育が大事」という話をしていました。そもそも35年前には大阪市全体に広げるという話があ ったのですが、予算がなかったのでとりあえず同和地区から始めることになりました。しかし今では「予算がないのでできない」ということになっています。                                       でも今のままでも24区全てで実現できるのです。給食センターをもつ中学校が近隣の中学校の分もまとめて給食を賄えばどうでしょう。同推校の給食の厨房を使えばできるはずです。しかし、結論は24区すべてが同じ給食でないといけないということになりました。

都構想の「ニア・イズ・ベター」

都構想がなにを目指していたのか振り返りましょう。都構想の住民投票の際、橋下さんは「ニア・イズ・ベター(near is better)」と言っていました。行政体制の効率的な整備、二重行政の解消を謳い、WTCを具体例にしていました。たしかに市と府で高さを競い合うというムダの極致にできあがった建物です。その他、大学や体育館も2つあるのはムダ、住吉市民病院も俎上に載せられました。近くに医療センターがあるので、総合医療センターに集約し廃止する、となりました。一方、「2つあってもいいじゃないか」という意見が反対派です。とにかく府市の機関を整理統合して効率化し、より住民に近い行政機関を設置しようというのが、都構想の目論見だったようです。
そのような目的をもつ大阪都構想では、現在の24区を5つの特別区にするという案がありましたね。その案では西成区・中央区・阿倍野区・天王寺区・西区が合区される、となっていました。この特別区への合区に賛成しているのは、北部の淀川区や東淀川区です。このことから賛成派には市税収入の多い区が多く、反対派にはそれが低い区が多かった、ということがわかります。

       都構想は否決された。

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住民ベースの行政と市民参画

先の住民投票で都構想は否決されたので、総合区/特別区の議論は一段落したかと思われましたが、地方自治法の改正という文脈でふたたび総合区が議論されるようになりました。では、そもそも総合区とはどのようなものでしょうか。簡単に言うと、大阪市という政令指定都市は残って、現在の行政区がよりレベルアップする区割り(案)です。区長権限が強くなり、総合区ごとに企画の立案や予算に関する意見具申ができるようになる、と言われています。行政の意思決定機関が現状よりも市民・区民に近くなるとも言えます。市議会では自民党・公明党・共産党が総合区に賛成で、維新は政令市の解体を伴う特別区を推しているという状況です。
右表をみると、行政サービスの質をA・B・Cに区別しています。公務員を減らすと市民サービスが低下します。たとえば、市バス職員は長年、新規採用されていませんでした。そのため若い職員がいなくなって次代の行政サービスが困ります。小さな政府になるとサービスも縮小しますが、民間を活用すればいい。
橋下さんは市長時代に西成を特区に指定し、「えこひいき」することにしました。大阪市の行政課題はたくさんあるが、西成区が抱える課題を解決すると大阪市の課題も解決に向かうはず。だから西成区の課題を解決しようとしたのです。
そこで、区長をリーダーにし、縦割り行政を横断するなどの工夫を試みました。たとえば、高齢者にとって必要なのは住居と健康と生きがい。これに応じる部局は住宅局、福祉局、建設局とすべて違っていました。市民ベースで課題を解決するために、これらの部局を束ねてプロジェクトを作ればどうか、そのために計画調整区にしようという提案がありましたが、行政は承諾しなかった。鈴木亘座長は考えをあらため、課題・解決案を短・中・長期に分けて、住民のニーズを拾い、市民参画をすすめていくことにしました。
このように、住民により近い行政サービスは、住民ニーズに合った施策運営と市民自らの参画によって可能になります。わたしは総合区を、そのような地方行政を実現する仕掛け・枠組みにしたいと思っています。次の5つの提案は、総合区ができたときにやってみたい施策案です。

総合区ができたらやってみたい5つの挑戦

1)徹底したボトムアップ型の政治を
草の根の市民の声を下から上に伝えていく仕組みです。反対の意味はトップダウン。
2)在日外国人に投票権を
現在のところ外国人に投票権はありません。国政では事情があるのはわかりますが、市行政については外国籍の方々の意見が反映されてもいいのではないでしょうか。彼らの声が届かないというのは問題です。では、どうすればいいか。総合区では条例をつくって常任委員会を設置し、総合区内の行政課題に独自に取り組むことができます。

キャプチャ

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3)親任せの教育からの卒業
「虐待で子どもが亡くなる」「子育てがわからないために殺した」「周りの人に相談できなかった」など、親が子供を殺める事件がメディアを賑わせている昨今、教育・子育てを親だけに任せておくことには限界がある
ように思います。
にしなり隣保館では毎週2回こども食堂が開催されており、その取り組みが共感を呼んでいます。地域で子供を見守る仕組みが求められているのかもしれません。
他方、大阪の教育の現場では、子供を通わせる学校を地域を越えて選べる学校選択制が採用されています。巷では、学校選択制は親のニーズだと言われています。しかし、人気のない地域・学校に通う子供はどうなるのでしょうか。競争から取り残されていくのでしょうか。親のニーズばかりでなく子供とそれを取り巻く地域との関係を考慮するなど、教育行政はトータルで考えないといけません。
ふたたび西成に目をやると、教育は長年の課題でした。昔と今を比べても学力の実態はそんなに変わっておらず、低いままというのが現状です。対策したものの学力は向上しませんでした。これら課題を解決するために、住民により近い総合区の権限で変えていきたいと思います。
4)生活保護の賢い使い方
大阪市の今年度の生活保護費は2,907億円で受給者数は2万7千人。来年度は2,826億円の予定です。今年度より減っていますが相変わらず多い。この他にもケースワーカーが少ないことが問題です。1人で約140人を担当しており、行き届いたサービスを提供することは到底できません。公と民の力を協力して様々な対策を実施する必要があります。たとえば生活困窮者自立支援事業。稼働年齢層が生活保護を受けないで済むように、就労支援や自立支援の施策を実施したいと思います。
5)負担を分かち合える総合区
西成区の市税収入額は23 番目。総合区で特区を設置し、企業が誘致に応えたときには法人税を減税する、若者を「えこひいき」する施策などを考えてみてはどうでしょうか。

フォーラムの声

【60代男性】総合区になると西成区は無くなるのか、残るのか。予算編成権を総合区が持つということは、西成をはじめ今の行政区の括りはなくなるのか。それとも「西成協議会」というような一定の括りは残るのか。
【小林】具体的な議論は今のところ出ていない。もっと先の話。

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【60代男性】他市では市の予算を町内会に託すところが出てきている。これにより、小さい単位まで予算編成できる。西成も予算編成をもつ住民組織として考えていかないといけないと思う。維新は「なくせ」と言っているのかな?また、総合区長は予算編成権を持つとされているが、
税金の取り方も提案できるのか? 常任委員会で総合区の予算案をつくるのは役人なのか、市民なのか?
【小林】よくわからない。今後の課題として勉強していきたい。
【50代男性】 総合区はどんな名称になるのかな?
【小林】いまの行政区には支所的な機能を残すと言われているが、総合区ができれば新たな名前をつけなくてはいけない。都構想のときは「湾岸区」などの名前が挙がっていましたね。
【80代男性】総合区の中身がよくわからない。行政区を少なくしてサービスを厚くするというのがうまくイメージできない。現状のままで特に大きな問題はないと思う。5つの行政区を1つの総合区にまとめて業務を
整理し、経費の削減につなげるとあるが、日常的な相談ごとはどこでするか。わざわざ遠くまで足を運ばなければいけないのか。日常の細々とした業務については現在ある区をそのまま残しておかなければならないのではないか。

無題21

【70代女性】 自動車屋が倒産して土地を売った後に民泊になるという噂をきいた。市が許可を出すことになっているそうだが、何かあったときは市が責任をもってくれるのか。どうなっていくのか不安が残る。

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【小林】民泊にはいろいろな意見があった。文化・生活環境が違うため、騒いだりゴミの出し方に問題があったり、旅館が民泊に客をとられるので反対していた。国の法律では1週間程度の宿泊だけ民泊の許可を出していた。しかし、形だけの法律はダメだということで大阪市だけが宿泊数を短くした。
法律・条例では、許可を出すときに条件を課している。申請者がこの条件をクリアしていればどうしようもないが、条件に違反した場合は交渉する余地がある。
【武議員】大阪市では2泊3日にする条例案が市議会に提出されているところです。その条例案には、住民に迷惑をかけない条件がいっぱいついています。また、民泊組合ができるようになる動向もあります。

無題23

【武議員】大阪市が特別区か総合区かで前に進まない状況だが、総合区に関する議論を街の課題を解決するために進めてほしい。政治のかけひきにも使われるが、良いものにしたい。自民党や大阪市も説明会をしている。こういった議論の場は非常に大事だと思う。
【小林】総合区に関する住民説明会が12月にありますので、詳細は寺本さんにたずねてください。さきほど質問に出ていた点も住民説明会で聞いてみてほしい。とにかく行って大阪市の説明を聞くのも大事だと思う。

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