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月刊なび 154号より 関電の差別会見に驚いた
 投稿日時: 2019/12/04
 関西電力幹部の金品受領問題には驚いた。社長を筆頭に幹部20人が総額3億円を超える金品を受領し、吉田開発は競争入札を経ない特命発注等で多額の原発関連工事を受注し、関電は原発関連の工事情報を福井県高浜町の森山元助役(吉田開発の顧問でもあった)に事前に提供していたとのこと。森山氏が見返りを求めて金品を渡し、関電はその資金を流す目的で吉田開発に工事を発注した収賄罪の疑いは濃厚だ。入札における関電の受注調整も疑われ、独占禁止法にも抵触する。組織ぐるみの大犯罪だから、国民の原子力事業への不信感は一層高まり、全国の原発再稼働が頓挫する可能性もある。
 ところが、関電トップの記者会見では、「金品の見返りに森山氏に工事発注の情報提供した事実はない」「吉田開発への工事発注プロセスは適切だった」と発表した。そして、実に奇妙なことに、森山氏の強い圧力が原因とし、その強引さ、あまつさえその人柄にまで言及し「断ることができない雰囲気だった」と語ったから、ボクは二度驚いた。そんなバカな、関電ほどの大企業に、金品強要等不正行為への対応システムがないはずはない。こんな見え透いた言い訳は何故なんだろうと感じた。
 不可解な記者会見の背景はすぐに露呈した。ネット等で森山氏が「人権団体」の顧問で、ずっと昔部落解放同盟の役員だったこともあるとの情報が流れたのだ。なんと、関電トップともあろう者が、前代未聞の不正の背後に解放同盟がいると匂わせて、責任逃れを演じようとしたのか、そう疑われても仕方ない。しかも、関電は昨年7月にこの問題で社内調整を開始、9月には報告書をまとめていたが、何故か公表してこなかった。そして、今年3月森山氏は死去した。え、死人に口なし、死亡を待っての会見だったのか? 関電組織ぐるみの計画的記者会見、つまり「差別会見」だったのか。さっそく、部落解放同盟は西成支部出身の赤井中央執行委員が現地調査に赴き、「声明」を発表した。詳細はネットや週刊誌でも公表されているから、ご一読願いたい。
 さて、10月13日、関電は第三者委員会を設置、年内にも報告書がまとめられることになる。第三者委員会の責任は大きいが、部落問題も避けるべきでない。あの記者会見の不可解さは、この問題の真相に係わっているはずだ。橋下徹さんの就任は叶わなかったが、大株主としての松井大阪市長のオファーは、パフォーマンスと受け取られているようだが、ボクは適切だったと思った。松井市長には、原発マネーの解明とともに、この「差別会見」の追求もやって欲しいと期待する。⦆
 今回の事案では、ネット等での差別拡散は、かっての「橋下出自」報道などに比べると、抑制的だったと感じた。部落解放同盟の「声明」も素早く、的確だったと感じた。だからこそ、「差別会見」への追求はちゃんとなされなければならないと思った。

月刊なび153号より 全世代型社会保障に対案を
 投稿日時: 2019/11/01
 安倍内閣最重要政策は「全世代型社会保障」だ。これをここ10年の大阪での「住民参加型自治体改革」に置き換えてみた。維新が都構想を提唱したように、社会保障にベーシックインカムを、みたいな議論も起こってくると理解したら良い。総論は結構である。当然財源論(都構想は組織論)が議論になるのも了解だ。だが先立つのは、いまの社会保障に何が足らないかの国民的共感だ。その点では、「福祉は生活者が与党」「野党が与党」の構えがないと、「いまの社会保障は高齢者優遇だ」と煽情的な議論になって、世論は分裂し、議論は空洞化してしまう。野党や社会運動の役割は小さくない。切実な生活者要求を全世代型及び財源論に繋げた提案が必要だ。大阪改革では、もう一つの与党、つまり市民あるいは現場を取りまとめる「生活者の与党」が不在だったし、不在のままだ。
 ボクの懸案の政策の一つは、低所得者対策に母子家庭等への家賃助成や生活保護の「住宅扶助単給化」を加えることだ。これは「住まい安心保障」として全世代型だし、就労支援や地域の空家対策に繋がり、回りまわって財源論にもなる。野党や公明党、あるいは社会運動に期待したいテーマだ。
 もう一つは、不安定就労者や求職者対策だ。厚生年金加入者の拡大も大事だし、離職期でも見放さない「労働者手帳」や職業訓練助成が必要だ。高齢者の在職者年金や繰り下げ給付の改革とも繋げて全世代型の議論にしても良い。自治体の公共サービス契約をモデルに、ディーセントワーク(尊厳ある働き方)を奨励する分権化に繋げたら、社会保障は社会投資になる。
 さらにもう一つ、これは省庁の雇用率改ざん事件で野党に突っ込んで欲しかった障がい者雇用だ。ペナルティ(法定雇用)型からインセンティブ(共生雇用)型に変えることだ。そうすれば、法定雇用率対象外の中小企業やソーシャルファーム(障がい者や就職困難者と共に働く事業体のこと)やNPO 等を育成、振興する効果もある。返すがえすも、障がい者雇用を「駆け込み雇用」で「処理」した政治には失望した。これらは、れいわの山本太郎さんが仰る「消費税より社会投資」ということでもある。太郎さんにはアジテーションの次章を聴きたいものだ。
 他にもいろいろ提案はあるが、全世代型社会保障の議論の中から、「福祉は野党が、生活者が、自治体が与党」という政治への「距離」を見直すことが一番有意義だと思う。これは政治改革だ。
 この「福祉(人権でも良い)は与党」という立ち位置が、部落解放同盟大阪府連の赤井委員長が、過日コラムで書かれていた「地域政党を議論しても良い」という主訴に通底している気がする。赤井委員長は、その主訴の前段に、政治への「蚊帳の外感」を吐露されていた。多分、維新側から見れば降参宣言にも聞こえるような率直さに、むしろボクは好感を持った。「全世代型社会保障」なのに生活者(当事者)は「蚊帳の外」、それだけは避けないと、国民はまた失望する。

月刊なび152号より 世界遺産のような中間支援組織認定
 投稿日時: 2019/09/30
 先般施行された大阪府ハートフル条例を読み解くキーワードの一つが、福祉と市場に橋を架ける「中間支援組織」を認定するということ。これって世界遺産登録のようなものだと例えると、想像力を広げてもらえるだろうか。エルチャレンジは、ビルメン市場でその役割が顕著と評価されて、先頃認定第一号となった。Aダッシュワーク創造館は、製靴産業や大正区のものづくり産業、はたまた青森県のりんご生産や石川県の温泉旅館等にアプローチしていて、近々認定候補にノミネートされるのではないかと期待している。
 わがまちの西成製靴塾もそんな大志を抱いても良いと思う。製靴塾は行政の財政補助を全く受けずに、もう20年続けてきて約200人の修了生を送ってきた。この際、カリキュラムや支援体制を文字化して、ハートフル条例審議会に提出する準備をしたらいいと思う。ひょっとすると、Aダッシュと共同体で認定申請が良いのかも。その際、民設民営のにしなり隣保館のサポートを忘れずに記述して欲しい。
 Aダッシュは、俗っぽく言えば橋下改革や民主党政権の事業仕分けという「逆風」に耐えてきた。製靴塾も似たような境遇を経てきた。橋下さんはもういないけど、吉村知事や松井市長が、改革の跡地に咲いたこの花を慈しんでくれると、
ボクは期待する。
 さてさて、話は思い切り飛んで政治の話。安倍一強の原因は野党の人気がないからと言われて久しい。安倍与党が野党のお株を取ってしまっているとも指摘される。最低賃金が典型で、官邸主導で最賃が上がっているかに見える。「シッタカ」じゃないが、最賃には地域最賃だけじゃなく「特定最賃」つまり地域別産業別最賃というのもある。皮革とか製靴産業などは、産業分布が一定地域に集積し
ていて、この特定最賃に向いている。何よりその産業の関係者の円卓会議が面白そうだ。ボクは、安倍さんの最賃にはストーリーが不足していると思う。つまり、就労支援や企業支援の全体像がわかりにくく、最賃が景気対策にしか見えない。悲しいかな、野党の最賃政策もほとんど同レベルだと思う。だから、「安倍最賃、麻生最賃」に化ける。
 ボクは、最賃も就労支援も生活産業も、そして地域再生も一体となったサクセスストーリーで描いてみたいと思う。特定最賃なんて風呂敷まで広げて、円卓会議をやってみたい。
 ボクはかねがね、都市には、人々が暮らす「地域」とともに、人々が働く「流域」とでも言い表す「コミュニティ」があると言ってきた。地域再生ならぬ「流域再生」、ハートフル条例による中間支援組織認定に、そんな夢を膨らませている。政治に話が飛んだのは、政治家や政党に、とくに野党に、この話を拾って欲しいと思ったからだ。

株式会社ナイス
冨田 一幸

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