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月刊なび170号より エッセンシャル最賃なんてありか
 投稿日時: 2021/04/01
 イチローがいたマリナーズ球団がある米国シアトル市議会は、今年1月から最低賃金を15ドル(日本円で時給1600円)に段階的に引き上げると決定し、フロリダ州でも15ドル最賃への州法改正案を求める住民投票が可決した。「Fightfor15(15への挑戦)運動」と称せられる市民運動が全米に広がっているという。
 日本の最賃は都道府県ごとの最賃審議会で毎年改定されるが、大阪府最賃審議会はコロナ禍を理由に据え置きを決定し、964円のまま足踏みした。府議会や市議会では議論されてないようなので、自治体は最賃遵守止まりだ。自治体選挙の公約に最賃が取り上げられたこともない。「賃金は市場や労使で決まるものだから、自治体の介入は難しい」というのが首長や議員の常識なのだろう。
 最賃は、憲法で保障された健康で文化的な生活を営むのに必要な生計費を、労使の委員と公益側委員が合議して決定する。時給1000円なら月給16万円(8時間×20日)。大阪のような都市では賃貸住宅居住者が多く家賃も高いので、家賃を8万円と仮定すると、残りの生活費は8万円程度、生活保護以下の生活水準に止まる。生活困窮者は「働き始めても、働き続けられない」つまり雇用が守れない。
 ボクは、大阪府ハートフル条例改正の審議に参画して次のことを主張した。障がい者や生活困窮者が働き続けるためには、自治体発注の公契約業務の入札が価格競争で労務単価を引き下げないようにする「総合評価入札」に加え、労務単価積算に「就労支援費」を加算すべきである、と。大阪府は予定価格の積算に労務単価の約3%を加算し、検討機関も設置した。
 自治体にやって欲しいことは三つ。一つ目は、自治体が発注する仕事の契約において、賃金や生活困窮者の雇用を担保できる労務単価の積算を弾き出し、競争入札でも単価が不当に引き下げられない仕組みを作ることだ。総合評価入札はすでに大阪府内の多くの自治体で導入されている。労務単価の積算や賃金の下限額(最賃のようなもの)を定めるには、税が原資になっているから市民の合意、共感が必要、つまり条例が有効だ。ハートフル条例が先鞭をつけたのだから、大阪市も倣ってほしい。
 二つ目は、最賃の上昇が事業者の経営を苦しめないための支援措置、生活困窮者を持続的に雇用できるための支援措置。国の制度もあるが自治体で上積みできないか。お金でなくても、ハートフル条例に盛り込まれている就労定着支援の「職場環境整備支援組織」の育成は効果的だ。
 三つ目は、コロナ禍で注目された医療・福祉など「エッセンシャルワーカー」の賃金引き上げ。ハートフル条例には「大阪の福祉化」の趣旨は盛り込まれたものの具体策はない。そこで注目されるのが「特定最賃」つまり特定産業従事者(エッセンシャルワーカー)の地域別産業別最賃だ。法では認められているが業界の過半の同意が必要だ。自治体はその過半数賛同への奨励に取り組むとともに奨励予算を計上できないものか。
 公契約での雇用と賃金、さらには「エッセンシャル最賃」を謳ったハートフル条例で府民、市民の共感を得る、そんなシアトルのような議論がコロナ後初の統一地方選挙からでも始まらないだろうか。

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