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月刊なび160号より 大阪モデルで守る2つの生命
 投稿日時: 2020/05/29
拙稿が人目に触れる6月にはコロナの緊急事態宣言も解除され、「大
阪モデル」で経済活動も復活しているものと期待している。しかし、コロナ禍には二次、三次があり、長期戦となるから、嵐の後の静けさは次の嵐の前でもある。
 吉村府知事は休業要請を段階的に緩和する「大阪モデル」ですっかり人気者になったが、ボクが共鳴したのは「医療か経済かではなく、どちらも生命を守るもので両立させる」こと
が出口戦略のコンセプトだと明快に示したことだった。だからこそ少し不安も感じた。不安の一つは、大阪モデルの3基準は果たして科学的かどうかということ、もう一つの不安は、経済と併走する社会政策をどれほど用意できるのかということ。ただ、吉村知事はどちらの生命の保障も府民に「見える化する」と断言したのは良かった。とすれば、科学性においては幅広い専門家の登用が重要で、どんな手腕を見せてくれるか期待する。もう一つの社会政策では、現場とどう向き合ってくれるかに注目する。この点では、大阪の社
会運動、市民活動も積極的に大阪モデル豊富化に寄与したいものだ。
 では、何を提案し実践するかだ。1つ目は生活保障で、大阪の歴代知事・市長は、稼働年齢者への有期生活保護制度を提案してきた。現行生活保護制度は社会保障の補完にとどまり、そのぶん捕捉率が極端に低く即効性に欠ける。それが生活保護をめぐる感情の軋轢さえ生じさせてきた。この際、急激な生活危機に対応して現場で生活支援する社会運動や市民活動にハンドルを持たせて、生活保護への誘導を奨励すべきだと提案したい。フードバンクやこども食堂や隣保館や社会福祉法人などの現場からのアウトリーチと自治体を繋げて欲しい。
 2つ目は、就労支援と産業支援の一体化だ。休業補償の上限を高くして手続きを簡素化し、無利子無担保の中小企業支援が整備されることを期待したい。失業した場合でも、失業給付に「みなし失業」が適用されることも期待される。経営サポートセンターやAダッシュワーク創造館等中間支援組織の支援力アップに社会投資し、生活相談と就労支援と経営サポートを連動させる手立てが求められる。
 3つ目は住宅支援だ。かってホームレス支援でもその即効性が評価された。働く母子家庭への家賃助成は念願であった。我が㈱ナイスなどの住宅供給者や不動産事業者の「社会住宅」事業も、自治体の政策を期待しながら家賃滞納、入居者の孤独、子ども達の教育環境支援等に取り組むことだ。4つ目は人権保障だ。今回のコロナ禍では「患者差別」「医療関係者差別」などへの反応は早かったし、DV 被害者への臨時給付金窓口も配慮されたのは良かった。しかし事は長期戦であり、地域における人権保障機能の整備が必要だ。現場の人権活動と自治体が提携するラインナップを市民に見える化することだと思う。
 臨時給付金の議論はひと段落し、社会運動や市民活動が奔走し、自治体がそれに整合性を持たせる大阪モデルの次のステージ、出番だ。

月刊なび 157号より 「豪華客船」での人権侵害事態
 投稿日時: 2020/03/04
 月一回発行の『なび』で時事モノを書くのは不似合いだが、備忘録のつもりで2月10日時点の新型ウィルス事件について書き置きたい。
 実は、乗客に感染者が出たことを理由に横浜港に停泊している「豪華客船」ダイヤモンド・プリンセス号には古くからの友人が乗船している。正直言って、ボクも事件当初は傍観者だったから偉そうなことは言えない。しかし、友人と毎日交信してるうちに、事件がとんでもない人権侵害事態まで引き起こしていると痛感した。間接的ではあるが、やっぱり現場が出発点だ。
 
 2月1日、客船は沖縄に寄港して出入国手続きも検疫も終え、横浜港まで「国内移動」のはずだったが、3日に横浜港に着岸するや入港を拒否され、海上に強制停泊させられた。法的な根拠は何もないのだから、非常事態への乗員乗客の協力を求めるべきだったが、何の説明もなかった。加藤厚労相は二週間程度の拘束と発表したが、検査は遅々として進まない。その間、乗客も乗員も保菌の可能性があるのに、船外からの応援もないままサービスは続けられ、次々と感染者が増えていった矢先、今日(2月10日)の報道で感染者が一気に倍の135名になった。すでに2次感染が広まっているのだろう。国の不作為が乗客や乗員の人権を侵害している構図で、彼ら3700人の下船、解放はいつになるやら、事態は混迷を深めている。友人の言葉から感じ取れる怒りは、国の人権侵害に向けられているにちがいない。
 ボクは、ハンセン病が、誤判と偏見に基づく国家による強制隔離を是正するのに百年の時を費やす人権侵害だったことを思い起こした。今回は緊急事態で、法だけでは即座には対応できなかったのかもしれない。が、いったん沖縄で入国を認め、2日後に横浜で取り消す法的根拠などどこにもない。他方で、政府は、船上だから災害対策法は適用されないと頑な姿勢を崩さない。一両日ほどの短期停泊ならまだしも、見通しのない船内隔離はどう考えても法律違反だ。
 また、本来なら感染拡大を避けるために、感染・保菌率の高い乗員に代わって新たに別の支援要員を出動させるべきだが、自衛隊は医務官だけの派遣に止まったまま。さらに、3700人という大人数に対応するためには陸地への分散隔離に協力してもらうべきだが、差別におののいてか、大阪も含めて寄港地の受け入れの話はまったくない。
 友人は、乗員1200人の大半はアジア諸国での現地採用の臨時職員だということ、そして船が「豪華客船」とばかり喧伝されていたこと、そうしたことが偏見を助長しているのではないかといぶかった。こうして、新型ウィルス事件は、「豪華客船」人権侵害事態をも伴った大事件に発展しようとしている。
 あらためて日本は人権に疎いと痛感した。国民に人権の尊重を教育啓発するのは重要だが、人権は第一義的には、権力者、権限を持つ地位にある者に課せられる義務であるべきだと痛感した。さて、これから、日本はいかに動くのか、友のためになす術のないボクは、見守るしかないのか。

月刊なび156号 いよいよ住民投票、まだまだ総合区
 投稿日時: 2020/02/05
 いよいよ都構想の2度目の住民投票が11月頃に実施されることになった。前回が僅差の否決だったこともあるし、市民の理解がそんなに進んできたわけでもないから、結果の予想は簡単ではない。これから約10ヶ月、大阪市による住民説明会が催され、賛否の論戦も繰り広げられることになるが、ボクは、賛否両者にどうしても聴いておきたいことがある。それは、否決された場合の対案はあるのかということだ。
 ボクの都構想への態度はこれまでずっとシンプルだった。都構想議論をすべきか否かについて、迷いなく「賛成(やるべき)」だった。何故なら、府と市の間に「二重行政」は間違いなく「あった」し、大阪市役所も市議会も肥大化しすぎて、とてもニア・イズ・ベターでは「なかった」。改革は必至だったが法改正を必要とする大仕事だったから、遅々として進んでこなかった。誰が大阪市長になっても「都市構想」は聴きたかったが、橋下さんは「大阪都構想」を示し、議論を興した。その橋下さんに国が反論するよう地方自治法を改正し「総合区」という「対案」を示した(2014年)。ボクは、両論が出て選択肢ができたと思ったが、市議会は「都構想vs 現状のまま」で硬直してしまった。当然選挙で争われたが都構想側が圧勝し続けて、総合区という選択肢は俎板に載せられなかった。
 維新の市長は3人続いたが、橋下さんは総合区も選択肢と明言し、吉村前市長は「まず議会で総合区を決め、後に住民投票で都構想を問う」との対案も示したこともあった。松井現市長は、都構想否決なら総合区を提案するのだろうか? 先日の会見で「否決でも市長の任期は全うする」「政党としての維新は都構想を主張し続ける」(1月8日付『産経新聞』)と言われていたのは、「否決後の対案(総合区)」もあると理解したらいいのだろうか?そうであるなら、松井市長は立派な市長になられると思う。
 一方、都構想反対側の「対案」はまったく聴こえてこない。公明党はもう総合区を諦めたのだろうか? 自民党は24区を合区するのだろうか? もし「現状のまま」というのなら、2度もの住民投票を「壮大な無駄」と片付けてしまうのだろうか? ボクの住民投票への態度は、都構想の場合と同じくいたってシンプル、「否決で、総合区を期待する」だ。もちろん、最後まで総合区合意で住民投票の回避が一番であることは言うまでもない。
 大阪市は存続させたまま府と市の統合本部を作って二重行政を防止する。24区を5つか8つに合区した総合区で、ニア・イズ・ベターを実現する。維新にも反維新にも総合区に合意してもらいたい。そういう市民運動を最後まで追求していきたいと思う。

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