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月刊なび140号より 障害者雇用率不正算入問題への緊急提案
 投稿日時: 2018/10/01
 官公庁に6900人の障害者が働いていると言ってたのに、3460人はウソだった。いったい、どこまで闇なのか、官庁や自治体の障害者雇用率不正算入問題は深刻だ。その直接的原因は、①深刻なコンプライアンスの欠如であり、②省庁自らが率先して共生社会を築くという意欲の欠如である。猛省とともに、原因の掘り下げが求められる問題だ。
 ただ、この問題には間接的な原因もある。③現行障害者雇用促進法では、国や自治体の行政機関は報告義務もなければ、罰則規定も適用されないために悪用されたということ。④診断書に基づく障害者認定には曖昧な点も多く、拡大解釈されたかもしれないということ。⑤専門性の高い官公庁業務にとって、「就労支援プログラム」のないままでの雇用率アップ改定は、かなりの重荷になっていたのかもしれないということ。
 同時に、今回の不正算入問題は、労働現場の実態から乖離した障害者雇用制度の「ひずみ」も遠因になっていると思われる。⑥そもそも障害者認定が手帳や診断書のみに依拠する「医療モデル」になっており、是正が求められているということ。⑦とくに自治体現場に顕著な委託など、業務の多元化が考慮されていないということ。⑧雇用率制度は義務規定(権力規定)で、雇う側と雇われる側の対等な関係に立ち返るなら、法定雇用率と同時に「共生雇用率(仮称)」とでも表現すべき双方向のユニバーサルな市場目標が必要ではないかということ、などである。
 すでに、在野では幾つかの試みが成されているが、公共及び準市場に限定して紹介してみたい。⑨大阪府等幾つかの自治体は、公共発注業務契約において障害者や就職困難者の雇用を評価点としており、雇用実績では法定雇用率の3倍まで、契約当該現場では10倍までを加点対象としている。⑩福祉現場ではいわば非課税分社会貢献という観点で、制度に拠らず職域を開拓し、手帳所持の有無にもとらわれない就労モデルを実践している。
 以上の10項目を考慮して、今回の問題への対処方策を検討したい。⑪問題の社会に与える影響を考えると、障害者等被害当事者が参画する「検証委員会」の設置が喫緊であるということ。⑫3000人を超えるとも想定される未達成分の拙速な数合わせ的雇用では、かえって「二次災害」を引き起こすと懸念されることから、国会が介在して一定の猶予期間を設定すべきであるということ。⑬その際、省庁内の就労支援計画の策定を義務付け、それを検証する「臨時的な期限法」が検討されても良いのではないかということ。⑭あわせて、手帳だけに拠らない障害者認定のあり方および「共生雇用率(仮称)」や「非公務員省庁及び自治体職員」、政策的な外部委託における雇用創出など、共生社会を築くための総合的政策目標を検討する場が用意されるべきであるということ。いずれにせよ、雨降って地固まるのでなければ詮無い事件になる。

株式会社ナイス
冨田 一幸

月刊なび139号より 「自分ごと化」で政治の風景を変える
 投稿日時: 2018/09/03
 世論調査で過半が反対し、国会周辺をデモが席巻し、ネットも炎上しているのに、議会が強行採決して一丁上がり。安倍政権の風物詩になった感がある政治風景だ。橋下市長が都構想を住民投票で決するとしたのは一つの案だったかもしれないが、「強行」という悪印象はついて回った。大阪の識者にはカジノ誘致も住民投票にしたら良いなんて意見もあるが、唐突感は拭えない。直近では、吉村大阪市長が、学力テストの結果を教員のボーナスや学校予算に反映させる方針を表明され、ネット上で反対キャンペーンが盛り上がっている。市長と議会が世論に耳を傾け、こんな愚策を思いとどまってくれたら良いのだが、そうならない場合打つ手はあるのか、よくよく考えてみたい。
 そんな折、松江市の市民団体のユニークな試みが新聞で報道された。テーマは島根原発3号機の新規稼働の可否。無作為に抽出された市民による「住民協議会」を立ち上げ、原発推進と反対の専門家を招いて意見を聞いたり、市民同士の議論を深める過程を公開することで、大きな決定権を持つ首長と議会とは別の意思形成を対比させようという試みだ。何だか陪審員とか裁判員制度を想起させるが、面白い取り組みだ。この住民協議会の名称が「自分ごと化会議」だと知って、これは良いとボクは膝を叩いた。
 強行採決する側も横暴だが、反対するデモ側もエキサイトしているように見えてしまう。そこで「自分ごと化会議」だ。市民運動というのは「まず隗かいより始めよ」で、「自分ごと化」のキックオフをするのが役割。多様化した市民の意思を形成するには、政治参加という「自分ごと化」のラウンドテーブル(住民協議会)にバトンタッチするのが良い。議員は、議会と住民協議会の「複線」で丁寧な意思形成を図る役割を演じることになる。前述の「学力テスト問題」なら、市民運動が隗になり、無作為抽出で委員を選出し、様々な関係者の意見を聞き、ボーナスや学校予算への反映の可否を問うだけでなく、学力や教育向上の多様な討議を公開し、意思を形成していくということになる。
 ボクも参加している「自治フォーラムおおさか」の場で、武直樹大阪市議(無所属)も、たった一人の市民でも、A4用紙一枚で、市議会の委員会に「陳情書」、本会議に「請願書」を提出できる制度を活用してくれたら、一人会派の自分が、他会派議員へのロビー活動をして意思を形成していくと提唱されていたが、主訴は自分ごと化会議に通底している。あまり認知されていないが、大阪市が総合区に移行した場合の「総合区常任委員会」や「区政会議と自治区協議会」にも、同じような志向がある。
 まるで、暑すぎる夏のように、不快指数の高い国会、大阪市会だが、市民運動や野党の発想の転換で、ちょっとは涼しい秋を迎えたいものだ。キーワードは「自分ごと」だと思った。

月刊なび138号より 政党支持率はどう読むのだろう
 投稿日時: 2018/08/02
 報道機関などの世論調査も、最近では毎月のように発表されるから一喜一憂してしまう。最近の特徴は、高止まりだった安倍支持が低位安定になり、自民支持も30%台で揺れ幅が小さくなっているようだ。こんな数字だと、小選挙区の自民議員もおいそれと安倍降ろしに走れないだろうから、妙に安定しているさまは、トランプ現象と似ている。人気はないが顧客はしっかりしている。一方、野党第一党の立憲民主党は、調査によって数字は若干異なるが、10%前後で「横ばい」状態だ。安倍批判票をさほど取り込めていないが、新党な分だけ他の野党より新鮮に映り、安倍批判票の分散を食い止めている。5月連休前後の審議拒否も、ひとまず世論の後押しを受けたが、もう少し長引けば「ブーメラン」になる予兆があった。疑惑追及など「政局」と同時に議題に乗っていた働き方改革など「政策」を両立できないと、立憲の支持は広がらないし、そのうち分散する。そういう意味で、ここ当分、立憲から目が離せない。
 地方ごとの世論調査を目にすることは少ないが、大阪のある民間機関の調査を見せてもらって少々驚いた。自民が減らしているのは全国共通だが、大阪だけは維新が自民を上回っているのだそうだ。立憲が支持を増やしているのも全国共通だが、維新の半分にも満たないのだと言う。公明や共産は立憲よりうんと少ないが、これはあてにならない。大阪では、安倍批判の受皿は依然、維新。大阪市議選の議席が定数4か5として、自民と公明の1議席は確実。残る1〜2議席をめぐって、2つ目を狙う維新、立憲、共産がしのぎを削るという構図になりそうである。
 国政は「安倍政治」が争点で、大阪では「都構想」が争点と予想する人が多く、その場合、維新の2議席目を止めるのは立憲だとの期待が高まり始めると思う。だが、立憲がそんな構図に乗って「都構想×」を声高に叫んでも、立憲は埋没してしまうだろう。何故なら、「安倍政治を問う(政局)」ことも、「大阪の課題を問う(政策)」も中途半端に終わってしまい、せっかくの新人候補あるいは新党候補なのに、何とも「無機質な挑戦者」に見えてしまうからだ。
 では、どうしたら良いのだろうかと、ボクは考えた。一つは、都構想には総合区という対案を示し、「反対だけ」の野党から変わったことを示すこと。二つは、橋下改革はちゃんと評価するが、「決める」政治から「創る」政治の段階に入ったことを、具体案を示して提案すること。三つは、万博やカジノより「大阪の貧困と格差」の解消が優先課題であることを明確にすること。四つは、市民活動の現場の人々とつながって、「市民+立憲」で新しい市議候補者を発掘すること(その場合、党公認だけでなく推薦候補も重視する)。
 あらあら、不思議なことに、国政でも大阪市政(現議席ゼロなのに)でも、立憲民主党から目が離せなくなってしまった。とくに、新人候補をどれほど擁立できるかだ。そう思っているのは、ボクだけだろうか。

株式会社ナイス
冨田 一幸

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