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月刊なび164号より 可決でも否決でも
 投稿日時: 2020/09/28
 住民投票の日時は11月1日と決まった。各種の世論調査はどれも賛成優位と報じている。賛成理由では「二重行政解消」「大胆な改革必要」が6割強を占め、この10年の市民の改革支持が根強いことを示した。知事・市長の支持率も驚異的に高く、「バーチャル都構想」も支持されている。コロナ禍でのインバウンドの激減やメトロの減収で成長戦略の見直しが迫られているが、世論調査での賛成理由の「経済成長につながる」は20%弱しかなく、改革と成長は「別物」と市民は見ているようだ。そもそも合区一つでも行政機構の変更は厳しい抵抗に遭うのが常だが、大阪市廃止という荒業にもかかわらず、5年前の否決でも僅差にまで迫った。5年経ても改革志向は衰えていないどころか、むしろ増えている。ある意味驚きさえ感じる。
 松井市長は直近、未就学児への5万円コロナ給付(一人親家庭にはさらに5万円)を発表したが、共産党は「大阪市の財力があってこそ」「住民投票への利益誘導」と突き放した。実際は、維新が教育への財政配分を進めてきた政策の延長線上の措置だと、市民は歓迎している。話は半世紀前まで飛ぶが、イタリア共産党のトリアッティが発信元であった「構造改革」(社会党で江田三郎が提唱し、社会主義協会向坂派が潰したそれ)というものが、日本ではいかに根づいていないかを示すやりとりに見えた。部落解放運動史では「奈良本・井上論争」も構造改革論争だったが、あらためて現代の参考になると、谷元昭信さん(『冬枯れの光景――部落解放運動への黙示的考察』という近著がある)が解説してくれた。ともかく、松井市長と共産党のやり取りは、都構想反対派は「今のままで良い」という旧守に拝跪し、市民の改革志向を最初から最後まで汲
みとれていないことを物語っていた。
 ボクは始めから、橋下改革は民主党政権に至った改革志向を引き継ぐもので、都市機構改革議論も歴史的必然と思ってきた。だから、都構想が大阪市廃止にまで至らぬように、闊達な論争が展開され、「暫定(仮想)都構想」から「修正都構想(総合区)」へと軟着陸していくことが良い、それしかないし、そうなれば良い改革になると期待し続けてきた。実際そのチャンスは何度かあった。しかし、自民党や共産党や市役所OBは何とも頑なだった(民主系は自滅していた)。さすがに公明党も痺れを切らしてしまった。結局、この10年「都構想の対案は廃案」というだけで、何の対案も示さないという驚くべき対応(論争からの逃亡)を繰り返して、選挙に負けに負けて、維新だけに民主主義の手続きを踏ませてきた。公務員OB等の現場からの実に的確な都構想検証も、残念なことに只々維新批判に埋没させられてしまった。
 ラグビーには「ノーサイド」という締め括りがある。政治も「僅差の民意」を引き受けなければならない。可決となっても、コロナ禍での成長戦略の見直しは必至だし、特別区への分権議論は不完全燃焼のままだ。否決となったら、議会は「継続都構想」を今度こそ示さなければならない。ただ、どう転んでも、大阪市民は貴重な経験を刻んだことに変わりはない。

月刊なび163号より 障がい者自死事件は残念だった
 投稿日時: 2020/08/31
 平野区の市営住宅で知的障がい者の成人が自死した。住宅自治会の当番制班長を自信がないと断った際、理由となった障がいの状況を書かされ回覧されたことにショックを受け、苦悶し自死に至ったとのこと。遺族が住宅自治会等を相手取り2500万円の損害賠償を求めて提訴したことでニュースになった。「班長を務められない理由(障がい)を書かせ、回覧する」こんな方法しかなかったのだろうか、ホントに残念でならない。
 障害者差別解消法(2016年施行)は、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」を定め、支援措置を規定している。法に照らせば、住民役員及び同席していたとされる社会福祉協議会の関係者の行為は「不当な差別的取扱い」にあたる。住宅自治会は任意団体であるとはいえ、このような抗争(コンフリクト)は想定されたものである以上、設置者の大阪市、平野区と、そこから管
理を任せられている住宅管理事業者の「合理的配慮の不提供」も裁判で争われることになる。8月10日時点では、大阪市は沈黙し、取材も拒否しているが、これは良くない。大阪府は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例(2018年施行)」で、こうした抗争を想定して「広域支援相談員」の配置を定めているが、話し合いに同席した関係者がそれにあたるのか定かでない。
 「どこの住宅自治会でも、いや町会でも役員のなり手がなくて困っている。当番制班長まで自由意志だとなると、自治は成立しないではないか」という反論、住宅役員側への同情の声もあろうが、差別的取扱いの免罪にはならない。むしろ、コロナ禍でも指摘されている「同調圧力」も影響して、「社会全体が不寛容」になっているのではないかと反省されるべきだと思う。自死した障がい者は、頑なに班長就任を拒否したのではなく、行政や社会福祉にも相談し、助言を乞うていたように思われる。想像でしかないが、この種の抗争も伴う社会的体験は彼にとって未知のもので、そこでの取扱いは想像を超えた冷徹さだったのではなかったのか。
 さて、にしなり隣保館(ゆ〜とあい)は、民設置民営だが、同和対策事業時代からの公営住宅自治運営を引き継ぐ数少ない「地域自治支援の非営利民間組織」だ。さっそく、寺本良弘館長は事件の調査に乗り出し、自らの組織の再検証も実施されておられた。障害者差別解消法や一連の法制度はどれほど深められてきたか? 住宅自治会運営の難しさにどれほど付き合ってきたか? 大阪市は来年度から住宅管理を民営化して、民間事業者に管理を委託することになるが、ただの効率化になりはしないか? 心配の種は尽きないことだろう。
 にしなり隣保館も交流する部落解放同盟大阪府連は、公営住宅の自治や管理に精通する稀有な団体だ。行政責任を免罪するわけではないが、公営住宅等での自治のあり方には非営利社会活動の役割が大きいと期待する。大阪府や大阪市が沈黙しているのは、まさかとは思うが、コロナ対策や都構想の住民投票対策に忙しいからではあるまいか。そうであるなら、困ったことだと思う。

月刊なび162号より どんな附帯決議がつくのかな
 投稿日時: 2020/07/31
 コロナ禍があっても大阪都構想の法定協議会は予定通り進行し、6月19日に賛成多数で協定書案を可決、府議会は8月28日、大阪市議会は9月3日を目途に議決し、11月1日には住民投票が実施される。松井市長は、両議会議決の前にコロナ第2波の状況を見て、住民投票実施を最終判断すると明言している。
 賛否はともかく、合区一つでも至難だったのに、大阪市を大阪府に吸収合併するという大改革案(暴論と言う人もいる)を二度も住民投票に持ち込んだ知事・市長の手腕は、見事だとしか言いようがない。しかも、コロナ禍という難問にも揺るがないのだから潔い。
 しかし、だ。だからこそ、知事・市長はこれから3ヶ月間、苦悶の日々を過ごされることにもなる。5年前の、賛成が僅差で反対を上回ると予測された住民投票は、蓋を開ければ僅差の逆転だったからだ。直近の世論調査(6月28・29日付『日経新聞』等)では、賛成49%・反対35%と予想以上に差が開いたかに見える。しかし、これは流動する。大阪市の廃止を市民自ら決するのは、とても高いハードルだからだ。ましてやコロナ禍だ、市民は揺れ動く。前回の住民投票の否決で橋下さんは引退されたが、同じ結果になれば、その後の言動からして松井市長も吉村知事も潔く身を処せられるのだう。
 大阪市民はホントに難しい歴史的な決断に立ち会うことになってしまった。知事・市長を権力者、無法者と断じている人は何の躊躇いもないだろうが、この10年の改革をそれなりに支持し共感しつつも、大阪市廃止にまでは想像力が及ばない市民は、躊躇い、苦悶されることだろう。打ち明けた話、ボクもその躊躇う市民の一人だ。
 ボクは、この拙稿でも、選挙で信を得た上に退路を断って臨もうとする知事・市長の改革提案に対して、「都構想の対案は廃案」「住民投票は何回もやるもんじゃない」なんて肩透かしのような態度は失礼だ、せっかくの改革案には対案を出して反対すべきだと書いてきた。だから、総合区への移行、大阪市を残したままの府市の限りない一元化が良いとも書いてきた。実際、法整備も整い、公明党が提案し、橋下市長(当時)も妥協され、都構想の総合区への軟着陸が実現しそうな時もあった。でも、そうならなかったから、もはや繰り言だ。
 さて、残る期待は、府・市議会の「附帯決議」だ。一つはコロナ禍への対応。一三五〇億円と推計される移行コストはこの状況下で見直しを迫られよう。二つは成長戦略の再検討。IR もカジノも万博もインバウンドも民営化も、修正を加えてバージョンアップすると決議して欲しい。三つは医療介護の再構築。コロナ禍で進行した脆弱さを検証して欲しい。四つは住民参加。議員定数や地域福祉圏域等に断続的な改革の道筋を示して欲しい。しっかりした議論を展開し、ちゃんとした附帯決議を残してくれることを期待する。その後に、いよいよ住民投票を迎えたい。ボクは無念さと躊躇いを感じながら、一票を投じることにする。

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