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月刊なび108号より 新年の抱負は「逆境からの対案」
 投稿日時: 2016/01/27
 遅ればせだが、(株)ナイスの新年の抱負を書いてみた。
 年頭から新しいマンション「パークコート」が竣工し、民設置民営のにしなり隣保館(ゆ〜とあい)と国際幼児教育校スターブレインズ、地域立社会福祉法人によるサービス付高齢者住宅が入居された。この事業は、橋下改革による市民交流センター(解放会館等名称を変更しながら続いてきた隣保事業施設)廃止への代替案だが、「居場所と出番」「共生の地域」「格差のない福祉」という、都市再生と「事業型社会運動(部落解放運動の総合的展開という意味)」の対案が込められている。リスクの高い事業になるが、地域の多様な法人の連携で果敢な挑戦をしたい。
 春は公共事業の入札の季節だが、今年は府立公園の指定管理者選考の年に当たる。10年程前に、非営利と営利の共同事業体で社会的企業を創設するという対案で競争に参画し、4つの公園で管理者に抜擢されてきた。現有を確保し、機会があるのなら拡大も試みてみたい。また、前号で報告した地方独立行政法人運営になった大阪市民病院で、設備と清掃の一括型総合評価入札が試みられるが、市場と福祉(障害者雇用)の併走という「橋下難問」に一定の答えを出す時でもある。
 夏には参院選挙があるが、ひょっとすると衆院解散もある。ボクも晴れて?「支持政党なし」となって初めての国政選挙になる。社会運動や社会的企業が、かつての護送船団や政党従属に陥るほど政治に埋没する必要はないと思うが、憲法改正が争点になるとなれば傍観するわけにはいかない。ちょうど昨年の都構想
住民投票や大阪W選挙を、あの大阪大空襲の後の大阪に重ね合わせてみると、焼野の大阪から「政治参加をやり直す」そんな夏になりそうだ。橋下さんの「分権改憲」には、「大阪市の総合区」など「改憲なしの分権」という対案で動いてみたい。
 秋には障害者団体「共同連」の全国大会が大阪で開催される。ホストの一員と
して役割を果たしたい。生活困窮者自立支援法もスタートしたが、肝となる「中
間的就労」はまだ海面に現れてはいない。ビルメン産業等「雇用産業」を入札改革など社会的企業で振興する、つまり「ともに働く」労働市場の創出という対案を、大阪大会で共有できるよう動いてみる。共同連大会にとどまらず、就労支援への社会的合意を広げることで、(株)ナイスのような社会的企業の役割を見つけていきたい。
 冬には(株)ナイスの機構改革と人事刷新をやりとげたい。「西成発ソーシャ
ル・エンタープライズ」と大見得を切って、1997年に設立した(株)ナイスもまもなく20周年を迎えることになる。薬局の複数店舗化や入札改革による公共事業参画、老朽民間賃貸住宅の共同建替等の住宅事業、住宅リフォームや介護ショップや地域IT事業やくらし食堂、株式会社の非営利部門くらし応援室、民
設隣保館など事業を広げてきた。しかし、多様で広大な高齢者市場への挑戦や改
築型「社会住宅」の展開、総合マネジメント事業への進出等、構想どまりとなっ
ている事業も多々ある。今年、これらの事業化を前に進めたいと思う。総じて、
今年の抱負は「逆境からこそ対案」だ。「ピンチはまたチャンス」というのは、逆境にある人々の願いが共有化され、人と人の関係が再発見され、自分や仲間の潜在力が見いだされ、予期せぬほどのファイトが出てくるという意味で、それがオルタナティブ、対案になると思う。今年もよろしくお願いします。

㈱ナイス
代表取締役 冨田一幸

月刊なび107号より 効率化と福祉は両立できるかという【橋下難問】
 投稿日時: 2016/01/05
12月初旬、都島区の大阪市総合医療センターへの抗議行動でニュースに映ったものだから、幾人から「TVで見た、元気そうやん」との連絡をもらった。
 事の起こりはこうだ。この病院の玄関清掃等では、エル・チャレンジの支援を経た7人の知的障害者が働いている。この病院が「大阪市立」から「独立地方行政法人(大阪市民医療機構)」に経営移行(一種の民営化)して、病院機構は委託清掃の入札をこれまでの「総合評価入札」から「一般競争入札」に変更した。これだと障害者が解雇されてしまうと察知したエル・チャレンジが抗議に出向いた。TV放送社はこれを取り上げ橋下市長の記者レクで質問したが、市長は「とんでもない、総合評価入札に戻させる」と瞬時に対応したから、「橋下vs官僚機構」と見てちょっとしたニュースになった。
 慌てた病院機構は、「障害者雇用は守る。総合評価では委託事業者の法定雇用率に換算され、病院の雇用率未達成は解決されないから直雇用するつもりだった」と火消に走った。しかし、病院機構は「別の事務棟での直雇用する」と口を滑らせて、エル・チャレンジの怒りを買い、ようやく「雇用も職場も守る」と約束した。退任まで秒読みの橋下市長が、既に公募されている入札をやり直させられるかと注目されたが、その後の記者会見で、「やり直しには時間がないから、今回は障害者の雇用と職場を守るとの病院を信じるが、次回は総合評価入札に戻すべき」と述べて幕を閉じた。橋下さんの最後の「トップの判断」を見たが、ボクは、いつもながら「敵ながらあっぱれ」と拍手した。総合評価入札を土俵際で守れて、障害者の雇用と職場の両方も何とか守れた。
 この問題の根本に立ち入ってみる。病院機構は高いハードルの効率化を市長に迫られた結果、中小企業の受注と雇用創出に道を拓く設備と清掃の分離発注方式
をやめ、総合メンテナンス(一括)発注方式に変えたが、効率化のあまり障害者雇用を忘れた。「雇用率達成のため」は、まったくの後出しジャンケン。
 橋下さんが「効率化と福祉の二兎を追え」と言い残して任期を終えたのは象徴的だった。ボクはこれを「橋下難問」と命名して、「解いてみよう!エル・チャレンジ」と呟いた。総合メンテナンス発注に「設備と清掃のJV(共同企業体)」で応札等の「応用総合評価」を描けるか。はたまた、法定雇用率換算基準そのものが産業動態と乖離しているから、総合評価入札のような政策的契約の場合、受注企業の雇用率を発注企業にもおすそ分けする「連結換算」に法改正できないのか等々知恵が必要だが、解いてみよう。
 師走とともに橋下市長は去ったが、「反橋下」の人たちはこの「橋下難問」を解いてくれるだろうか。橋下さんは難問を取り上げはしたが、解いてはいないのだ。ここから始まるということに早く気づかないといけない。

㈱ナイス
代表取締役 冨田一幸

いい湯加減 記事一覧
 投稿日時: 2016/01/01
月刊なび113号より 教育無償化とは「カネ」も「テマ」も惜しまないこと 2016/7/1
月刊なび112号より 人権法を改憲に絡めとられないように 2016/6/1
月刊なび111号より 市民も「当事者」に加わるのが障害者差別解消法 2016/5/1
月刊なび110号より 大先輩の示唆 2016/4/1
月刊なび109号より 5歳児教育費無償から共生の教育を 2016/3/1
月刊なび108号より 新年の抱負は「逆境からこそ対案 2016/2/1
月刊なび107号より 効率化と福祉は両立できるかという【橋下難問】 2016/1/1
月刊なび106号より かくして大阪改革冬の陣は幕を閉じた 2015/12/1
月刊なび105号より あえてリスクをとる 2015/11/1
月刊なび104号より いま、政治の課題は「格差是正」のはず 2015/10/1
月刊なび103号より 一強多弱から芽生えた直接民主主義 2015/9/1
月刊なび102号より 公募区長をやめてはいけない 2015/8/1
月刊なび101号より 初心忘れず、不平等に挑戦する 2015/6/29
月刊なび100号より 住民投票忘備録 2015/6/29
月刊なび99号より 政治闘争は矛を収めるものなのに 2015/6/29
月刊なび98号より 住宅扶助を活かせなくてどこが改革か 2015/6/29
月刊なび97号より 住民投票で「中間組織」の役割を自覚する 2015/6/29
月刊なび96号より 住民投票までに溝を浚えて 2015/6/29
月刊なび95号より いい湯加減_新年7つの目標 2015/1/13

月刊なび94号より 実り多かった生活困窮者全国大会 2014/12/16
月刊なび93号より ボクのいい湯加減 「水俣学」に触れた旅 2014/11/12
月刊なび92号より ボクのいい湯加減 分かちあう大阪、わかりあう政治 2014/10/18
月刊なび91号より ボクのいい湯加減 西成区特区構想は迫力がある 2014/9/17
月刊なび90号より 夕張市は「先駆の自治体」になるかも 2014/8/10
月刊なび89号より 大谷強さんを偲んで、来春を考える 2014/7/10
月刊なび88号より 仏のソーシャル・ファームがやってくる 2014/6/10
月刊なび87号より 「差別の温床」を残さない 2014/5/10
月刊なび86号より 資産も不安も格差もある団塊世代 2014/4/12
月刊なび85号より 非貨幣税外収入で地域が動く 2014/3/18
月刊なび84号より 改革の第二ステージが始まったのか 2014/2/12
月刊なび83号より 社会運動の再生に期待する 2014/1/16

月刊なび82号より 重なり合う合意 2013/12/10
月刊なび81号より 平等は小うるさいか? 2013/11/10
月刊なび80号より 「改革を競う」のが大阪らしい 2013/10/10
月刊なび79号より 地域と労働現場に「三層のセーフティネット」を 2013/9/10
月刊なび78号より 市民交流センターを「互助の施設」に再生する 2013/8/01
月刊なび77号より あちらも霞ヶ関、こちらも霞ヶ関 2013/7/09
月刊なび76号より 部落解放同盟の『挑戦』を読む 2013/6/10
月刊なび75号より 公共サービスにコミュニティ経済を 2013/5/10
月刊なび74号より 障害者雇用の法律が変わって想うこと 2013/4/10
月刊なび73号より 「ビルメンで働く人の実態調査」がまとまりました 2013/3/4
月刊なび72号より 互助の種を蒔く 2013/2/1
月刊なび71号より 社会福祉の分裂に立ち入る 2013/1/4

月刊なび70号より 橋下さんが市長を辞めなくて良かった 2012/12/3
月刊なび69号より 「西成特区構想」が発表された 2012/11/1
月刊なび68号より 無ければみんなで作り出そう 2012/10/1
月刊なび67号より 橋のない川に橋を架けるのはだれ? 2012/9/1
月刊なび66号より 反原発デモがすごい! 2012/8/1
月刊なび65号より 札幌の政策入札フォーラムに乞うご期待 2012/7/1
月刊なび64号より 西成の「自由区」に住んでみませんか 2012/6/1
月刊なび63号より 「地域介護」を育てられないか 2012/5/1
月刊なび62号より 労働運動はいつも社会問題の友達 2012/4/1
月刊なび61号より 福祉に優しい橋下市長を期待する 2012/3/1
月刊なび60号より 「蔭の西成区長室」はスタッフ募集中 2012/2/1

月刊なび58号より 橋下劇場の部落問題はわかり易いが、深くない 2011/12/1
月刊なび57号より 会社の社ではなく、社会の社という「社宅」は夢? 2011/11/1
月刊なび56号より 渡辺村と中川治さんの「宝の山」 2011/10/1
月刊なび55号より ボクの故郷は「エコ集落」 2011/9/1
月刊なび54号より 別冊フレンド事件から15年 2011/8/1
月刊なび53号より 人に優しくすることによってしか癒されない深い悲しみ 2011/7/1
月刊なび52号より 吉田松陰と高須久子と、芸人勇吉 2011/6/1
月刊なび51号より ボク達が選挙カーのマイクを使わなかったわけ 2011/5/1
月刊なび50号より 「公務員を減らす」vs「公共事業を活かす」 2011/3/1
月刊なび49号より 「ひとりぼっちにさせない」そして「泣き寝入りさせない」 2011/2/1
月刊なび48号より 水上勉の社会派小説とボクの故郷 2011/1/1

月刊なび47号より 民主党に裏切られた今年の10大ニュース 2010/12/1
月刊なび46号より 差別に反対する営みは社会発展の糧 2010/11/1
月刊なび45号より ボクの「いちびり」が招いた職業訓練施設存亡の危機 2010/10/1
月刊なび44号より 福祉癖を問い直して、雇用を競う 2010/9/1
月刊なび43号より F作戦に異常あり 2010/8/1
月刊なび42号より 「貧困ビジネス」の法規制という出来レース 2010/7/1
月刊なび41号より 鳩山さん、5月未決着でも良いじゃないですか 2010/5/1
月刊なび40号より 「人権」が「赤い糸」だったあの頃 2010/4/1
月刊なび39号より 寒空の通夜の一杯の沖縄そば 2010/3/1
月刊なび38号より 霞ヶ関vsボクらのエアコン戦争 2010/2/1

月刊なび36号より 仕事レス、ホームレス、そして介護レスの片道切符 2009/12/1
月刊なび35号より これは、やっぱり「せんないこと」なのだろうか? 2009/11/1
月刊なび34号より 未開の荒野から  助けを求める声が聞こえる 2009/10/1
月刊なび33号より 暑い夏、「船中八策」で涼を採る 2009/9/1
月刊なび32号より 総選挙も、公園の管理者選考も、気になる夏 2009/8/1
月刊なび31号より エル・チャレンジの十年、そして、二人の「おさむささん」 2009/7/1
月刊なび30号より 釜ヶ崎の新築マンションの町会費で悩んでいます 2009/6/1
月刊なび29号より 旅は道連れ、鶴も社会運動も、つがいで舞う 2009/5/1
月刊なび28号より 少し肌寒い4月を迎えて 2009/4/1
月刊なび27号より ふるさとからの訃報 2009/3/1
月刊なび26号より 府立公園に「社会」というテントを張る 2009/2/1
月刊なび25号より まだタイトルが決まらないボクの初夢 2009/1/1

月刊なび24号より たかじんの番組での部落問題 2008/12/1
月刊なび23号より 「みんろう」でこのまちに溶けていく 2008/11/1
月刊なび22号より 自民党と一緒に、メタボとさらばしたい 2008/10/1
月刊なび21号より まちづくり委員長はご住職 2008/9/1
月刊なび20号より 北京を駆けろ!福島千里 2008/8/1
月刊なび19号より ユニバーサルホテル「ビッグアイ」を知ってますか? 2008/7/1
月刊なび18号より オセロの次の一手はツルミンバンク 2008/6/1
月刊なび17号より 過激派知事にもの申す 2008/5/1
月刊なび16号より 「あいりん地区にお花屋さんがオープンする」 2008/4/1
月刊なび15号より 「限界町会」の優しい町会長さん 2008/3/1
月刊なび14号より アナザ・ウェイの『なび』となって 2008/2/1
月刊なび13号より 夕日が美しかった、あの頃に還ろう 2008/1/1

月刊なび12号より 優しく諭された・・・そんな市長選挙だった。 2007/12/1
月刊なび11号より 昔、大阪市は「新たな公」だった。 2007/11/1
月刊なび10号より ボクの「被告」初体験 2007/10/1
月刊なび9号より 「福祉」の先にある「境地」 2007/9/1
月刊なび8号より 「世陸」の夏、オタクのボクの40年前の衝撃 2007/8/1
月刊なび7号より もうひとつの全国ホームレス調査 2007/7/1
月刊なび6号より あの上祐VSこのボクの舌戦in西成 2007/6/1
月刊なび5号より 湯加減のような人の世を求めてお風呂を守ろう 2007/5/1
月刊なび4号より ボクは無類の選挙好き・・・ 2007/4/1
月刊なび3号より 「働きたい」と「できちゃった雇用」 2007/3/1
月刊なび2号より 初夢は「食券食堂」 2008/2/1
月刊なび創刊号より 湯加減のような”いい加減”さで 2007/1/1

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